Primary Colours / Zephyr | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Primary Colours/Zephyr
¥1,575
Amazon.co.jp

1.Silvery Promise
2.ethel
3.メビウス

幻想的な白系サウンドを武器にしていたZephyrの1stシングル。
2000年のリリースです。

本作を最後に、Gt.Takaさんが脱退。
デモテープやオムニバス収録曲を除けば、唯一の5人編成時代のオリジナルCDとなり、ある意味、貴重と言えるかもしれません。

リードトラックとなる「Silvery Promise」は、イントロのシンセから白系感満載。
幻想的なシンセに、クリアトーンで抜けるギター。
透明感があるアレンジが、とても気持ち良いですね。
そして、歌が入ってくると、ポップさが勝っていく。
歌詞には、やや稚拙さがあるも、それも含めてノスタルジック。
懐かしさが漂います。

もったいないのは、サビの大事な部分で、ややピッチが不安定な気が。
声が上がりきらなかったのか、あえてスケールアウトを狙ったのか。
か細い歌声は魅力でもありますが、もう少しダイナミックな歌唱との使い分けができれば、もっと評価されていたのかな。

個人的には、2曲目の「ethel」が好み。
ロック色が強まり、疾走感を増していく。
しかしながら、キャッチーに振れすぎることなく、彼らの世界観に、しっかりと落とし込むことも出来ています。
サビのメロディが弱めではあるものの、この曲については、それがハマっているというか。
言葉を詰め込まず、切ない余韻に。
力を入れすぎなかったことが、大サビの盛り上がりを引き立てているのでしょう。

ラストは「メビウス」。
幻想的な世界観を重視した雰囲気モノである一方、メロディも立っていて、ポップナンバーとしても聴けるのがZephyrらしい。
浮遊感を出してほしいところで、ふらつきがちなファルセットが残念ではありますが、アレンジのセンスはなかなかのものです。

当時のシーンは、正統派の白系バンドが絶滅危惧種になっており、白系とソフトヴィジュアル系の線引きが難しくなっていた時期。
このようなバンドが、Matinaから登場したというインパクトも大きかったですよね。
多くの白系バンドにとって課題であった"脱ラルク化"も十分に果たせており、ポテンシャルを感じられただけに、スキルも含めて熟成させることができれば。
現代の技術で再録したら、良い作品に仕上がりそうです。

<過去のZephyrに関するレビュー>
Wing of Sepia
発情記
St.Memories Avenue