鮮やかな灰色のパレヱド / 実験台モルモット | 安眠妨害水族館

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鮮やかな灰色のパレヱド/実験台モルモット


1. 鮮やかな灰色のパレヱド

実験台モルモットのライブ会場や通信販売で購入できるシングル。
ペンダント付きCDという仕様となっています。

ピアノ.あいあいさんが作曲、コエ.谷琢磨さんが作詞を担当。
イントロから、ヴァイオリンとピアノが雰囲気を作る、幻想的な楽曲に仕上がりました。

薄暗い森の中を歩いているようで、だけど、その向こうには広大な夜空が広がっているようで。
周りは賑やかなのに、自分はひとりぼっち。
そんな精神的な孤独を、サウンドにおいても歌詞においても、実にアーティスティックに表現しています。
"鮮やかな灰色"というタイトルのフレーズも、それを端的に示していて、とてもグッとくる。

谷さんの圧倒的な歌唱力は、もはや言及する必要がないレベルですね。
女性かと思うくらいに優しく澄んだ声で、序盤の静かなパートをしっとりと歌い上げると、鮮やかに広がっていくサビでは、はっきりスイッチを入れて高らかに。
かなり難しいボーカルラインですが、表現力をフルで発揮している状態で、この安定感をもたらせるのだから、聴き惚れるあまりに尊敬の念すら抱いてしまいます。

異国的なコーラスが入ってパレードを盛り上げつつ、ラストシーンでは、再び孤独感を演出する静けさを。
どうしても谷さんの表現力に注目してしまいがちですが、メンバー全員が高いレベルで演奏をこなせるうえに、アレンジや曲構成に至るまで、しっかりと世界観の追及にも貢献しているのだから、ケチのつけようがありません。
シングル的かと言われると難しいところですが、お洒落でテクニカルで暗くて病んでいる。
実験台モルモットの個性や強みは凝縮されているのも事実です。

なお、価格設定は1,500円。
ペンダントのおまけにCDが付属されるととるか、CDのおまけにペンダントが付属されるととるかで、印象は変わるだろうなぁ。
ビギナーであれば、手に取りやすいアルバム作品などから聴き始めるのが正解でしょうね。

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