アールデコの手摺を離したら/ばらばら遊園地 / 実験台モルモット | 安眠妨害水族館

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アールデコの手摺を離したら/ばらばら遊園地/実験台モルモット
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1.アールデコの手摺を離したら
2.ばらばら遊園地

実験台モルモットの配信限定シングル。
アートワークを現物で堪能できないのはもったいない気がするけれど、そのうち、アルバムになったりするのでしょうか。

「アールデコの手摺を離したら」は、ピアノ担当、あいあいさんが作曲した楽曲。
歌詞は、Vo.谷 琢磨さんのblogにて紹介されています。
配信限定だと、歌詞カードがないので、こういう気遣いはありがたい。
http://ameblo.jp/tani-takuma/entry-11501500238.html

ピアニストが作曲しているだけあって、美しい旋律からスタートする大人びたナンバー。
よどみなくあふれ出すようなメロディが印象的です。
バイオリンとピアノがアレンジの肝になっていて、繊細な演奏のひとつひとつにレベルの高さがうかがえる。
相変わらず、歌詞には痛みや空虚さが含まれており、暗さを帯びているのですが、曲の雰囲気としては、優しく、午後のカフェで流れていると落ち着くイメージ。
これを歌いこなす谷さんの歌唱力も手伝って、いちいち彼らの世界観に引き込まれてしまいますね。

もう1曲の「ばらばら遊園地」は、Asriel等にもサポートミュージシャンとして参加しているバイオリニスト、多ヶ谷 樹さんの作曲。
こちらも、谷さんのblogで歌詞が紹介されています。
http://ameblo.jp/tani-takuma/entry-11543491990.html

こちらは、実モル節と言いましょうか。
大人びたイメージはそのままに、ジャジーさがあり、少しスリリングな楽曲。
内面から滲み出るような感情の激しさが、早口でまくしたてる歌声により、勢いよく投げつけられるよう。
ゴリゴリとしたハードさを重視する売れ線のロックサウンドと聴き比べれば、まったく別ジャンルではあるのですが、柔らかい音のアンサンブルだけで、こうも激しさを表現できるものか。

シングル的かどうかは置いておいて、精神的に暗くなる世界観の中にも、メロディにインパクトがある楽曲を選んでいるのかな。
さらっと聴く分には、とてもお洒落で、BGMには最適。
しかしながら、聴き込んでみると、思っていた以上に病んでいるぞ、という。
独特なイラストや、男の娘を突き詰める谷さんのヴィジュアルコンセプト等々、サブカル好きがのめり込む要素は多いんじゃなかろうか。

何気に活動暦が長いバンド。
そろそろ、届くべき人に届いてほしい。
全国で購入可能なデータ配信という販売形態には、そういう想いも込められていたりして。

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