雪はまだ降り注いでいるか? / メガマソ | 安眠妨害水族館

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雪はまだ降り注いでいるか? ※通常盤/メガマソ
¥1,200
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1. 雪はまだ降り注いでいるか?

2. 君は埋没林に向かう。

3. それは、白いひかりと黒いかげ。

4. 万国砂糖品評会


ここに来て、原点回帰を見せるか。

初回盤AがDVD付き、初回盤Bが「涙猫」のリミックスを収録したワンコイン仕様、通常盤が4曲入りという3タイプが同時リリースされた、メガマソのメジャー5thシングル。

メジャー進出以降、ストレートでポップな楽曲を中心とした展開を続けていた彼らが、久しぶりに「櫂の目塔の属領」の頃を彷彿とさせる、個性的な作品を送り込んできました。


表題曲、「雪はまだ降り注いでいるか?」は、これぞ涼平節。

サビだけ聴いたらメロディアス。 だけど、なんだろう、この難解な感じは。

独特な譜割り、インパクト重視のギターソロ、一筋縄ではいかない構成・・・

最近は、控える傾向があった「らしさ」が、ここで爆発しています。


昔だったら、「いつも通りのマンネリ」で終わってしまっていた部分も、そこは、かつての彼らではないわけで。

メジャーで一気にクオリティを上げたメガマソが、へヴィさ、濃密さをしっかり残しつつ、原点的な楽曲に挑戦している。

確実に、レベルアップしていることが見て取れます。

初期から追いかけてきたファンには懐かしく、メジャー以降からのファンには新鮮に映る。

それでいて、シングル的な様相を整えたこの楽曲は、まさにキラーチューン。


「君は埋没林に向かう。」は、7分を超える大作。

メロディそのものは非常にシンプルで、クリーントーンのギターには、ラルクっぽさを感じます。


展開が自然なため、あまり展開が多い印象は受けないのですが、実はなかなか凝っている。

途中でアカペラになったり、転調があったり、随分とボーカル泣かせな構成。

地味ながら、ラスト部分のキーは、かなり高いです。

これがクドく、苦しく聴こえないのは、インザーギさんの歌唱力があってこそ。

それに尽きますね。

ボーカルに安定感があって初めて成り立つ、メガマソ風ウィンターソング。


「それは、白いひかりと黒いかげ。」は、本作中、唯一のインザーギさんの作詞作曲。

R&Bからヒントを得たようなギラついたナンバーです。

彼の曲は、わかりやすいJ-POPが多かっただけに、この手のダークで激しさのある楽曲は興味深い。

涼平さんの楽曲とは一味違うスタイリッシュさがあって、バンドの幅を広げていると言えましょうか。


ラスト、「万国砂糖品評会」は、これまた聴くだけで作曲者が特定できる個性あり。

中華風の音使いに、和風なメロディ。

そこに、ノリの良い掛け合いが重なってきます。

サビでツタツタに移行する前の、独特なキメ、遊び心が面白いですね。

ベタなフレーズと、癖のある不思議なフレーズが交互に畳み掛けてくるよう。

彩冷える在籍時に近い雰囲気かもしれません。


キャッチーだけど、マニアック。

常人には書けない、センスフルな歌詞。

ポップでストレートなメガマソも、十分に進化と成長を見せてくれていたわけですが、こうして、初期衝動に身を任せたような楽曲が、再びドロップされることで、改めて気付く進化もあるもんだ。
4曲という曲数も、コンセプチュアルなミニアルバムを聴いたような満腹感を与えてくれる。


こうなってくると、初期の代表曲、「涙猫」のリミックスも気になってくる・・・

500円だし、もう1枚買っちゃうか!

と思ってしまうあたり、彼らの術中にハマってしまっているのかも。


<過去のメガマソに関するレビュー>

Loveless, more Loveless

キスミイチュチュ(メガマチュ)
ニューロマンサー(神経系亜人性)