中国にも、梅干しのようなものがあり、メキシコ料理にも、サラディトスという梅干しのようなものがあります。おそらく、インディオかスペイン人と原住民の混血であるヒスパニックが取り入れたものです。

 

しかし、どちらの文化も、干した梅の実に砂糖や塩をまぶすだけで、バリエーションとしてはチリ(唐辛子の粉末)やライムなどの酢分が入るくらいです。それ以外の使い方がほとんど存在しないし、新しいものが開発されるような気配は一切ないのです。

 

ところが、日本ではどうでしょうか。

 

「やっぱり、日本人はクリエイティブだ」と再確認できるのは、梅を使った商品のバラエティが限りないことです。「ムメフラール」という物質を含む梅は、「健康にいい」ということが分かっています。日本人は体に良いものは、形を変えていろいろな方法で取り入れられるように工夫してきました。

 

 

海外にいて私がよく感じるのは、素晴らしい素材があったとしても、それを元に作る商品のバリエーションが限られていることです。例えば、「リンゴ」ひとつを取っても、アップルパイとアップルソース、乾燥リンゴ以外の日常的な使われ方がほぼないのです。(お祭りなどで、りんごを飴でコーティングしたものが売っている場合もありますが。)何十年経っても、新しいものが出てきて、定番として定着するということが、ほとんどないのです。

 

日本では、「梅干し」ひとつを取っても、様々な形に加工され、色々な使われ方をされています。ご飯のお供にはもちろん…。

 

 

タブレット型の梅干しも。これは、旅行中などに携帯できるので、非常に便利な代物です。クエン酸を摂ると乳酸を駆逐し、疲労快復に役に立ちます。

 

 

昔は、病後の回復や滋養強壮に「のし梅」が使われていたそうです。

 

 

梅干しと醤油、番茶、生姜が入っている梅しょう番茶も体質改善に良いですよね。

 

 

青梅を煮た「梅肉エキス」もアルカリ性健康食品として人気があります。

 

 

梅肉エキス入りの飴も。

 

 

そして、梅の香りを練り込んだ備長炭線香まであります。

 

 

日本人にとっては当たり前のことなのですが、この創意工夫のパワーは世界中を見回しても、他にはありません。海外に住んでいると、「これを使って、もっと商品を作ればいいのに」と思うことがよくあります。最終的には、日本でしか作られていないものも多いので、帰国した際に買うか、日系のマーケットで買うことになるのです。

 

創造力に欠ける日本人」って、本当に大嘘なのですよ。

 

私たち日本人って、もしかすると世界で一番くらいクリエイティブなんじゃないか、と自覚することは、私たちの能力をさらに開花させてくれると思います。(私たちが食いしん坊で食通であるということは確実に言えますね!)

 

私たちのご先祖さまの創造性と工夫に感謝します。その伝統を引き継いでいる私たち自身に感謝します。ありがとうございます。

 

日本人の本質について洗脳されている私たち