ボストン美術館?
はて、最近似たようなの観なかったか…
と思ったけど、そうですよ、9月に東京都美術館で観た。
東京都美術館のほうがコロナ禍で2年遅れたので、たまたま同時期になったのですね。
本展は、東京展からずっと関西に巡回してくるのを待っていたのでした。
なんでって、
① 源頼光と四天王の武者絵が観られる!!!
② 月岡芳年のアレが観られる!!!
のだから。
まず、源頼光(みなもとのよりみつ)さんは、私の住んでる辺りではまあまあ有名人でして、親しみを込めて「らいこうさん」と呼んだりなんかします。
その頼光さんが四天王(渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)を従えて、土蜘蛛やら酒呑童子やらをやっつけたりする冒険譚の浮世絵(武者絵)を観たかったのです。
ちなみに、坂田金時さんは幼名「金太郎」です。
“まさかりかついだ”ね。ご主人様より有名人です。
あと、一説では、実際の頼光さんはヘタレ武士だったらしくて、四天王と言われる部下が超優秀だったから物語の主人公として持ち上げられたと言われてます。
ま、そんなことはともかくとして、武者絵は期待通りのスバラシさ
そりゃもう、物凄い大迫力でした
口伝と飛脚以外に何の情報網もなかった時代だから、全部脳内で構成された上で高水準の技術で表現されている。
それだけで奇跡というほかない。
歌川国貞《渡辺ノ綱 坂田金時 平井保昌 源頼光》1815年頃
四天王がそろってませんけどね。
次に、「月岡芳年のアレ」ですが。
コレです。
月岡芳年《藤原保昌月下弄笛図》 1883年
私はもう、最近芳年作品を多数目の当たりにしてからというもの、彼の虜となっておりまして、コレをどうしても観たかったんです。
横笛を吹いているのは、頼光さんと同時代のヒーロー・藤原保昌(摂津守になって平井に住んだから平井保昌とも言います)です。
その、ただ笛を吹いているだけの保昌の迫力に気圧されて手が出せない盗賊・袴垂(はかまだれ)。
保昌は美しい立ち姿で優雅に横笛を吹きつつ、視線はピシッと袴垂を捉えております。
雅な美しさとともに、物凄い緊張感が伝わります。
とにかく素晴らしかった… ほぅ…
(素晴らしいしか言ってない。語彙が貧弱)
5分は食い入るように眺めたね。出る前にももう一度観に戻ったし。
ほかの見どころといえば「刀剣」だったのですが、私は刀剣女子じゃないんで刀はよくわからない。
でも「鐔(つば)」の展示は面白かったです。
武者絵と関連するシーンを描いたものが展示されてるんだけど、どれもこれも奇跡的な見事な細工です。
外国人が評価して、大事に所蔵してくれているのもうなずける。
で、これらの鐔は私が観たところ全部江戸時代製作だった。
戦争のない、平和な時代だったから生まれた芸術なのでしょう。
あくまで観賞用で、細工の良いものは互いに自慢げに見せ合ったりしたんだろうな。
戦国時代だったらこんな繊細な鐔じゃそれこそ「つばぜりあい」なんかできないもんね。
《富士裾野巻狩り図鐔》江戸時代(19世紀)
富士の巻狩りは今年の大河「鎌倉殿の13人」でもやってました。源頼朝主催の軍事演習みたいなもんです。
見応え十分な、大満足の展覧会でした。
本展は、今の時点で兵庫展の会期はまだあるので、行こうかどうしようか迷っている方は、ぜひ行ってください。
次にいつ里帰りしてくれるかわからないよ
あ、それと、浮世絵は細かいので、それなりのお年の方は老眼鏡持参をオススメします。
浮世絵は割と間近で観られるから老眼鏡で十分だけど、刀剣の波紋や細工を拡大して観たい!という方は単眼鏡をオススメします。