FUTURE SENSATION/LM.C
FUTURE SENSATION (通常盤)
3,240円
Amazon |
1. In Future,New Sensation
2. ChainDreamers
3. Virtual Quest
4. Intersection
5. Hangover
6. Hollow Hotel
7. Door!
8. Nothing
9. Twinkle Star
10. Brainwashing
11. Dystopia
LM.Cにとって1年8ヵ月ぶりとなるフルアルバム。
収録曲のインストバージョンを収録したCDやDVD、写真集が付属したボックスセットとなる完全生産限定盤と、CDのみの通常盤でのリリースとなります。
前作「VEDA」が、10周年を総括しつつ、コンセプチュアルにまとめた名盤だっただけに、次の作品はどうなるか。
先行シングルのリリースもなく、詳細が読めない中で発表されたのが本作、「FUTURE SENSATION」でした。
耳にしてみると、従来以上にバリエーション豊か。
もともと、ユニット編成であることを活かして、バンドサウンドに拘らず、デジタルサウンドに振り切った楽曲も得意としてきた彼らですが、その振り幅を更に極端にして、ぐちゃぐちゃに引っ掻き回したような印象です。
軸をどこに置くか、というような戦略が良くも悪くも存在せず、純粋にやりたい楽曲をぶち込んだだけ、とでも言いましょうか。
アルバムの流れを敢えて作らない、というのが新鮮で、1曲進むごとにワクワクしてしまう。
想像した通りに、作品が進行することは一切ないのだもの。
まず、1曲目の「In Future,New Sensation」から、予想の斜め上。
2分弱のショートナンバーなので、まぁ、インストだろうと高を括っていたのだが、Vo.mayaさんによるポエトリーリーディングが重ねられて、早くもアルバムを総括しているのですよ。
音楽的には軸を持たないアルバムではあるのだけれど、テーマとしては芯が一本通っている。
それを暗示的に語っており、これがあることで雑多なイメージが緩和されているのだから目から鱗。
期待感を高めていますね。
続く、リードトラックとなる「ChainDreamers」のベタな青臭さはリスタートにはもってこい。
ただし前述のとおり、わかりやすく進んでいくのかと思わせておいて、どことなくマニアックさが漂う「Virtual Quest」に入れば、そこからはとにかくバラバラ、被りなし。
EDMに振り切った「Intersection」、サーカス的な不気味さとコミカルさを併せ持つ「Hollow Hotel」、切ないバラード「Twinkle Star」など、佳曲をたくさん吐き出しながら、カオティックな場面転換が聴きどころの「Dystopia」に向かっていきます。
最後の最後までセオリーが通用せず、本作においては、それがかえって面白いのでは。
なお、ジャケットは横尾忠則氏が担当。
ポップな裏に哲学や死生観が見て取れるLM.Cのサウンドにマッチしており、インパクトは抜群。
ストリーミングの時代になっても、CD現物を手に取る価値がある作品に仕上がっていました。
<過去のLM.Cに関するレビュー>