nos.black / STEREO.C.K | 安眠妨害水族館

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nos.black/STEREO.C.K


1. Fake
2. Fly

会場と通販限定でリリースされたSTEREO.C.Kの4thシングル。
ライブでの定番となっていた「Fly」を含む2曲を収録しています。

ただでさえリリースペースがゆっくりなうえ、流通作品からは遠ざかっている彼ら。
世間的にはやや地味な活動にも映るのですが、だからといって楽曲のクオリティが落ちているわけではありません。
円熟味のある渋いサウンドは相変わらず。
それでいて、しっかりキャッチーに仕上げているのが本作の特徴でしょう。

「Fake」は、タイトなリズムで神経質に進行されるミディアムナンバー。
全体的に薄暗い空気を纏っているのだが、サビでは美しいメロディが待っている。
淡々と演奏しているせいか、シンプルに聴こえるのだけれど、実際にひとつひとつを紐解いていくと面白い工夫が発見できるというのもポイントです。
弾くところ、弾かないところの駆け引きが絶妙。
マイナスの美学がある楽曲だな、と。

「Fly」は、更にメロディアスな方向に振り切って。
シングルのタイトルを曲名とかぶせなかったのは、こちらがカップリング扱いになることを避けたかったのかな、と邪推したくなりますよ。
美しく、儚く、ダークな雰囲気もありつつポップさもあり。
派手さはないのに、1度聴いたら忘れられないナンバーです。
ギターを刻んでいるだけのパートですら耳に残るのだから恐ろしい。

ガツンとくるインパクトはないかもしれない。
だけど、聴いているうちにじわじわ良さが染み渡っていく。
収録されていたのは、そんな楽曲たちでした。

これは言っても仕方ないことだが、やはり2曲では物足りないなぁ。
小出し、かつインターバルが長いため、もはやこれが彼らの王道なのか、邪道なのか、既に判断つかなくなっているという状態。
マイペースに続けてくれるのが一番ですけれど、それでも次の作品を早く聴きたい、と思ってしまうのは仕方ないことですよね。

<過去のSTEREO.C.Kに冠するレビュー>
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