Missing Link / PENICILLIN | 安眠妨害水族館

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Missing Link/PENICILLIN

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1. Chaos

2. Brand New Lover

3. VANITY

4. Miss Cool (New Mix)

5. マゾヒスト

6. Nightmare Before Christmas

7. FIORE

8. Melody

9. 螺旋階段 (New Mix)

10. Virginal

11. Imitation Queen

12. In the Kingdom of the Moonlight

13. Miss Cool (Instrumental)

14. 螺旋階段 (Instrumental)

 

PENICILLINのインディーズ時代にリリースした1stフルアルバム。

後にボーナストラックが追加され、全曲リマスタリングされたメジャー流通盤もリリースされます。

他にも細かくジャケット等の仕様が異なったものが存在しており、全部で何種類あるのでしょうか。

 

オリジナルは1994年の作品。

もう20年以上の前の作品となるため、リマスタ盤についても現代と比較すれば音質が良いとは言えない状態ですが、そこにパッケージされた音楽は、当時のV系シーンをそのまま切り取っているとも言えるのかもしれません。

 

というのも、彼らの音楽性の変遷を踏まえれば、彼らだけの個性というのは、この段階ではないも同然。

ただし、この作品においては、そこが肝なのだ。

ダークな世界観に、ツタツタしたハードナンバーで攻撃性を示すと、ポップチューンも、バラードも惜しみなく収録して、バラエティ性の豊かさもアピール。

ある種の優等生的なアプローチで、まさに美味しいところどり。

まだまだ黎明期で、定義がはっきりしていなかったヴィジュアル系シーンにおいて、王道という一本の筋を通していたのですよ。

 

象徴的なのは、代表曲となる「Chaos」。

異国情緒漂うSEからシリアスに豹変し、激しくまくしたてると、"eins… twe… drei… vier…"というお約束のシャウトが飛び出す。

現代ではメタ的なネタ曲になってしまいかねないのですが、当時はこのコテコテ感が衝撃的だったのですよ。

続く「Brand New Lover」もハードで、この2曲で印象を持っていった形。

後半は、キャッチーな「Melody」や、バラードである「螺旋階段」なども入ってくるのだけれど、全体的にはコテコテでハードなPENICILLINというイメージを残すことになりました。

 

トピックとしては、「Nightmare Before Christmas」で、Media-YothのKIYOSHIさんが作曲を担当しています。

彼も、PENICILLINとは縁が深く、後にHAKUEIさんとmachineを結成するギタリスト。

KIYOSHIさんらしさが全開で、ロック色の強いこの楽曲は、本作の音楽性の幅を広げるのに一役買っていますね。

 

なお、「Imitation Queen」、「In the Kingdom of the Moonlight」、およびインスト2曲は、発売当初のバージョンには収録されていないボーナストラック。

中古市場での価値はたいして変わらないので、収録曲が多いものを探すことをおススメします。

「In the Kingdom of the Moonlight」はデジタル色が強いインダストリアルチューンで、いかにもボーナストラックといった様相ですが、「Imitation Queen」は、HAKUEIさんのアクの強い歌唱を活かしたハードナンバーで、どうせだったらこちらも併せて聴いてほしい。

アルバムにカラオケバージョンが含まれるのは、リピートで聴くには馴染まないかもしれませんが。

 

<過去のPENICILLINに関するレビュー>

Lover's Melancholy

Lunatic Lover

Memories -Japanese Masterpieces-
瑠璃色のプロヴィデンス
No.53
God of grind