- D・N・A/ジャンヌダルク
- ¥3,059
- Amazon.co.jp
1. Deja-vu
2. Vanity
3. ファントム
4. EDEN~君がいない~
5. child vision~絵本の中の綺麗な魔女~
6. Stranger
7. 桜
8. Lunatic Gate
9. Junky Walker
10. RED ZONE(Album Mix)
11. ring
12. Heaven's Place
言わずと知れたジャンヌダルクのメジャー1stアルバム。
現在、バンドは活動休止中ですが、未だに待望しているファンは多いですね。
彼らがデビューした1999年は、まさにヴィジュアル系バブルのど真ん中。
売れ線バンドが大量生産されて、音楽性が捻じ曲げられてしまうことも少なくなく、メジャーデビューアレルギーが慢性化していた時代でした。
Janne Da Arcのデビューも、そういった背景から不安視する声もあったわけですが、これを聴いて安心した、という人も多いのではないでしょうか。
後にシングルカットされる「Heaven's Place」、「Vanity」を含めれば、実に5曲のシングル曲が収録されているのですが、何というか、あまりシングル曲だらけという印象を受けないのですよ。
それもそのはず。
デビュー曲「RED ZONE」から、マニアックなフレーズと、ハードな演奏で、確かにメロディアスではあるのだけれど、どことなくアングラ感のある構成。
インディーズ時代の良い部分を、そのままレベルアップさせたような仕上がりで、当時のシングル曲=売れ線のポップロックというイメージを覆すには十分だったのです。
その意味でのシングル像にもっとも近い位置にあるのは、「EDEN~君がいない~」になるのかと思いますが、結果としては、この楽曲が呼び水になったのは間違いなく。
もっとも、メリハリをつけるためにキャッチーな楽曲もアルバムには必要なわけで、全体的なバランスを意識したうえで、デビューからのリリースプランを計画していたのだな、と感心してしまいます。
また、この時代は、打ち込みを使った幻想的な楽曲を導入として持ってくるというのが、アルバム作成時のお約束だったのですが、彼らにおいては、1曲目のインストまで、しっかりとバンドサウンド。
どんな世界観でも、5人の音で表現できる自信の表れなようで、とても昂揚感のあるスタートを演出しています。
どの曲にもストーリー性があって、ダークだったり、ファンタジーだったり、徹底された世界観がある。
この辺、やはりハードロックバンドという言葉ではしっくりこない、"ヴィジュアル系バンド"である所以だな、と思う一方、演奏の圧倒的なクオリティを耳にするたび、それだけを理由に聴かず嫌いをする層が出てしまうのがもったいないな、とやきもきしてしまうほど。
実力不足を同期で誤魔化すバンドも多い中で、あくまで先立つのがメンバーの演奏というのが、これ以上ない安心感、安定感になっていました。
キーボードが正式なメンバーとして、舵取りしていたことも大きいのでしょう。
ギターも、ベースも、ドラムも、しっかりと主張する部分がある中で、上モノのバランスが整えられているのもポイントです。
そして何より、楽曲が秀逸。
アルバム曲では、叙情的で儚く美しい「桜」がとにかくお気に入り。
サビのメロディを何度も畳み掛けるので、ややクドさはあるにしても、作品全体の中盤から終盤の盛り上がりという立ち位置をよくわかっている展開は、ゾクゾクくる。
歌メロが同じ部分でも、ドラムが徐々に疾走したり、ギターのリフが変化していったりと、地味ながら飽きさせない工夫が散りばめられていることも見逃せません。
耳から入ってくる音だけで、鮮やかな色彩まで表現されている、とっておきの名曲です。
更にハードさが増す、2ndアルバム「Z-HARD」と、甲乙つけがたいアルバム。
改めて聴いてみて、ABCなどでyasuさんの歌声を耳にすることは今でも多々ありますが、あの5人でないと、ジャンヌの音にはならないのだな、と実感します。
ボーカル以外がコロコロ入れ替わっても、あいつが歌っていれば、あのバンドになるんだ、っていうバンドも見かけますが、昔からの付き合いで長く続けてきただけあって、yasuさんだけでは表現しきれない引き出しをたくさん持っていたのが、Janne Da Arcだったんだな、と。
本作は、2000年の作品、
これも、もう10年以上前のCDになりますか。
びっくりするほど色褪せない楽曲たちに、つい先日にリリースされたアルバムのように錯覚してしまいます。
<過去のJanne Da Arcに関するレビュー>