子 ギャル / hide | 安眠妨害水族館

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子 ギャル/hide

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1. 子 ギャル
2. Junk Story
3. In Motion
4. TELL ME(hide with Spread Beaver)
5. HURRY GO ROUND
6. ever free
7. ピンク スパイダー
8. ROCKET DIVE
9. GOOD BYE
10. Hi-Ho
11. Beauty & Stupid
12. MISERY
13. TELL ME
14. DICE
15. 50% & 50%
16. EYES LOVE YOU

幻の楽曲が、現代の新技術により遂に完成。
多くのメディアからも注目された「子 ギャル」は、hideの生誕50周年記念アルバムとして2014年に発売されました。

本来、「Ja,Zoo」に収録される予定だったものの、デモバージョンのみを残してhideさんが急逝してしまったため、未収録に終わってしまった楽曲、「子 ギャル」。
当時は再現不能とされていましたが、生前に発表された曲からバック音源を取り除いたボーカルトラックを切り出し、足りない部分はVOCALOIDの新技術を駆使して補完。
ゲストボーカルを招くでもない、インストバージョンで断片だけ示すのでもない、hideさんの声によってリスナーの耳に届けられたのです。
これは、革命的な事件でした。

その「子 ギャル」は、3分程度のアッパーチューン。
ケバケバしく派手なサウンドと、ポップなメロディラインの融合は、hideさんの声が乗っていなくともhideさんの楽曲であると認識できるほど。
ノリの良さだけでなく、演奏でも歌メロでもしっかり耳に残るのは、彼のセンスが20年近く経っても古くなっていないということの証明である。

気になるボーカルトラックですが、思ったよりは違和感がありませんでした。
本来ならばもっと歌い方にメリハリがあったのでしょうし、ブレスの部分を生っぽくするために過剰に演出している側面はあるのですが、日本のテクノロジーって、本当に凄いのだな。
チャラチャラした軽い雰囲気すらある楽曲ではあるのだけれど、hideさんの歌声を再現するために努力した様々な関係者の想いも伝わってくるようで、どうしても感慨深くなってしまいます。

あとは、"hide商法"による賛否両論でしょうね。
音楽の探求と技術の革新。
どうしても資金は必要になりますから、商売と結び付けて考えざるを得ないのは仕方ないのかもしれませんが、故人が絡んでくるとなると、議論が発生するのは避けられないでしょう。
個人的には、単純に"未発表曲がリリースされる"のは嬉しいというのが本音。
「子 ギャル」に限って言えば、技術的な面でお金がかかっているのは明白なので、既存曲を収録してアルバム形式にしたのも、納得できる範囲内かと。

まぁ、これまでに何度ベストアルバムを出したんだよ、という点から言えば、「hide SINGLES ~Junk Story~」を包含する形になってしまったのは、考慮の余地があったとも思いますが。
そういう意味では、当初hideさんが想定していた曲順を再現した「Ja,Zoo」の完全盤として発表していたら、もっと世間的な評価も違ったのではないかなぁ。
何度も発表されているシングル曲よりも、リマスタのニーズはありそうですし。

<過去のhide(hide with Spread Beaver)に関するレビュー>
HURRY GO ROUND