日本アブノーマル協会 / R指定 | 安眠妨害水族館

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日本アブノーマル協会/R指定

 

1. ぼくらのアブノーマル

2. delete.

3. 君にオーバードーズ

4. the Red papers

5. スタンド・バイバイ・ミー

 

R指定の3rdミニアルバム。

国会議事堂を背景にしたジャケットが挑戦的に映ります。

 

CDの売れない時代に、あえての1種売り。

左右逆開きとなるピンククリアケース仕様で、ブックレットの紙の質感にもこだわりが見える。

90年代V系バブルの頃に良く見た手法ではありますが、正攻法で"特別な1枚"にするべく、ここに回帰するというのが、ある意味で彼ららしいな、と。

 

内容としては、ジャケットやタイトルからのイメージと違わず、過激なワーディングを多く用いていますね。

「ぼくらのアブノーマル」、「the Red papers」なんかは、特にわかりやすく攻撃的。

腐敗した現代シーンの闇にザックリと切り込んだ「delete.」も、業界にもファンにも敵を増やしかねないアプローチです。

主流とは外れた立ち位置にいるバンドや、常日頃からバンギャルネタを歌っているコミック寄りのバンドであるならともかく、第一線で活躍する彼らからの問題提起となれば、重みが変わってくるのでは。

 

面白いもので、もともとはオリジナリティが弱かった彼ら。

どちらかと言えば、過去のバンドが培ってきたギミックを咀嚼して、現代シーンに還元するセンスの高さで勝負してきた印象だったのですが、このように主流から一歩引いた立場でのミニアルバムを制作したことで、確固たるオリジナリティを持っていたように見えてくるから不思議です。

 

彼らにしてみれば、還元する時間軸を、少し前のシーンに戻しただけ。

それを、原点回帰と見せたことによって、これがR指定らしさだ、と定義づけする効果があったと言えるでしょう。

実際、古臭くもないし、過去からの踏襲という印象は受けない。

一方で、現代シーンの中で埋もれることのない、唯一無二の作品に仕上がっているのである。

 

全体的なバランスという点では、最初の2曲が衝撃的すぎたこともあり、ミディアムバラード「 スタンド・バイバイ・ミー」で美しく締めくくる終盤に向けた流れが、どうも記憶に残りにくいきらいはあるでしょうか。

1曲1曲は佳曲なのだが、フルアルバムであれば、もっと個々を活かす料理方法はあったのかなと思ってしまうだけに、そこが残念。

 

もっとも、そうは言ってもクオリティは高く、序盤のインパクトだけでも十分に刺激的に仕上がっています。

1種売りの潔さも勘案、買っても損はしない1枚。

 

<過去のR指定に関するレビュー>

少女喪失-syojosoushitsu-

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