メランコリパルフェ / 実験台モルモット | 安眠妨害水族館

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メランコリパルフェ/実験台モルモット


1. 鮮やかな灰色のパレヱド
2. 病猫タナトフォビア
3. キラリグサリ私雨
4. 傷と傷と傷
5. 小さな虫 ~共鳴~
6. ジアスターゼの鞄
7. 心算
8. メルクマールの表彰台
9. 逆さ部屋のビスクドヲル
10. 透明な虹色のパステル

実験台モルモットの4thアルバム。
オフィシャル通販やライブ会場での販売となっています。

コエ.谷琢磨さんの"男の娘"としての活動が目立つようになってきたものの、やはり彼らの心髄は音楽にある。
最近はアクセサリー付きのシングルリリースが続いており、やや手を出しにくい販売形態となっていましたが、本作については10曲入りで2,000円。
バッジセットでも2,500円という良心的な価格設定。
初心者が触れてみるには、ちょうど良いサイズなのではないかと思われます。

先行シングルから6曲を収録。
「小さな虫」も、過去の楽曲の再録であり、新曲は少なめ。
しかしながら、ベスト盤という印象は受けず、しっかりとオリジナルアルバムとして機能しているから納得せざるを得ないのですよ。

実験台モルモットは、"鬱曲"ばかり演奏するバンドとしてもじわじわ知名度を上げてきているわけですが、シングルが多く収録されたことも影響してか、アップテンポの楽曲の割合が多くなった印象。
歌詞でナイーブで内向的な部分は残しつつ、暗く、重くなりすぎないようにバンドサウンドで中和。
その結果、とてもバランスが良い作品に仕上がりました。

「鮮やかな灰色のパレヱド」でじっとりじめじめスタートするものの、「病猫タナトフォビア」、「キラリグサリ私雨」、「傷と傷と傷」と、レトロなアッパーチューンで勢いをつける。
後半にも、彼らにしてはストレートな歌謡ロック「心算」や、V系リスナーにもすんなり落ちてきそうな疾走系ナンバー「メルクマールの表彰台」など、盛り上がりどころが待っています。
ヴァイオリンやピアノを上手く絡めながら、心なしか、ギターが前に出た楽曲が多くなった気がしますね。

谷さんの歌唱のバリエーションも、更に広がったな。
女性的な歌声で、優しく伸びやかに歌い上げるだけでなく、力強く荒っぽく歌ってみたり、刹那的にか細く歌ってみたり、変幻自在に楽曲の世界観を表現していきます。
これまで以上にロックテイストが強まったことで、まだまだポテンシャルを秘めていることを示した形。
それにより、真骨頂である「透明な虹色のパステル」のような歌謡バラードが映えるのである。

ひたすら暗い実験台モルモットが好きだったリスナーには、変化を感じるアルバムとなった部分はあるのでしょうが、個人的には最高傑作ではないかと。
流通に乗っていないのは、もったいないなぁ。
小規模のバンドだからこその、総合芸術的なアプローチを続ける彼ら。
このスタンスで東京キネマ倶楽部での単独公演を成功させるまで来たので、軸を曲げずに行けるところまで行ってほしいものです。

ちなみに、「ジアスターゼの鞄」の作曲者について、ブックレットに誤植があるとのこと。
ピアノ.あいあいさん名義となっていますが、ヴァイオリン.多ヶ谷 樹さんが正当のようです。
ビニール包装上のシールに訂正文が記載されていますが、保管しておくようなものでもないので、備忘録として。

<過去の実験台モルモットに関するレビュー>
鮮やかな灰色のパレヱド
見開キ こころ 断面図
アールデコの手摺を離したら/ばらばら遊園地
千編万歌
良い子のための感傷キセカヱ型録