MUSIC/葵-168-
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1. MUSIC
彩冷えるの限定復活等の動きはありましたが、リリースとしては実に3年半ぶり。
沈黙を破る、葵‑168‑のデジタルシングルです。
作詞は葵さん本人、作曲は、盟友である涼平さん(メガマソ/Migimimi sleep tight)が担当している本作。
この二人がタッグを組んだから、という部分は大いにあるのでしょうが、アヤビエの結成当初のバチバチとした攻め気を感じずにはいられません。
疾走感があるザ・V系的なサウンドにしても、涼平さんの楽曲らしいメロディの乗せ方やギターのフレーズにしても、あえてあの頃を雰囲気を求めている印象。
生き急ぐように突っ走る大サビの部分には、懐かしさを感じるリスナーも多いのではなかろうか。
黒須克彦さんによるキャッチーなアレンジも、彼らの世界観にガシっとハマっていて、もうこれは、ツボとしか言いようがない。
そして、もうひとつ熱情を感じるのが、葵さんの心情をそのままパッケージしたような歌詞。
初期のアヤビエと言えば、涼平さんの描く不思議ワールド。
それは確かにそうなのだけれど、この楽曲に関しては、葵さんが歌詞を書いたことで、初期衝動を取り戻したといっても過言ではないでしょう。
"常識の線引き 僕の年齢が越えてく"というフレーズが象徴するように、ピークを終え、上り詰めることができなかったという現実をシビアに描きつつ、それでも"しがみついて手を伸ばす"と改めて決意表明。
涼平さんが自信満々に、挑発的に描いてきた歌詞へのアンサーソングとしてはあまりに寂しい気もするが、だからこそグッとくるのだ。
想像していた未来とは違うけれど、まだまだ彼らは諦めてはいない。
ここ最近の葵‑168‑の活動から、細々とした動きが続くと思っていただけに、もう一度自らを奮い立たせようとするこの「MUSIC」は、多くのリスナーにとってのアンセムになっていくのでは。
配信限定でのリリースということで、能動的に情報を取りに行かなければ触れることのないナンバーとなるのだけれど、あの頃のファンにこそ聴いてほしい1曲。
できるだけ多くの人に存在が知られ、届くべき人に届くことを願います。
<過去の葵-168-(葵 from 彩冷える)に関するレビュー>