FUTURE SENSATION / LM.C | 安眠妨害水族館

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FUTURE SENSATION/LM.C

 

1. In Future,New Sensation

2. ChainDreamers

3. Virtual Quest

4. Intersection

5. Hangover

6. Hollow Hotel

7. Door!

8. Nothing

9. Twinkle Star

10. Brainwashing

11. Dystopia

 

LM.Cにとって1年8ヵ月ぶりとなるフルアルバム。

収録曲のインストバージョンを収録したCDやDVD、写真集が付属したボックスセットとなる完全生産限定盤と、CDのみの通常盤でのリリースとなります。

 

前作「VEDA」が、10周年を総括しつつ、コンセプチュアルにまとめた名盤だっただけに、次の作品はどうなるか。

先行シングルのリリースもなく、詳細が読めない中で発表されたのが本作、「FUTURE SENSATION」でした。

 

耳にしてみると、従来以上にバリエーション豊か。

もともと、ユニット編成であることを活かして、バンドサウンドに拘らず、デジタルサウンドに振り切った楽曲も得意としてきた彼らですが、その振り幅を更に極端にして、ぐちゃぐちゃに引っ掻き回したような印象です。

軸をどこに置くか、というような戦略が良くも悪くも存在せず、純粋にやりたい楽曲をぶち込んだだけ、とでも言いましょうか。

アルバムの流れを敢えて作らない、というのが新鮮で、1曲進むごとにワクワクしてしまう。

想像した通りに、作品が進行することは一切ないのだもの。

 

まず、1曲目の「In Future,New Sensation」から、予想の斜め上。

2分弱のショートナンバーなので、まぁ、インストだろうと高を括っていたのだが、Vo.mayaさんによるポエトリーリーディングが重ねられて、早くもアルバムを総括しているのですよ。

音楽的には軸を持たないアルバムではあるのだけれど、テーマとしては芯が一本通っている。

それを暗示的に語っており、これがあることで雑多なイメージが緩和されているのだから目から鱗。

期待感を高めていますね。

 

続く、リードトラックとなる「ChainDreamers」のベタな青臭さはリスタートにはもってこい。

ただし前述のとおり、わかりやすく進んでいくのかと思わせておいて、どことなくマニアックさが漂う「Virtual Quest」に入れば、そこからはとにかくバラバラ、被りなし。

EDMに振り切った「Intersection」、サーカス的な不気味さとコミカルさを併せ持つ「Hollow Hotel」、切ないバラード「Twinkle Star」など、佳曲をたくさん吐き出しながら、カオティックな場面転換が聴きどころの「Dystopia」に向かっていきます。

最後の最後までセオリーが通用せず、本作においては、それがかえって面白いのでは。

 

なお、ジャケットは横尾忠則氏が担当。

ポップな裏に哲学や死生観が見て取れるLM.Cのサウンドにマッチしており、インパクトは抜群。

ストリーミングの時代になっても、CD現物を手に取る価値がある作品に仕上がっていました。

 

<過去のLM.Cに関するレビュー>

VEDA

PERFECT RAINBOW
PERFECT FANTASY
STRONG POP