- 雛鳥/M
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(0.神様はいない)
1. 雛鳥
2. 感情のキャンバス
(12.神様はいない short.ver)
2011.4.17、マイナストラックの存在を教えていただき、内容を修正しております。
2010年に発売された、アルバム発売以降は初となるMのシングル。
このバンド、ちょうど1年くらい前にライブで見て、CDを買って、その勢いでレビューをしているのですけれど、とにかく「ムックっぽい」しか言っていなかった気がします。
実際、音楽性も歌い方も、ムックを意識している節が数多く見られました。
しかし、アルバムを作成したことによって、オリジナリティが少しずつ現れ始め、この「雛鳥」で、その名のとおり殻を突き破って孵化をした印象を受ける。
良くも悪くも、ムックっぽさが完全に消えていないわけではないけれど、そこら辺にニーズがあるのも確かなので、なかなか良いバランスの音楽性に仕上がったと言ってもよいのではないでしょうか。
荒々しくも高らかと声を張り上げる出だしに強いインパクトがある「雛鳥」と、レトロっぽさはあるけれど、激しく激情の波が押し寄せる「感情のキャンバス」の2曲入り。
12曲目に、隠しトラックで「神様がいない」が一瞬だけ収録されていますが、なんとこれはダミーということで。
この曲の本編は、マイナストラックとして、1曲目を巻き戻し続けると聴くことができます。
まんまと騙された・・・
とりあえず「雛鳥」と「感情のキャンバス」にだけ絞って話を進めると、共通して昂揚感とドラマ性が凄いです。
展開にもしっかりメリハリがあって、徐々に盛り上がる構成にはなっているのですが、特に「感情のキャンバス」におけるラストの畳み掛けの部分には鳥肌が立ちました。
堪えて、堪えて、最後に爆発させるボーカルスタイルが好きなんですよね。
ほんのり哀愁のあるメロディに、轟音を奏でるも、主張しすぎずにバックを支える楽器隊。
歌謡曲っぽさや、渋く抑える部分もあって、シングルとは思えないボリューム感がありました。
あえて課題をあげれば、「雛鳥」の構成が、やや複雑すぎて、とっつきにくくなってしまっているか。
シングル向きといえば、そうなのだけれど、逆に言えば、アルバム曲には浮いてしまって使いにくいということなのかもしれません。
ひとつひとつのパートは格好良いのだけれど、あれもこれも、になってしまうと、かえって良さを相殺してしまうこともある。
せっかくメロディが良いのに、サビにインパクトを持ってこれていない部分はありますかね。
どちらかは思い切ってストレートに、シンプルに、でも面白かったと思います。
さて、ボーナストラックの「神様はいない」。
Mさん、マイナストラックを仕込むの好きですね(笑)
パソコンに取り込んで聴く人が増えてきている昨今、気付かないままの人も多いんじゃないでしょうか。
歌詞が書いてあって、それをヒントに探そうという気にはなるものの、ダミーまで入れられたら、それ以上探さないような気がします。
せっかくレコーディングした曲を聴いてもらえないようにするなんて、名前のとおり生粋のMなのか、後から知ったファンの驚く顔を見たいだけのどSなのか。
12トラック目のダミーだけ聴いてしまうと、静かなバラードの印象が強くなるこの曲ですが、フルで聴いてみると少し印象が変わる。
確かに前半のサビまでは、大人しく淡々とした展開で、正和さんの歌い方も、声を張らず優しく丁寧なのですが、途中から、バンドサウンドの歌モノに様変わり。
激しくはないものの、畳み掛けるようなメロディと、寂しげな歌詞が絡まって、胸を締め付ける切なさが押し寄せてきます。
このバンドのバラードは、正直、あまり好きではなかったのですが、これは良いなぁ。
後半にかけて盛り上がっていく流れるような構成が素晴らしい。
歌い方にメリハリをつけたことによって、壮大さも出ています。
当初、この曲をスルーしていたのは、もったいなかった・・・
本作では、しっかりと成長を見せてくれたM。
この絶妙なバランス感覚を、今後も維持できるかに期待です。
<過去のMに関するレビュー>