Planet CHILD Music presents Mシングル発売記念ツアー『神様に伝えてよ、ソドムにて待つと』に行ってきました。
突然暇になったところで、知人からおススメされたので。
確かに、なかなか良い対バン。
Mのライブは、ワンマンから主催みたいなテンションだなぁ、とずっと思っていたこともあり、実際に主催ライブに行ってみるのも経験ですからね。
ヱレキテル式
音楽性は、最近では類を見ない電波系メルヘン。
やろうとしていることは、やっぱり個性的で面白いのだけれど、少し力量が追い付いていないですかね。
まだ垢抜けていないというか、こなすことで必死というか。
演奏もバラバラ、歌もうまくないうえ、世界観を出したいのか、フリをしてノセたいのか、いまいちわかりにくい。
その掴みどころのなさも、こういう音楽性だと魅力だったりするのかもしれませんけれども。
まぁ、場数ですね。
きちんと修正できれば、とてつもなく化ける可能性を秘めている。
こんなバンド、他に代替品がありませんもの。
the『ネイムレス』.
予備知識なしで見たのだけれど、楽曲がモロ好みでした。
暑苦しい感じの昭和歌謡系。
白黒キネマを野暮ったくしたような、良い感じの昭和レトロ感がたまらない。
ボーカルさんは、ハイトーンに強く、なかなか聴きやすかったです。
ここも、あとは演奏力といったところ。
ギターさんの、基本的には淡々と持ち場を離れずに弾きながら、徐々に感情が振り切れて絶叫に変わっていくステージングは良いと思うのだけれど、それに伴いリズムがずれてしまうところが何か所か。
ドラムがサポートだからか、息も合っていない様子で、全体的にバタついていた印象。
こういう正統派の哀愁系バンドも絶滅危惧種なので、しっかりレベルアップして、ぜひとも頑張ってほしい。
LIPHLICH
この流れで、ということもあり、さすがの安定感を発揮していました。
前回は、ギターさんがインフルエンザのため3ピース編成だったので、4人のリフリッチは久しぶり。
途中、同期のトラブルで曲の入りがグダグダになった部分はあるけれど、相変わらず世界観たっぷりのオリエンタルな楽曲たちは、単純に格好良いです。
MCは、起き抜けのような、低いテンションなのですけれど、曲に入るとすぐさまテンションが切り替わるのが凄い。
多少癖がある歌い方ではありますが、ビブラートが効いて、どんどん伸びやかになっていく歌声に圧倒されてしまいます。
珍しく、と断りつつ披露したバラードも、きちんと聞き苦しさなく歌い上げていて、こういう楽曲がイベントでできるバンドって強いよなぁ。
この対バンだったら、結構動員持っていけたのでは?
どろろ
正統派の密室系バンドということで、全体的にじめじめしたバンドが多い本イベントには非常にマッチ。
復活直後は、ブランクを埋めるのに必死というか、リハビリ期間中というか、少し物足りないステージングだったのですが、だいぶ本調子になってきたのではないでしょうか。
曲に入る前に、語りの一説を挿入する等、演出的にも凝っていて、見世物小屋のようなB級レトロ感がしっかり表現できている。
なんとなく、ライブを見ているというより、ショーを見ているといった感覚に近いかも。
ボーカルさんの中ではフリっぽいものもあるようですが、オーディエンスが真似をするわけでもなく、ただただ見入っている様子。
そういうところ、体を動かしてなんぼの現代のシーンにおいて、異質でもあり、個性的でもあり。
空白の10年が、吉と出るか凶と出るかといったところでしょうか。
THE VELVET
衣装が変わったこともあるのですが、なんとなくイメチェンしたような。
もっとアダルトな雰囲気で、お洒落なムードナンバーが中心だったバンドだったのですが、1、2曲目とV系!って感じの曲で攻めてきたのでびっくり。
だいぶ、スタイリッシュになったなぁ。
僕の記憶にあるTHE VELVETらしい曲は、「プラスティックドール」くらいでしたかね。
イベントだから、少し攻めのセトリにしてみただけかもしれませんが、拳を求めることも多かったし、確かに少しずつ変わってきた気がします。
案外、嫌いじゃない変化なので、これが功を奏することを願う。
もっとも、没個性になっては意味がないので、従来の音楽性とのバランスも大事になってくるでしょう。
DISH
音源では聴いていたけど、ライブは初見でした。
ボーカルさんが、ギターも弾くという、V系では珍しい3ピース編成。
これが、とにかく格好良かった。
3ピースとは思えないほど、密度の濃い轟音に、押しつぶされそう。
ユーモア交じりのステージングにも余裕があり、音源で聴くと普通だった楽曲たちが、ライブではしっかり生きた音楽として存在しています。
褒め言葉として、ヴィジュアル系のフィールドでやる必要はないのでは?と思ってしまうほど。
喉の消耗が激しく、後半は高音がまったく出ていなかったのだけが残念ですね。
DISHも含めて、主催やワンマンができるようになってきたバンドにとっては、まず、ペース配分を体で覚えるというのが、とても大事なんだなぁと再確認。
M
やっぱり、このバンドは主催向き(笑)
コール&レスポンスもしっかり返ってくるので、サマになります。
セトリについても、新旧混ざることによって、過去の曲についてもムックっぽさが薄れてきたような。
ボーカルさんは感情を吐き出すような歌い方を得意としていますね。
盛り上がる曲中心だと、非常に昂揚感があり、ドキドキワクワクがある良いステージング。
淡々と抑えた声で歌う場面で、ピッチがかなり怪しくはなるのですが、堂々と目を泳がせずに歌うスタイルなので、誤魔化せてるといえば誤魔化せている。
楽器隊まではあまり見えなかったのだけれど、楽しそうにやっていたのが好印象。
若干走り気味のところはあったけれど、全体的には無難にこなしていたかと。
ラストにやった会場限定シングル「音楽式」は、キーが高すぎて歌えていなくて残念だな。
締めのバラードとしてふさわしい構成なのですけれど、喉を消耗したところでも歌えるかというのが、課題になりそうですね。
総括としては、キラキラしたバンドが出てこないイベントで、とても落ち着いて見ることができました(笑)
ヱレキテル式の電波的な打ち込みや、LIPHLICHの妖しい同期のフレーズは、あくまで世界観を出すためといった印象で、あまり装飾する目的で使われていないため、ライブハウスに漂う真っ黒な空気にも馴染む。
演奏力にはまだまだ粗があるマイナーバンドが中心でしたが、将来有望のバンドをまとめて見れて楽しかったです。
「渋谷が大変」風に言うなら、「東京地下室」の予選みたいなイベントですかね。
Mが関西バンドなため、会場では大阪弁の会話をよく聞きました。
遠征組の方も、お疲れ様です。