VEDA/LM.C
¥3,240
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1. The BUDDHA
2. GaMuShaRa
3. MONROEwalk
4. Fight Club
5. Avocado
6. 阿修羅
7. CHAKRA
8. Phobia
9. レインメーカー
10. Kiss me?
結成10周年となる2016年を締めくくったLM.Cのフルアルバム。
ミニアルバムが続いていたこともあり、フルレンスは2年ぶりとなりました。
収録曲のいくつかに見られる通り、"仏教"をモチーフにしている本作。
実際、1曲目の「The BUDDHA」には、東洋的なサウンドがイントロで使われており、これまでのLM.Cには見られなかったアプローチも多く登場します。
一方で、これまでの作品の集大成という要素もしっかり盛り込まれているのが、本作の特徴でしょう。
カラフルなデジタルロックを軸に、ファンクやハウスなど、彼ららしくバラエティに富んだ内容に仕上げてきている。
コンセプトに寄せて、振れ幅を絞ったというわけではなさそうですね。
むしろ、収録された2枚のシングル「MONROEwalk」、「レインメーカー」で描いていた世界観は、この「VEDA」に繋がっていたのかと、その連続性に驚かされた。
モチーフとして"仏教"を置いてはいるが、それはサウンド面ではなく、精神面。
あくまで死生観を歌うことについてのアイコンとして使ったまで、というスタンスと捉えると受け入れやすいのかな。
先述の「The BUDDHA」にしても、サビまでくれば鮮やかな疾走チューン。
導入SEと、リードトラックを融合させたようなこの楽曲が、本作の肝をわかりやすく指示しているのではないかと。
タイトル的にはコンセプチュアルな「GaMuShaRa」、「CHAKRA」なんかも、サウンドはLM.C節全開なのだ。
そんなわけで、高尚なテーマがあるようで、ラフさも自由さもあり。
ぐちゃぐちゃバラバラのようで、すっきり腑に落ちる構成であり、という相反する要素を内包することとなった作品。
EDM的なサウンドで展開される「Avocado」と、どことなく怨念めいた和風ドロドロ要素がある「阿修羅」が並んでいて、かつ違和感を与えないのだから面白い。
「Phobia」も、ありそうでなかった叙情的なミディアムナンバー。
これがラストに向けた流れの中にカチっとセットされたことで、更に名盤としてのクオリティが高まった印象です。
10周年として求められている内容を理解しつつ、マンネリに陥らないような変化を加えて。
そのうえで、今までがすべて布石だったのでは、と思わせる壮大なテーマをかぶせてくるのだから、そりゃハマりますよ。
流れてくる音楽に身を委ねるだけで、極楽浄土へ行けそうな1枚。
<過去のLM.Cに関するレビュー>
PERFECT RAINBOW
PERFECT FANTASY
STRONG POP