9-踏-編 / cali≠gari | 安眠妨害水族館

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9-踏-編/cali gari
¥1,050
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1. -踏-
2. スクールゾーン
3. 画竜点睛を欠いた曲

消費期限付きという前提ではありましたが、2009年に6年ぶりの復活を遂げたcali≠gariのシングル。
初回限定盤は2種類あり、-踏-編と、スクールゾーン編がリリース。
ジャケットと3曲目が違います。(スクールゾーン編は、「PPPH」を収録)
ナンバリングとしては「9」とのことですが、内容から考えれば、発売を控えていたニューアルバム「10」の予告盤といったところでしょうか。

「-踏-」は、Vo.石井秀仁作詞・作曲。
意味があるのかないのか、歌詞はナンセンスなのですが、サウンドが格好良い。
なんだかズシズシと響いてくる。
重めの音で攻めるアプローチというのは、彼らには珍いのではないでしょうかね。
もっとも、歌が入ってしまえば、時代に左右されない石井節。
ニューウェイブテイストなアレンジは相変わらずというか。
Gt.桜井青さんによるコーラスパートもしっかりあって、ライブを意識しているようなところもあります。
これが、新時代のcali≠gariだ!と高らかに宣言したキラーチューン。

そして、もうひとつの名曲は、「スクールゾーン」。
来た。これを待っていた。
爽やかで、ノスタルジックで、どこか切ない。
青さんの歌詞は秀仁さんとは対照的に、詩としてもメッセージ性が強く、サウンドこそシンプルなのですが、深みを感じられるフォークパンクに仕上がっています。
その他のサイドプロジェクトもこなしている青さんですが、サビにおける高音の伸びなどは、秀仁さんだからこそ映えるのだ。
歌メロが大事にされているからこそ、ボーカルのスキルが高いのは、大きな強みですよね。

「画竜点睛を欠いた曲」は、「-踏-編」のみに収録されたボーナストラック。
ベッドルーム・レコーディングとのことですが、この人たち、たまにこういう変な場所で録音するのですな。
石井秀仁作曲ではあるんですが、アコースティックなアレンジだからか、青さんの楽曲と言われても、違和感がないのではないかと。

ちなみに、歌詞カードに書いてあるのは、一度音が途切れてから始まる最後のワンフレーズのみ。
おいおい、作詞・不詳って。
このラフさも、彼らの味。
しかし、楽曲としては、もっとしっかり構成立ててほしかったかな。

本作は、オリコン7位にランクイン。
cali≠gari史上最高の順位を記録したシングルということになりましたが、内容も伴ったものになっているかと思います。
2種売り、CD全体の売り上げが落ちている等の要因もありますが、復活前は20位に満たないくらいだったのを考えれば、活動休止が良いセールス効果になっていたというのも皮肉ですね。

正直、青さんがlab.をラボ ザ ベヰスメントに改名して、cali≠gariっぽい曲も演るようになったとき、もうcali≠gariは諦めたのだと思っていた。
誰が見たって、作曲家の音楽性がバラバラだったし、無理もないか、と。
それだけに、改めて彼らの新曲が聴けたのは、本当に嬉しかったですね。

ご承知のとおり、cali≠gariは消費期限が切れた現在もなお活動中。
マイペースではありますが、次々にシーンを斜め切りするアイディアを落とし込んでくれる彼らには、復活から4年経った今でも、まったく目が話せません。

<過去のcali≠gariに関するレビュー>
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
続、冷たい雨
ブルーフィルム
第5実験室