Z-HARD / Janne Da Arc | 安眠妨害水族館

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Z-HARD/Janne Da Arc
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1. Nightmare

2. -救世主 メシア-

3. prism

4. Dry?(Album Mix)

5. 7-seven-

6. NEO VENUS

7. will~地図にない場所~(Album Mix)

8. WARNING

9. Liar

10. Dear my....

11. Mysterious(Album Mix)


ヴィジュアル系ブーム時代にデビューしたアーティストが、その後泣かず飛ばずの時期を経て、再ブレイクなんて例は、このバンド以外に見たことがない気がします。

テレビ番組、Break Outに目をつけられた形でメジャーデビューしましたが、ややヴィジュアル系ブームも下火となってきたころだったため、デビュー直後はトップ10に食い込む勢いだった彼らも、だんだんとベスト20に入るか入らないかという位置を推移するバンドになりつつありました。

このまま、他のバンド同様沈んでしまうのかな・・・そう思っていた人も少なくないはず。


ところが、「月光花」でブレイクを果たすと、その後はトップ3の常連バンドに。

実力派なのは誰もが認めるところだとは思いますが、だからといって売れるとは限らないこの世界。

地道に活動していけば、世間も目を向けてくれるんだな、というヴィジュアル系ファンの希望的存在にもなりましたね。


この「Z-HARD」は、メジャー2ndフルアルバム。

インストから始まり、自らのバンド名のモチーフにもなっているジャンヌダルクをテーマにした「-救世主 メシア-」や、「prism」といったゴリゴリの曲で畳みかける序盤は、まさに、アルバムタイトルが示す通りハードそのもの。

しかし、もちろん、それだけじゃない。

ドラマ主題歌にもなった名バラード「will~地図にない場所~」に、アコースティックで優しく切ない空気感が漂う「Dear my....」など、ゆるい曲にも味があって、捨て曲のない仕上がり。

11曲があっという間に感じられるくらい、アルバムとしてのまとまりもあって、これは凄いと感嘆したほど。


捨て曲のないアルバムを作ろうとすると、全部がシングル曲のようになってしまって、かえってバランスが悪くなってしまったりするものなのですが、この作品には、そういうところが一切ありません。

シングル曲は、良い意味でシングル曲だし、アルバム曲は、きちんと自分の役割を持って収録されている。

例えば、「-救世主 メシア-」が、アルバム曲ながら、メロディアスで疾走感のあるキラーチューンであるのに対し、「7-seven-」は、同系統ではあるけれど、アルバムだからこそ映えるマニアックさを含んでいる曲にすることで、お互いの良さを消しあわないように工夫しているように思います。

決して、アルバム曲に手を抜いているわけでなく、詰めれることはしっかり詰め込んでいるから、表向きは地味でも、噛めば噛むほど味が出る曲になる。

もともと、シングル曲がどの曲も系統がバラバラだったことも手伝って、非常にバランスよく、盛り上がるべきところで盛り上がる、バラエティに富んだアルバムが出来あがりました。


これで、歌も演奏もかなりのクオリティだから、非の打ちようがないとはこのこと。

激しくても、ポップでも、バラードでも、エロくても、全部をジャンヌの音楽として、すんなり受け入れることができるんです。

次のアルバム、「GAIA」から、ジャンヌは壮大な世界観も取り入れ出し、それまでのギラついたハードさが控えめになってしまう気がするので、僕は、この「Z-HARD」が一番好き。

ロックバンドの真髄が散りばめられている。


現在は、活動休止~ソロ活動という流れの中で、ABCなんかも聴いているのですが、やっぱりこの5人での音楽もまた聴きたいですよね。

切に活動再開を祈っております。