- バケツ所持犯第一課。/ゼノ。
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2. 花説
3. 負論
「哀愁歌謡」と「気持ち悪さの中にある本心」をテーマに活動しているゼノ。
本作は、初の流通音源となるシングルです。
メンバー全員がそれぞれ違ったジャンルから集まってきての結成。
ヴィジュアル系バンドは、これがはじめてということになるようですが、その紹介文は、ミスリードを招くかなぁ。
なんとなく、別ジャンル出身のバンドというと、メタルだったり、ラウドだったり、ポストロックだったり、それだけでお高くとまっているイメージを与えるのです。
良くも悪くも、V系に染まっていないところを売りにしているというかね。
しかしながら、彼らには、そんな印象は受けませんでした。
前身バンドが、どのような音楽をやっていたのかが想像できないくらい、久しぶりに、真正面から密室系を突き進むバンドが出てきたなと。
ドロドロ、アングラ、マニアック。
「セカンドカラァ」は、その中でもシングルを意識した構成。
重苦しいワルツに、歌謡曲的なメロディが重なっていきます。
一筋縄ではいかない緩急つけた展開と、じめじめしたフレーズとを絡めた癖の付け方は、じわじわとリスナーの心に侵食していくよう。
「花説」は、ジャジーに進行。
されど、どこか垢抜けなさがあり、アングラチック。
譜割りが独特なのでしょうか。
シンプルさはあるのだけれど、素直というわけでもない雰囲気がありますな。
最後の「負論」は、この手のバンドでは珍しく、デスヴォイスも多用。
3曲中では、もっともハードに攻めています。
攻撃性を高め、これまで内向的だった激しさを、外側にぶつけるような楽曲。
1、2曲目に比べると、現代的な様相ですかね。
残念なのは、ひとつひとつの楽曲が、パンチ力に欠けてしまうことか。
世界観としては悪くない、嫌いじゃない。
だけど、このバンドだからこそ!というインパクトは薄い気がしてしまう。
アングラな空気感の中でも、グサっとくる痛々しいフレーズだったり、耳に馴染む哀愁メロディだったり、そういった要素をもっと強めることができれば、なかなか見込みはありそうなのですが。
もっとも、活動開始して間もないバンド。
別ジャンルから来て、V系リスナーのツボもまだ探り探りといった状況を勘案すれば、十分に将来が期待できそう。
まずは、土台を固めたいですね。