理系の読書入門。 -2ページ目

ビル・ゲイツについて

先日、【ビル・ゲイツの野望】(脇 英世著)という本を購入。


かねてから気になっていた『ビル・ゲイツ卑怯説』に、

自分なりにハッキリと決着を付けたかったからである。


しかし、実のところ、専門用語が頻出で、

ほとんど理解できていない、といった現状である。


経営学的な著書というより、コンピュータ関係の専門書に近い著書で、

自分も大学でその分野を専門で履修しているのだが、

まだ駆け出しのため、専門用語の羅列で、てんで理解できない。


そんな中で、一般化されつつある『ビル・ゲイツ卑怯説』について

書かれていると思われる部分も多かった。


自分はビル・ゲイツが大層な策略家であり知謀をめぐらし地位を獲得した、

とは、この著書を読む前から思っていなかった。


人から聞くビル・ゲイツの話は、どれもひどく普通のことに思えたからだ。


他社が開発していたものを横取りした。そんな風によく聞くが、

実際は、共同開発していたものを分裂後に自社で使用したり、

他社が開発したアプリケーションを改良して販売したり・・・

これらは、この世界では普通のこととしか自分には思えない。


それでも彼が批判される理由の一つとして、

Microsoft社の徹底した秘密主義、もあるのかもしれない。


しかし、それもその社の自由なのではないだろうか。


確かに、この世界はよりオープンでボーダレスな方向に進んでいると思う。


だが、だからといって、全てがそうでは成り立たないのも事実だと思う。


商品を提供する側にとって、その商品の製造方法は秘密なのが常。


企業秘密がなくなることは会社の利益を失うことに繋がる。


それゆえ、これ程大きな会社にとって、徹底した機密管理は常識。


それを理由に彼とその会社を批判するのは幼稚なのではないだろうか。

【エミリーへの手紙】

【エミリーへの手紙】:キャムロン・ライト著


70歳以上も年の離れた親友。ハリーとエミリーはお互いにそう感じていた。


ハリーはエミリーの血のつながった祖父であったのだが。


二人は妙に馬が合った。毎週金曜日にエミリーがハリー宅を訪れる。

ハリーはもちろん、父親が別居しているエミリーにとってもその日は特別だった。


エミリーとハリーがお互いに必要な存在になってしばらく、

平和な生活は突如終わりを告げる。


アルツハイマーを患っていたハリーの病状が芳しくなくなってきたのだ。


エミリーの母はハリーを施設に預けることを決意。

ハリーにそのことを告げ、下見を終え、準備は調った。


翌日、ハリーは愛する妻との思い出が詰まった家で、息を引き取った。


その後、ハリーの家から奇妙な詩集が発見される。

何の意味も持たないかのように見える言葉の羅列。

しかし、それはハリーのパソコンの中のあるファイルのパスワードになっていた。


『エミリーへの手紙』

そのファイルにはそう記されていた。



この本を読んでいる間、色んな想いが頭をめぐった。

自分が過去に体験した喜びであり、悲しみであり、これから体験するであろうそれら。


想いは力になるのだと思い出させてくれた。

苦しみを呪わず、辛さを噛み締め、喜びへとひた走る。

自分の目的を見失わぬこと。それが幸福への道しるべになる。

そう、教わった。


「一日の終わりに鏡に映った自分を見て、

   今日は精いっぱいのことをしたと思えたら、

      その先もきっと満足のいく人生を歩めます。」


一日一日を大切に。

今日を振り返ったとき、今日は明日の糧になると胸を張れるように。


色んなモノを見て、色んなことを知り、色んな人と出会い、色んな人を知る。


そうして自分の器を拡げていこう。

久しぶりにそう思える、前向きな心をくれた著書。


【エミリーへの手紙】お薦めです。



【シルミド】

【シルミド】:キムヒジェ著


本作は前述のペク・トンホ著【シルミド】を

キムヒジェが映画用に脚色、書き直したものである。


朝鮮半島が北緯38度線を境に二つの独立国家で分裂していた時代。

韓国近海の無人島『実尾島(シルミド)』内で、

金日成(キムイルソン)暗殺という任務を果たすため、

過酷な特殊訓練を課せられた元死刑囚達。


特殊工作員シルミド部隊結成から3年余り、国の行く末が変わり、

任務が取り消された後、シルミドは国にとって邪魔者になった。

そんな中、自分達が抹殺されようとしていることを知った訓練兵達は、

独自にシルミドを脱出し、金日成官邸に侵入暗殺を企てる。


訓練兵抹殺決行深夜、訓練兵達は闇夜に紛れ、

シルミド島内で指導兵を虐殺、シルミド脱出に成功する。

その後、ソウル近くの海岸に上陸。バスを奪いソウルへの道の途中、

韓国軍に包囲され、失意の中―― 自爆。

こうして一・二一青瓦台(チョンワデ)襲撃事件を発端に始まった

実尾島(シルミド)事件は終わりを告げた。



この作品はペク・トンホ著の原作と異なっている部分が多かった。

大きな相違点としては、

訓練兵が全員元死刑囚であるかのように描かれていること。

訓練兵達の暴動(シルミド事件)発生の経緯と結果。

どちらも原作より悲惨さを引き出し、

政治に対する批判を大きくアピールするための脚色だと感じた。


過去の過ちを、当時まで遡り、解析することは必要。

だが、そのためには、でき得る限り正確な過去を、

真っ直ぐに見つめることが大事であると自分は考える。

そういった意味で、この脚色は、

世間の支持を得るための無意味な情報の改ざんであるような気がする。

聴衆の同情心を必要以上に煽ることは、

作品の価値を下げる行為でしかないと思う。

より史実に忠実な原作に触れた後、

理解を深める目的でこの著書を手にしたのは間違いだったのかもしれない。