1. Fare Well
2. Caress of Venus
3. Round and Round
4. flower
5. "good-morning Hide"
6. the Fourth Avenue Cafe
7. Lies and Truth ("True" Mix)
8. 風にきえないで ("True" Mix)
9. I Wish
10. Dearest Love
L'Arc～en～Cielの通算４枚目のフルアルバム。
彼らにとってオリコンチャート１位を獲得した最初の作品であり、ミリオンヒットとなりました。
本作は、Dr.sakuraが在籍する最後のアルバム。
前作「heavenly」で示していたポップ要素を、更に研ぎ澄ませた作品となっており、初期の幻想的な世界観と、メンバーチェンジ以降のロック志向の強いサウンドとの、ちょうど間にあるような位置づけでしょうか。
「風にきえないで」、「flower」、「Lies and Truth」といったシングル曲のキャッチーさが際立つも、ハードな曲あり、美しく繊細なバラードあり、J-POP界にインパクトを与えるにはこれ以上ないラインナップが揃っています。
壮大なバラード、「Fare Well」からはじまる意表を突いたスタートから、クロスフェードして流れてくるのは代表曲である「Caress of Venus」。
軽やかなギターが絡むダンサブルなサウンドは、重低音が主流になった現代であっても、色褪せることなく存在感を発揮しています。
このクリアなギターフレーズこそ、まさにL'Arc～en～Cielの醍醐味。
キラーチューンである「flower」においても、透明感のあるアルペジオが良い味を出している。
ポップでありながら、ナイーブで物憂げな感情を表現しているようで、とっつきやすくも奥行きのある音楽性を実現しているのですよね。
中盤での聴きどころは、何と言っても「the Fourth Avenue Cafe」でしょう。
sakuraさんが作詞を担当した"good-morning Hide"をアクセントに挟んで投入されるメランコリックなナンバーは、シングルカットが決まっていただけあり、彼らの新たな可能性を示していました。
サウンド面では、東京スカパラダイスオーケストラとのコラボレーションが試みられており、ホーンの音色が切なくも大人びた雰囲気。
Vo.hydeさんの色気のある歌声も含めて、すべてにおいてクオリティが高いと思わせる１曲である。
「Lies and Truth」、「風にきえないで」は、アルバムミックスで。
演奏パートにシングルとは異なるフレーズが用いられていたり、使用する楽器も違っていたりするので、コアなファンであれば聴き比べしたいところです。
否が応でも盛り上がってしまう構成で、この後に持ってきたクリスマスソング、「I Wish」のハピネスっぷりには、"大団円"という言葉がしっくりきそう。
ネガティブな初期の空気感は薄れるけれど、こういうのも悪くないでしょ、とリスナーに問いかける。
従来のファンからしたら"邪道"とも言えるこの楽曲が受け入れられたことは、L'Arc～en～Cielが世界に羽ばたくうえで、重要なファクターだったのかもしれません。
そして、最後に届けられたのは「Dearest Love」。
Ba.tetsuさんのファルセットによるコーラスワークが印象的ですな。
三連符で進行されるバラードは、これまでの流れを丁寧に総括しつつ、それ単体でもインパクトを放つ。
V系シーンにおける名盤のセオリーには合致しない手法ながら、ここまで誰もが認める名盤を作り上げてしまったという事実には、20年近く経とうとしている今でも、驚かざるを得ませんよ。
ロングセラーとなった作品だけあって、本作に対する思い入れが強いというリスナーも多そう。
所謂、"初期ラルク"の音楽性を脱皮しはじめる時期でもあるので、その思い入れがポジティブなものかネガティブなものかは人それぞれなのですが、ターニングポイントであったのは間違いありません。
L'Arc～en～Cielを語るうえで、避けては通れないモンスターアルバム。
＜過去のL'Arc～en～Cielに関するレビュー＞
BUTTERFLY
P'UNK IS NOT DEAD（P'UNK～EN～CIEL）
DUNE 10th Anniversary Edition
SMILE
The Best of L'Arc～en～Ciel c/w
HEART