秘すれば花 / 葵-168- | 安眠妨害水族館

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秘すれば花(初回限定盤A)/葵-168-


1. 秘すれば花
2. 蜃気楼
3. requiem

 

秘すれば花(初回限定盤B)/葵-168-


1. 秘すれば花
2. 蜃気楼
3. BURN

 

秘すれば花(初回限定盤C)/葵-168-


1. 秘すれば花

 

秘すれば花(通常盤)/葵-168-


1. 秘すれば花
2. 蜃気楼
3. 秘すれば花-other story-10の朗読 <パート1>
4. 秘すれば花-other story-10の朗読 <パート2>

彩冷えるのボーカリスト、葵さんによるソロプロジェクト、葵-168-。
本作は、2013年に発表されたワーナーミュージック移籍第一弾シングルです。

初回限定盤3タイプに、通常盤の、合計4種類でのリリース。
初回限定盤Aタイプ、Bタイプがそれぞれ1曲が異なる3曲入り。
Cタイプが表題曲のみのワンコインシングルとなっています。
通常盤には、2トラックに分かれた葵さんによる朗読が収録されており、よりディープに「秘すれば花」の世界観を堪能できる仕様と言えるでしょうか。

タイトル曲は、昭和を飾った作曲家、故・井上大輔さんの未発表曲にアレンジを加え、葵さんが歌詞を書き下ろしたもの。
妖艶で華やか。
和楽器を取り入れ、レトロなメロディを最大限に活かす演出が施されていますね。
一度聴けば耳から離れないサビのインパクトも鮮烈です。
昭和歌謡と和モチーフのV系的な雰囲気がマッチして、面白いコラボレーションが実現できたのではないかと。

初回限定盤Cを除く全作品でカップリングとして収録されたのは、「蜃気楼」。
こちらは、葵さんのソロ作品の王道といった切ないメロディアスナンバー。
世界観はガラっと変わりますが、これもなかなかの佳曲である。
本人が作曲したわけではないのですが、葵さんのボーカルのツボをよく心得ており、言葉を詰め込むようなメロディは、まさに彼の真骨頂。
なんとなく、彩冷える時代に葵さんが作曲を担当した楽曲を思い出しました。

初回限定盤Aのみに収録された「requiem」は、様式美重視のクラシカルチューン。
葵さんの新しい一面を引き出すアプローチで、激しかったり、静けさが漂ったり、ドラマティックな構成となっています。
弱々しかった印象があった歌唱についても、表現力が増して力強さが見えるようになったイメージ。
こういう楽曲もできるようになっていたのか。

初回限定盤Bのみに収録された「BURN」は、本作中、もっともハードさを前に出したナンバー。
バンドサウンドでガツガツと攻める一方、鍵盤の音で繊細さも表現しながらキャッチーでダンサブルなサビへと移行する、お約束を押さえた楽曲ですな。
新鮮味を感じる音楽性ではないものの、ソロ活動以降、ポップ寄りの楽曲が多かった葵さんだけに、この手のサウンドを待っていた!というファンも多かったのではなかろうか。

最後に、通常盤に収録された「秘すれば花-other story-10の朗読」。
特殊な録音技術を使っているということで、イヤホンの左右から立体感のある音像で聴こえます。
これにより、朗読ということではありますが、ラジオドラマのようにライトに聴くことが可能に。
2トラックで10分以上と、さすがに長さを感じてしまいますが、思ったよりもとっつきやすかったかな。

葵さん本人が作曲している楽曲がないのが寂しい気もしますが、カップリングも含めて捨て曲なし。
特に、新境地でありながらノスタルジックな雰囲気もある「秘すれば花」と、葵さんらしい名曲「蜃気楼」のクオリティの高さには参りました。
小分けにしすぎて、購入に踏み切れない層も多そうで、そこだけがもったいない。
6トラックまとめて1枚にしても、十分に作品として成り立ちそうなのだけれど、そこに突っ込んではいけないのですかね。

このプロジェクト、シングルを数枚出してから音沙汰がなくなってしまったのですが、アルバムの制作は期待できないのかしら。
本作は少し浮いた位置づけにあるのも事実なので、リリースされるとしても収録されないかも。
そう考えると、やはり手に入れておきたい作品となるのでしょう。
どれか1枚、というのであれば、初回限定盤AかB、差し替えられたカップリング曲の好みによってセレクトするのがおススメです。

<過去の葵-168-(葵 from 彩冷える)に関するレビュー>
夢の彼方へ
ONE(葵 from 彩冷える)