1.Eutopia
2.I Love You
3.Vision～永遠に変わるまでは～
D'AIRのギタリスト、MOTOKIさんによるTANBI PROJECT Visui。
2007年に発表された、1stシングルです。
ゲストミュージシャンを揃えて、メンバーを固定せずに活動しているようで。
本作では、ゲストボーカリストとして、同じくD'AIRのNAGIさんが参加。
D'AIRの活動が止まった後というタイミングも相まって、期待せずにはいられない作品でした。
「Eutopia」は、打ち込み主体のダンサブルなトランスナンバー。
それなのに、もっともバンド時代に近いアプローチなのだから、ある意味、D'AIRというバンドの音楽性の特殊性を表していたのかもしれません。
デジタルサウンドの中にも、MOTOKIさんらしい、耽美なギターフレーズが絡まってくるあたりがポイント。
シングルらしい楽曲に仕上がっていると思います。
「I Love You」は、ピアノをベースに構成されたバラード。
ワンコーラスを歌い終えるところで、バンドサウンドに移行するか、潔く終わるか、というタイミングがあるのですが、この楽曲については、後者を選択。
スローテンポではありますが、2分程度で終わるため、ダレることなく、メロディの美しさに集中して聴けますね。
あまり、バラードがハマるタイプの声質ではないのが残念ですが、進化する前の素材、といった感覚が引き立つので、これはこれで。
ラストに配置された「Vision～永遠に変わるまでは～」は、クラシカルなポップチューン。
さすが、LAREINEのサポートメンバーを経験している耽美系アーティスト。
意識しないはずがないといったところか、親和性は高いです。
面白いのは、NAGIさんの中性的な歌声により、だいぶイメージが変わるところ。
フレンチポップ系のコテコテテイストではあるのだけれど、どこかさっぱりしていて、可愛さ、ポップさが前に出ていますな。
「I Love You」については、アクセントというか、繋ぎという印象もありますが、3曲入りのシングルを作成するにあたり、バランスはとれているかな。
D'AIRの持っていた強みを、そのまま反映させたような「Eutopia」、MOTOKIさんの個性を抜き出して、最大限に発揮した「Vision～永遠に変わるまでは～」と、どれもタイプが違っていて、聴きやすいです。
ボーカリストを統一したのも、その中に軸を通す働き。
結果的に、それが効いている。
アレンジについては、もう少し、練り込む要素はあった気もする。
インパクトも、もっとあれば。
個人的には期待値が大きすぎた分、ハードルが高くなっていたところがあり、あと一歩、という感想にはなってしまうものの、ワクワクさせてはもらいました。
密度の観点から言えば、ゲストミュージシャン参加型のプロジェクトという性質上、難しさはあったのかもしれません。