1.音楽式
会場限定でリリースされたMのシングル。
7分強の大作となる表題曲1曲を収録。
クリアなギターの音色からはじまる、壮大なバラードナンバーです。
歌い出しは呟くように、バンドサウンドになると同時に声を張り上げる感情表現の切り替えは、正和さんの真骨頂。
部分部分の演奏は、非常にシンプルで、すっと耳に入ってくるように構成されているのですが、注目すべきは、ドラマ性を強く持たせた展開でしょう。
Bメロ部分が、すでにサビのようにインパクトがあるのですが、楽器隊のコーラスとともに更に盛り上がるサビが用意されている。
しかも、そのサビが、1番と2番でメロディが違うという、手の込んだ工夫が見られます。
1番のサビの、いわゆるサビ!という伸びやかなメロディも、キャッチーで捨てがたいのですけれど、個人的には2番で繰り広げられる畳み掛けるような言葉の応酬、および大サビへのつながりがツボでした。
ここが盛り上がりのピークかと思わせておいて、間奏後、再び1番のサビに戻っていくあたりのつながりが、本当にピタっとハマっていて、長さを感じさせません。
一度終わったと見せて、インスト風に続けるラストシーンは、ベタではありますが、余韻が残って良いですね。
唐突にブレイクで終了するところは、その余韻を強めるためでしょうか。
解散を発表したMというバンドと、この突然途切れる音がリンクしているようで、どことなく意味深。
メッセージ性の強いバラードという位置づけを考えたら、シンプルに締めても良かった気もしますが、こういう強引さが意図的に組み込まれていることで、インパクトは大きいです。
こういうご時世だからこそ響くフレーズもあり、極端にバラードが苦手という人でなければ、充実したシングルかと。
ただし、大作とはいえ、1曲で1,000円は、価格帯として妥当かと言われると、悩みどころ。
解散したらもう買えないと思うと、ファン心理としては買わざるを得ないのですが。
最近、急激に成長していたので楽しみにしていたのですが、とても残念です。
解散を意識して聴くと、また違った味わいも出てきて、切なさが増す一枚。
<過去のMに関するレビュー>
雛鳥