DO NOT BELONG TO ANYTHING/E.T
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DO NOT BELONG TO ANYTHING
3,456円
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1. Still Alive
2. Melt-Down
3. Rebron
4. AMBlVALENCE
5. FLASH BACK
6. Tomorrow is Anotherday
7. REASON
8. Stricken with Distress
9. ALONE
10. GENERATION(Acoustic.ver)
結成から8年、現体制になってから4年。
2017年、満を持してリリースされたE.Tの1stフルアルバムです。
待たされた分、密度の濃さは並じゃない。
過去に発表された楽曲の再録や、ライブで演奏されてきたナンバーの初音源化、書き下ろしの新曲まで、全部詰め込む全10曲。
ボリュームとしてはコンパクトかもしれませんが、無限に広がるE.Tサウンドのスケールの大きさを示すことはできているのでは。
10年前に流行ったニューメタルから、現代風のアプローチを取り入れたジェントナンバーまで、時代性を無視したごちゃまぜ感。
ラウドロック、ヘヴィーメタル、ミクスチャー…
ポストロックのジャンルなら何でもやってしまえるのが彼らの魅力か、とまとめようとしたところ、シングル「GENERATION」のアコースティックバージョンが収録されているなど、とにかく懐が広いのですよ。
ロックを主軸にしながら、アコースティックライブも定期的に敢行している彼らだからこそのクロスオーバー。
際立った派手さはないが、この器用さは興味深い。
一方で、では散漫になっているかと言えば、それは違う。
どの楽曲においても、Vo.浩さんのエモーショナルな歌声を活かすアレンジになっていて、激しく攻撃性を示した後は、メランコリックで繊細なメロディを、とコントロールされているかのよう。
様々な音楽性を取り入れているのだが、必ず噛み砕いて自らのサウンドに昇華しているので、ひとつひとつの流れが自然なのです。
クロスオーバーを、ギャップを生むためのアクセントではなく、必然に聴こえるようにさらりとやってのけてしまうセンスの良さ。
本格的な格好良さがありますね。
リードトラックである「Still Alive」は、美しく展開されるメロディが特徴のミディアムナンバー。
こういう楽曲でスタートすること、こういう楽曲をリード曲にしたことは、少し意外だったのですが、聴き進めていけば、それも納得。
厚く響く重低音と、繊細なフレーズと、感情が込められたボーカルラインと、ラップが入るシニカルさ。
演奏もマニアックで、表面的にはE.Tに求められている激しさとは異なる種類かもしれないのだけれど、その実、E.Tのすべてが凝縮されているという、このアルバムのスタイルにはぴったりな1曲でした。
V系シーンにも邦ロックシーンにも染まり切らず、あえて孤高を貫くE.T。
力強くもあり、ナイーブにも聞こえる「DO NOT BELONG TO ANYTHING」というタイトルは、ある種の決意表明でしょうか。
なかなか入門書が出来上がってこなかった中、フルアルバムの存在は大きいわけで。
気になっているのであれば、取り急ぎ手に取っておいて間違いのない1枚です。
<過去のE.Tに関するレビュー>