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ALL I NEED (TYPE B)/REALies,アルルカン ペンタゴン

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1. 踏切迷子 / ペンタゴン
2. あの影の中で / REALies
3. エンヴィー / アルルカン

GOEMON RECORDSに所属する3バンドが大集合。
全曲が未発表曲というスプリットシングルです。

TYPE-AにはREALies、ペンタゴンが参加したCDに加え、「ごえもん新年会公演」の様子を収録したDVDが付属。
TYPE-Bにはアルルカンも加わって、3曲入りのCDのみの仕様となっている。
こうして改めて所属バンドを並べてみると、ゴエレコ勢の躍進を認識せずにはいられません。

「踏切迷子」は、ペンタゴンらしい同期によるミステリアスなフレーズと、キャッチーな歌メロが融合したメロディアスナンバー。
なんとなく、彼らの楽曲の癖がわかってきたというか、ペンタゴンにおける"王道"とはこんな楽曲なのだろうな、という構成に仕上がっています。
綺麗に抜けたい部分で、わざとスケールアウトを使ってくるので、とっつきやすい中にも引っかかりがある。
これが彼らの音楽に注目したくなる一因になっているのでしょう。

残念ながら解散が発表されたREALiesは、「あの影の中で」を持ってきた。
"UNDER CODEのキラキラ系"と言われた時代から一歩進んで、GOEMON RECORDSの色に染まったというか、スタイリッシュになった印象ですね。
良さを失わず、底上げが出来ている。
メッセージ性の強い歌詞も相まって、4分という短い時間の中にもドラマティックさを感じさせます。
メロディはシンプルで耳馴染み良し。
感情を込めて歌い上げられるラストの畳み掛けも、鳥肌モノである。

「エンヴィー」は、TYPE-Bにのみ収録されたアルルカンの未発表曲。
ジャジーなノリを重視したシャッフルチューンです。
ありそうでなかったタイプの楽曲と言いますか、ホーン系のシンセを多用した大人びた雰囲気と、ほんのりダークなメロディライン。
例えるならばABCを彷彿とさせる、夜を纏ったアダルトな一面を見せてくれました。
他の2バンドが集大成的な楽曲で勝負してきたのに対し、実験的なナンバーを持ってきたところには、先輩格である余裕を感じさせる。
結果として、良いアクセントになったのではないかと。

楽曲のタイプ的に、アルルカンとREALiesの順番を逆にしたほうが作品としてハマった気がします。
まぁ、この辺りは作品の完成度よりも注目度やキャリアが優先されるところなのだろうけれど。
レーベルによるオムニバスのリリースは、昔から存在していた手法。
ただし、レーベルメイトが少ないことを逆手にとって、コンパクトなシングルにまとめてしまったのは面白い。
少数精鋭の、無駄のないオムニバス作品になったと捉えることもできるかな。
こういう企画であれば、是非ともまたやってほしいものです。