傘鳴 / スィミー | 安眠妨害水族館

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傘鳴/スィミー
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1.雨あがり

2.線香花火


金沢バンド、スィミーの会場限定シングル。

2011年12月から販売されているとのこと。


「傘鳴」と書いて、"かさなる"と読ませる本作。

雨をモチーフとした楽曲の多い、彼ららしい言葉遊び。

「雨あがり」と、「線香花火」の2曲が収録されています。


「雨あがり」は、ストリングスと鍵盤の音から入る、ミディアムバラード。

若干、音の頭が切れてしまっているのが気にはなるものの、レトロで懐かしさ漂うイントロから、バンドサウンドに移行するノスタルジックな演出は、スィミーの王道ですね。

感情を込めて歌い上げる直太さんのボーカルと、重さよりも雰囲気を重視して、メロディのあるフレーズを奏でるギターの音が、あたたかみのある歌詞、メロディに上手く溶け込んでいる。

これまでにリリースした楽曲は、アップテンポのものが多かったので、こういう一面もあるのかと印象付ける1曲。


カップリングの「線香花火」は、疾走感のある歌謡ナンバー。

一息に駆け抜ける刹那的なイメージと、哀愁漂うギターソロに、じんわりと胸を打たれるよう。

シンプルではあるけれど、スィミーに求めているものを、その通りに体現してくれる昭和の香りに溢れるキラーチューンです。

1曲目がゆったりしていたことも相まって、この勢いが気持ち良い。

クドさのある歌い方に好みは分かれるかもしれませんが、昭和歌謡系好きには、ハズレとは言わせない説得力、王道感がありました。

甘酸っぱく、ほろ苦い、青春の味わい。


全体として、音作りには、改善の余地があり。

特に、ギターの主張は、このサウンドバランスであればもっと欲しかったところ。

フレーズが、たまらなくツボをついてくるだけに、深みのある音で聴いてみたかったな。

ドラムも、ところどころ、もたついているような。


メロディセンスと、コンセプトへのニーズなら、全国区のバンドにも負けていないだけに、是非とも知名度を上げていってほしい。

最近は、東京公演も増えてきているので、これを花開くチャンスとすることができるか。

願わくは、ワンランク上の環境で、この辺りの楽曲を再録、更には全国流通をしてもらいたいです。

<過去のスィミーに関するレビュー>

嘆雨

雨恋‐あまごい‐