想/INORAN
想
9,915円
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1. Sissy
2. Resolution
3. Monsoon Baby
4. Obscenity
5. FAITH
6. 想 (Vcl reRec ver.)
7. Have You Read
8. Owl’s Tear
9. Rat Race
10. 人魚
11. The Agenda
LUNA SEAのギタリスト、INORANさんによるソロアルバム。
1997年にリリースされた1stアルバムを、2011年にリイシューしたものです。
現在では、ソロ作品において自らボーカルを務めることも多くなった彼ですが、この作品については、大部分でゲストボーカルを迎えての制作となったもの。
音楽性としても、その後の作風とは異なっているため、デビュー作にして、異色作、実験作と捉えることもできるのでしょうか。
後にLUNA SEAともコラボレーションを行うDJ KRUSHとの共作となった影響か、ヒップホップの要素が強め。
女声ボーカルを迎えての美しい楽曲と、ダウナーなラップ調の楽曲が中心で、ヴィジュアル系全盛期の時代に、LUNA SEAのギタリストがソロデビューという触れ込みでこれがリリースされたのだから、賛否両論含んで衝撃が大きかったのは言うまでもありません。
そこから時間が経ち、LUNA SEAのギタリストという先入観をなくして聴くことができるようになったタイミングでのリイシュー。
改めて聴いてみると、その先見性に驚かされるのですよ。
当時、ロックバンドを好むリスナーには刺激が強すぎたヒップホップも、現代では一般的な音楽性のひとつ。
慣れにより、そこまで拒否反応が出なくなった中で、ようやく気が付くレベルの高さ。
こんなに格好良いものを20年以上前に作り上げていたのか、と。
シンプルなループも、INORANさんの中毒性の高いリフによって構築されることで、実に深みを増す。
案外、INORANさんの浮遊感のあるギターは、ヒップホップと相性が良かったのだな。
なお、デビューシングルである「想」について、自らがボーカリストを担当。
本作では、ボーカルパートのリテイクを行っており、明らかにスキル不足だった当初と比較して、歌の安定感も増しています。
強めにかかっていたエフェクトも、心なしか少し弱まったか。
日本語で歌詞が書かれているのは、この「想」と、本編ラストの「人魚」のみ。
「人魚」は、あえてぎこちなさのある女声ボーカリストを迎えてレコーディングされた6/8の楽曲で、もしかすると、日本語詞を浮かせるように狙っていたのかもしれませんね。
加えて、リイシュー盤には、「The Agenda」がボーナストラックとして収録。
シングル「想」のカップリングとなっていたラップチューンですが、当時はきちんと評価されるべき土壌がなかったわけで。
埋もれていた楽曲が日の目を見るというのは喜ばしいことですな。
格好良い音楽とは、そう簡単に色褪せない。
それを証明する作品だと思いますので、先入観なく聴いてもらいたいです。