死海文書 / R指定 | 安眠妨害水族館

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死海文書/R指定

 

1. 予言

2. アポカリプティックサウンド

3. -SHAMBARA-

4. パラレル世界

5. あのこ

6. 規制虫

7. 月が綺麗ですね。

8. シンクロ

9. forest

10. 死の祭壇

11. -ZANGE-

12. NEVADA

13. 魅惑のサマーキラーズ

14. SODOM

15. 毒廻る

16. 命日

 

フルレンスとしては2年7ヶ月ぶりのリリースとなる、R指定の5thアルバム。

初回限定盤はトールサイズ仕様となっており、「予言」のMV等が収録されているDVDが付属しています。

 

物々しく呪術的なイントロからスタートする「予言」をリードトラックに据えた本作。

「死海文書」というタイトルも相まって、オカルトな世界観を貫くのかと思いきや、良くも悪くもR指定の幕の内弁当といった内容に仕上がっているのではないかと。

激しく振り切った楽曲もあれば、爽やかに疾走するナンバー、バラードまで用意されていて選り取り見取り。
その意味では、前作「少女喪失-syojosoushitsu-」の進化系と言えるでしょうか。
 

"進化系"と記述したのは、アルバムとしての構成力が、段違いに良くなったため。

1曲として同じタイプの楽曲はないのではないか、というぐらいにバラエティ性に富んでいるのですが、しっかりとまとまっているのですよ。

前作の、"幅を出した結果、カオティックになったけれど、それもR指定らしいでしょ"という強引さではなく、仮にR指定を知らなくても"流れがいいね"と感じるであろうバランスの良さ。

シングルから6曲、全部で16曲という大ボリュームの作品において、中だるみをさせずにまとめ切ったところに、彼らの成長を認めないわけにはいきません。

 

また、バリエーションの幅が広いからといって、テーマ性に弱いわけでもない。

インストナンバーである「死の祭壇」が、「予言」から地続きのオカルトな世界観を深めており、マニアックな展開とエキゾチックなサウンドワークをもって「-ZANGE-」に繋げる役割を果たしているのが肝。

中盤で改めてテーマを掘り下げ、明確化したことで、芯が通った感があるのですよね。

 

楽曲単体に目を移すと、王道的に攻めて序盤の流れを生み出す「アポカリプティックサウンド」、R指定らしさを体現するかのように、少女の精神性を可視化した「あのこ」、美しさと激しさの表裏一体を見事に切り取った「月が綺麗ですね。」、パンキッシュに突き抜ける「NEVADA」など、キラーチューン多数。

全体を通して聴くことでアルバムが完成するのは前提として、どこから聴いてもリスナーを引き付けることが出来るというのも、大きな武器となっています。

 

欲を言えば、ここにひとつアンバランスを落とし込んで、圧倒的なインパクトをもたらすことができていれば。

R指定のアルバムには、完成度の高さだけでは語れない、もっとドギツいインパクトを求めていたのも確か。

「命日」が悪いというわけではないのだけれど、前作の「さらばビッチ」で見せた壮絶なラストシーンを知ってしまっている身としては、綺麗に収まりすぎていると感じる部分がないわけではなく、次回作に向けた伸びしろと理解したい。

当初は、オリジナリティに欠けることがネックだった彼らも、今やメンヘラ系の第一人者。

ここまで来たら、そんな高みに到達することを期待してしまっても良いでしょう。

 

<過去のR指定に関するレビュー>

日本アブノーマル協会

少女喪失-syojosoushitsu-

ずっと、ともだち
VISUAL IS DEAD
日本沈没
人間失格