『神様に伝えてよ、ソドムにて待つと』@池袋RUIDO K3(2011.4.29) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Planet CHILD Music presents Mシングル発売記念ツアー『神様に伝えてよ、ソドムにて待つと』に行ってきました。

突然暇になったところで、知人からおススメされたので。

確かに、なかなか良い対バン。

Mのライブは、ワンマンから主催みたいなテンションだなぁ、とずっと思っていたこともあり、実際に主催ライブに行ってみるのも経験ですからね。



ヱレキテル式


音楽性は、最近では類を見ない電波系メルヘン。

やろうとしていることは、やっぱり個性的で面白いのだけれど、少し力量が追い付いていないですかね。

まだ垢抜けていないというか、こなすことで必死というか。

演奏もバラバラ、歌もうまくないうえ、世界観を出したいのか、フリをしてノセたいのか、いまいちわかりにくい。

その掴みどころのなさも、こういう音楽性だと魅力だったりするのかもしれませんけれども。


まぁ、場数ですね。

きちんと修正できれば、とてつもなく化ける可能性を秘めている。

こんなバンド、他に代替品がありませんもの。



the『ネイムレス』.


予備知識なしで見たのだけれど、楽曲がモロ好みでした。

暑苦しい感じの昭和歌謡系。

白黒キネマを野暮ったくしたような、良い感じの昭和レトロ感がたまらない。

ボーカルさんは、ハイトーンに強く、なかなか聴きやすかったです。


ここも、あとは演奏力といったところ。

ギターさんの、基本的には淡々と持ち場を離れずに弾きながら、徐々に感情が振り切れて絶叫に変わっていくステージングは良いと思うのだけれど、それに伴いリズムがずれてしまうところが何か所か。

ドラムがサポートだからか、息も合っていない様子で、全体的にバタついていた印象。

こういう正統派の哀愁系バンドも絶滅危惧種なので、しっかりレベルアップして、ぜひとも頑張ってほしい。



LIPHLICH


この流れで、ということもあり、さすがの安定感を発揮していました。

前回は、ギターさんがインフルエンザのため3ピース編成だったので、4人のリフリッチは久しぶり。

途中、同期のトラブルで曲の入りがグダグダになった部分はあるけれど、相変わらず世界観たっぷりのオリエンタルな楽曲たちは、単純に格好良いです。


MCは、起き抜けのような、低いテンションなのですけれど、曲に入るとすぐさまテンションが切り替わるのが凄い。

多少癖がある歌い方ではありますが、ビブラートが効いて、どんどん伸びやかになっていく歌声に圧倒されてしまいます。

珍しく、と断りつつ披露したバラードも、きちんと聞き苦しさなく歌い上げていて、こういう楽曲がイベントでできるバンドって強いよなぁ。

この対バンだったら、結構動員持っていけたのでは?



どろろ


正統派の密室系バンドということで、全体的にじめじめしたバンドが多い本イベントには非常にマッチ。

復活直後は、ブランクを埋めるのに必死というか、リハビリ期間中というか、少し物足りないステージングだったのですが、だいぶ本調子になってきたのではないでしょうか。

曲に入る前に、語りの一説を挿入する等、演出的にも凝っていて、見世物小屋のようなB級レトロ感がしっかり表現できている。


なんとなく、ライブを見ているというより、ショーを見ているといった感覚に近いかも。

ボーカルさんの中ではフリっぽいものもあるようですが、オーディエンスが真似をするわけでもなく、ただただ見入っている様子。

そういうところ、体を動かしてなんぼの現代のシーンにおいて、異質でもあり、個性的でもあり。

空白の10年が、吉と出るか凶と出るかといったところでしょうか。



THE VELVET


衣装が変わったこともあるのですが、なんとなくイメチェンしたような。

もっとアダルトな雰囲気で、お洒落なムードナンバーが中心だったバンドだったのですが、1、2曲目とV系!って感じの曲で攻めてきたのでびっくり。

だいぶ、スタイリッシュになったなぁ。


僕の記憶にあるTHE VELVETらしい曲は、「プラスティックドール」くらいでしたかね。

イベントだから、少し攻めのセトリにしてみただけかもしれませんが、拳を求めることも多かったし、確かに少しずつ変わってきた気がします。

案外、嫌いじゃない変化なので、これが功を奏することを願う。

もっとも、没個性になっては意味がないので、従来の音楽性とのバランスも大事になってくるでしょう。



DISH


音源では聴いていたけど、ライブは初見でした。

ボーカルさんが、ギターも弾くという、V系では珍しい3ピース編成。

これが、とにかく格好良かった。


3ピースとは思えないほど、密度の濃い轟音に、押しつぶされそう。

ユーモア交じりのステージングにも余裕があり、音源で聴くと普通だった楽曲たちが、ライブではしっかり生きた音楽として存在しています。

褒め言葉として、ヴィジュアル系のフィールドでやる必要はないのでは?と思ってしまうほど。


喉の消耗が激しく、後半は高音がまったく出ていなかったのだけが残念ですね。

DISHも含めて、主催やワンマンができるようになってきたバンドにとっては、まず、ペース配分を体で覚えるというのが、とても大事なんだなぁと再確認。



M


やっぱり、このバンドは主催向き(笑)

コール&レスポンスもしっかり返ってくるので、サマになります。


セトリについても、新旧混ざることによって、過去の曲についてもムックっぽさが薄れてきたような。

ボーカルさんは感情を吐き出すような歌い方を得意としていますね。

盛り上がる曲中心だと、非常に昂揚感があり、ドキドキワクワクがある良いステージング。

淡々と抑えた声で歌う場面で、ピッチがかなり怪しくはなるのですが、堂々と目を泳がせずに歌うスタイルなので、誤魔化せてるといえば誤魔化せている。


楽器隊まではあまり見えなかったのだけれど、楽しそうにやっていたのが好印象。

若干走り気味のところはあったけれど、全体的には無難にこなしていたかと。

ラストにやった会場限定シングル「音楽式」は、キーが高すぎて歌えていなくて残念だな。

締めのバラードとしてふさわしい構成なのですけれど、喉を消耗したところでも歌えるかというのが、課題になりそうですね。



総括としては、キラキラしたバンドが出てこないイベントで、とても落ち着いて見ることができました(笑)

ヱレキテル式の電波的な打ち込みや、LIPHLICHの妖しい同期のフレーズは、あくまで世界観を出すためといった印象で、あまり装飾する目的で使われていないため、ライブハウスに漂う真っ黒な空気にも馴染む。

演奏力にはまだまだ粗があるマイナーバンドが中心でしたが、将来有望のバンドをまとめて見れて楽しかったです。

「渋谷が大変」風に言うなら、「東京地下室」の予選みたいなイベントですかね。


Mが関西バンドなため、会場では大阪弁の会話をよく聞きました。

遠征組の方も、お疲れ様です。