挑む浮世絵 国芳から芳年へ@京都文化博物館 | the art,music and subculture.

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趣味に関する日記というか記録というか、そんなとこです。

子どもの夏休みの宿題※第2弾。

※溜まってたものを慌てて仕上げるという意

 

本展は、月岡芳年(つきおかよしとし)を思いっきり堪能できる企画展でした。(会期:2022年2月26日(土)~4月10日(日))

 

芳年は「血まみれ芳年」の二つ名で知られ、残酷なシーンを題材とする「血みどろ絵」「無残絵」が有名ですが、その衝撃的なイメージだけが先行し、最近まで画業全般に対して正当な評価を受けてませんでした。

 

でも近年はその他のテーマの浮世絵も広く知られるようになり、再評価が進んでいます。

 

会場の京都文化博物館はめっちゃ久しぶり。

 

てか、コロナ以降、京都自体が久しぶり。外国人が少なくて日本人としては嬉しいけど、まち全体としては経済的に大打撃なんだろうなぁ。

 

 

それはさておき、浮世絵が、ましてや月岡芳年が関西で見られるとは何と素晴らしいことか!もう期待しかない!と鼻息荒く乗り込み、そして期待に違わず!

(グロ苦手な人は回れ右)

 

奥州安達がはらひとつ家の図(明治18年)

 

芳年の血みどろ絵・無残絵を生で見られて大感激。

 

↑コレなんて気狂いして食人鬼と化した老女が今宵もまた捕らえてきた身重の女を吊るして今まさに解体しようとしてる場面。

 

実の娘とは知らず。

 

シチュエーションも絵もエグい。

 

あまりのエグさに当時の政府に発禁処分にされたとか。

 

今では芳年の代表作の一つとされています。

 

でも、老女は吉本新喜劇の往年の桑原和男か、志村けんの「ひとみばあさん」か。もはやギャグじゃん。(ググってみてね)

 

でも、なんていうのかこの人の血みどろ絵は確かにエグいけど、どこか美しいと私は思うんですよね。

 

鮮やかな血の色といい、登場人物の微妙な表情といい、躍動感のある構図といい、隅々まで繊細な情景描写といい、陰惨な場面なのに美しいとさえ思えてしまう。

 

私は決してゾンビ映画とかは(好きじゃないどころか、どっちかっていうと嫌いなんですけど。

 

↓コレなんか私は買って帰ったポストカードをトイレに飾って毎日眺めております…ニコニコ

 

月岡芳年「英名二十八衆句 福岡貢」 名古屋市博物館蔵

 

しかし、芳年の本領は「血みどろ絵」だけじゃなかった。

 

役者絵も武者絵も美人画も、めちゃくちゃ素晴らしいんです!これは観に来ないと実感できなかった。

 

そんな中で私がもっとも目と心を奪われたのはコレ!↓

 

月岡芳年「東名所墨田川梅若之古事」名古屋市博物館蔵(尾崎久弥コレクション)

 

 

人買いにだまされて連れまわされた梅若丸という12歳の美少年が、桜舞い散る夜に隅田川のほとりで亡くなるという「梅若伝説」の一場面を描いたものです。

 

 

今まさに梅若丸が、はらはら舞い散る桜とともに自身もはらはらと崩れ落ち、散ろうとしている。

 

どうです、この繊細さ、優美さ、はかなさ。

 

そして、死の間際という極限状況が生み出す、得も言われぬ美しさあでやかさ。それを紡ぎ出す描写力に芳年は秀でているのだろう。だから無残絵もどこか美しい。

 

この印刷技術が江戸末期とか明治初期にあったのも驚きです。

 

そんなわけで大満足の展覧会でした!虹

 

ここでは一切言及してませんが、国芳の名作もありましたしね。

例のでっかいガイコツのアレです。(「相馬の古内裏」)

 

浮世絵に興味がある方には、ぜひ機会があったら芳年にも興味を持っていただけたら嬉しいです。