Astreの絲 / Rentrer en Soi | 安眠妨害水族館

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Astreの絲(アストルのいと)/RENTRER EN SOI
¥2,310
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1.神性界
2.星屑の螺旋
3.廃墟と化した箱庭
4.月で涙
5.アニマムンディ
6.棺

"宇宙、生命の未来、進化する地点"をテーマにしたRentrer en Soiのミニアルバム。
"深海、生命の過去、誕生の地点"をテーマにしていた「Keinの棺」との同時リリースで、世界観がシンクロしているなど、コンセプト性の強い作品です。

導入のSEは、「神性界」。
「Keinの棺」に収録されていた「深性界」とは読み方を合わせて、それぞれのコンセプトに合致した字をあてているところに、工夫が見られますな。
神秘的な音楽と語りで構成されており、宇宙というイメージは出せているかと。

続く「星屑の螺旋」は、疾走系の王道チューン。
過去の楽曲からの再録ということで、ここまでコテコテなナンバーは、「Keinの棺」と合わせても、本作中はこの曲のみ。
そのため、少し浮いている部分がないとは言えませんが、音の粒がはっきりしたことで、聴きやすくなっているのは事実でしょう。
とても、好きな楽曲です。
コンセプチュアルな流れの中で馴染ませることができていたら、素晴らしかったのだけれども。

更に激しさを詰めてきたのは、「廃墟と化した箱庭」。
ズタズタと切り刻むような激しさに加え、デジタル音も入っていて、ハードなだけでなく、演出も考えられています。
スピードが速いわけではないけれど、実に狂気的。
「月で涙」は、一転して、ファルセットを多用した浮遊感あるナンバー。
メロディアスなバラードかと思いきや、徐々に激しさも出始め、後半は疾走していくという構成。
この時期の彼らのコアなナンバーではないのだけれど、隠れた名曲とでもいったところ。
感情を込めて激しく歌うパートと、綺麗にファルセットで歌うパートの二面性に注目すると面白い。

歌モノとしてはラストとなる「アニマムンディ」は、ストレートな展開でラストを飾るバラード。
他の曲のインパクトが強いからか、地味なイメージになってしまっていますが、実は間奏以降がドラマティック。
ツインギターのユニゾンが入って、そこからボーカルが重なって、楽曲全体が盛り上がっていくという、雰囲気モノを得意とする彼らのど真ん中のスタイルで構成されています。
最後は、もう1枚に繋げる「棺」で締め。
このあたりのお作法は、「Keinの棺」と同様です。

内容としては、こちらのほうが王道的なコテコテ感に溢れており、世界観重視の「Keinの棺」よりも、とっつきやすさはあるのだと思います。
とはいえ、同時発売のミニアルバムということで、やはり、「Keinの棺」と合わせて聴いて完成するのでしょうね。
世界観としては、それぞれで独立した作品としてまとまっているし、それを表現するだけの演出もある。
ただし、音楽的なバランスとしては、やや散漫的。
これら2枚に、直前にリリースされたシングル「水夢見る蝶々」を加えて、フルアルバムに再構築していれば、もっと完璧に近い見せ方になったのではないかなぁ。

2枚合わせても、歌モノ8曲、SE4曲。
楽曲の良し悪しはともかく、これで、5,000円近くっていうのは、ちょっと高すぎるかしら。
まぁ、現在であれば、中古で安く買えますので、そこはあまり気にならないのかもしれませんが。

<過去のRentrer en Soi(RENTRER EN SOI)に関するレビュー>
MEGIDDO
Keinの棺
水夢見る蝶々
Sphire-Croid
ゆりかご