HURRY GO ROUND / hide with Spread Beaver | 安眠妨害水族館

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HURRY GO ROUND/hide with Spread Beaver
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1. HURRY GO ROUND

2. HURRY GO ROUND(voiceless version)


hideの死後に、hide with Spread Beaverの名義で発表されたシングル。

当初は8cmシングルとしてリリースされましたが、後に12cmバージョンで再発されました。


hideさんと言えば、メタルバンドだったXに、ポップで鮮やかな色彩を注入した張本人。

本作も、そんなhideさんのカラフルでキャッチーなメロディセンスに溢れています。


攻撃的な作品も良いのだけれど、なんといっても、この楽曲には優しさ、あたたかさがある。

"元気を出そう"的な、直球のアプローチでこそありませんが、捻くれていて、こまっしゃくれていて、それでも憎めない人柄が表れているようで、ミディアムテンポの淡々としたフレーズが心地よいグルーヴ感を生みだしていました。

素直にに聴き流しても名曲ではありますが、その構成に見られる工夫もさすが。

4/4拍子で耳馴染みの良いフレーズが続くな、と思っていると、気付けばいつの間にか6/8拍子に。

1番と同じような歌メロを、なんと、拍子を変えたまま歌いきってしまいます。

こんな構成、後にも先にも聴いたことがないのだけれど、それなのに、強引さがない、聴きにくくなっていない。

この辺は、センスの良さと言う他ないのでしょうか。


デモ音源を、メンバーが肉付けして完成させた作品なので、もしかすると、hideさんとしては、もっと違った作品に仕上げたかったのかもしれない。

演奏的には、もう少し工夫したいところはあったのでしょう。

しかし、だからこそ、今までのhideさんにはない色味も出せたというのも事実。

どのエッセンスが欠けても、この味は出なかったのだろうな。


「また 春に会いましょう」

このフレーズに尽きる、色褪せない1曲です。