1.兎と羊
Syndromeの、結成記念となる1stシングル。
全国で5,000枚が無料配布されましたが、即日在庫がなくなるほどの注目度がありました。
現在では、DのASAGIやRuiza、凛のKISAKIが在籍していたバンドとして有名ですが、第一期のVo.は、ASAGIさんではなく、龍夜さん。
ギターには、メリーの健一さんが、Ken名義で参加していたのも、今となっては面白いですね。
髪の毛が赤いメンバーばかりで、なんだか古臭いアー写が、当時のMatinaレーベルの王道でした。
表題曲1曲を収録。
うめき声から入る、ミディアムテンポのダークナンバーです。
全体で6分以上ある、バラードではない作品としては異色の長さ。
イントロが2分近くある等、展開がゆっくりしているので、聴いていて、じりじりしてしまう。
構成としては、ずっしりした重苦しい雰囲気を漂わせながら、激しくシャウトの応酬になる部分や、笑い声や語りなど、ヴィジュアル系的な世界観作りを詰め込んでいます。
KISAKIさんの新バンドということで注目を浴びたわけですが、期待されていたメロディアスな王道疾走系ではなく、邪道なドロドロ発狂系のナンバーだったということで、当時の評価は、あまり高くありませんでしたね。
メロディらしいメロディがなく、単調なフレーズを繰り返しているだけ。
最後はシャウトで締めるものの、スピード感がないため、盛り上がるわけでもない。
ラスト近くでどんでん返しでもあるのか!?と期待したものの、そのまま終わってしまうという、実際、とらえにくい楽曲だったと言えるでしょうか。
龍夜さんの歌唱力も危うく、フラフラしているので、シャウト以外の部分は、非常に頼りない。
シャウトだけはやたら迫力があるのだけれど、今で言うところの、デスヴォイスだけ上手くて、メロディを歌わせたら微妙なミクスチャーバンドのフロントマンを想像していただければよいかと。
メロディアスな曲に著しく弱かったボーカルさんだったため、楽曲的にも、いくらか飛び道具的な楽曲からスタートさせる必要があったのでしょうかね。
もっとも、このボーカルさんの魅力は、ライブでこそ引き立っていたわけで、相応に時間が経って、ライブを見たことがある人が増えてくるのと比例して、バンドの評価も高まっていったように記憶しています。
メンバーチェンジでASAGIさんにボーカルが変わったときも、馴染むまでは、激しい曲がことごとく歌モノになってしまい、ライブでの迫力がなくなってしまったとの声が大きかったくらい。
何だかんだで、歌が下手だったことも含めて、インパクトが強かったボーカルさんでした。
個人的には、Syndromeといったら、龍夜さんのイメージだもんなぁ。
楽曲は、第二期のほうが圧倒的に好きなのに。
演奏について、ベースの音がとても目立つのは、KISAKIさんらしい。
一方で、健一さんの細やかなフレーズや、Ruizaさんのメタリックなリフは、この頃は顕在化していませんね。
良くも悪くも、普通のダークバンドといったアレンジです。
思い出語りにはぴったりなCDではありますが、内容が伴っていないため、Ruizaファンや健一ファンだからといって、前バンドの音源が聴きたい的なノリで手を出すのは危険。
網羅的に聴くために、ということであれば、2枚組のベストにも収録されていますので、あえて配布盤を手に入れる必要はないでしょう。
1日限定復活とかで、龍夜さんとASAGIさんのツインボーカルのSyndromeをやったら、きっと面白いだろうなぁ。
シャウトとメロディ、得意分野が明確なので、最近流行のラウド・ミクスチャー的な楽曲は、案外ハマりそうです。
<過去のSyndromeに関するレビュー>