絵本を使って、語彙を一気に増やす | 特許翻訳 A to Z

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1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

翻訳をしているときに、全部の単語を英英辞典で調べ直すというのは、非現実的です。
ある程度、頭の中にある語彙を使うことになりますよね。

この場合、snail=カタツムリとは限らないとか、イルカ=dolphin+porpoiseの場合があるとかいうことは、知っていれば正確なスペルや語義を忘れても調べ直すことができますが、そもそも知らないと、機械的に訳してしまうことになりかねません。
当然、持っている語彙や知識は多ければ多いほど、よいでしょう。

この語彙や知識を増やすために、以前は英英辞典を読むということをしていた時期がありました。
ただ、辞書の定義には限界があり、やらないよりはよいという程度で、意外と非効率的。
そこであるときから、洋書の絵本を使う方法に、切り替えました。

いまでも、地元の公立図書館から無作為に借りてきて、1日1冊程度は読んでいます。
絵本ですから、内容理解についていえば、ほとんどの場合は辞書不要。
単語も文法も簡単で、すぐに読み終わります。
そして重要なのは、読んだあと。


たとえば、『My Snail, My Snail, My Husband』という絵本があります。
日本の昔話を英訳したもので、原書は『タニシ長者』。
文脈がありますから、snailがカタツムリ「ではなく」タニシだということは、辞書なしでも理解できます。

このときはBRITANNICA KIDSでsnailを確認し、ホラ貝やアワビもsnailに含まれることを知りました。
以後、snailがカタツムリとはかぎらないことは、忘れていません。
(ブリタニカキッズは年齢層別に検索窓があり、年齢層ごとに同じ語を検索しても結果が違います。)



あるいは、『Nicolas, Where Have You Been?』という絵本。

3分もあれば読み終わる程度の薄い本です。

 

 

ここに、

  There were the birds.  In their beaks they carried the ripe red berries he knew so well.

という文が出てきます。
これを読んだとき、beak??billと、どう違う?と。


絵と文脈からbeakが「嘴」だということは問題なく理解できるものの、私が知っていた「嘴」はbill
調べてみたところ、同義に使う場合と区別して使う場合があるらしいとわかりました。

そして上述のBRITANNICA KIDSbeakを調べて、ヒットした中にfalcon(ハヤブサ)があったことから鷹狩りに思いが至り、鷹狩りを英語でどう表現する?(→falconryとhawking)を調べているうち、鷹狩りで使う鷹は雄と雌で単語が違う場合があると知り・・・・。

同じくブリタニカのbeakでヒットした中にechidna(ハリモグラ)もあり、この「口」もbeakなのかと思ってGoogleで「echidna  beak」を検索したところ、WikipediaからShort-beaked echidnaLong-beaked echidnaがヒットし、beakを動詞的に使う用法も覚えました。
これは辞書に、あまり出てきません。

 


加えて、ハリモグラについての(ブリタニカキッズでの)説明冒頭が「The only living mammals that lay eggs are the platypus and the echidnas.」で、カモノハシだけでなくハリモグラも卵を産むと知るといった具合に、3分程度で読み終わる絵本から、語彙と知識がどんどん増えていきます。

上ではブリタニカを取り上げましたが、単に広げるきっかけ作りですから、Science for kidsでもVisual dictionary onlineでも何でもよいでしょう。


人によって合う合わないはあるとは思いますが、私の場合は、絵本方式にしてから相当に短い時間でも頭に残る情報を格段に増やすことができました。
少なくとも、「たしか、○○という語は日本語と語義がずれていて・・・・」という程度のうっすらした記憶は相当に残っています。

同じ勉強するなら、楽しいほうがよいですよね。
 


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