Steinway&Sonsから新型のピアノ「SPIRIO」が、来月発売されるということだが。

新型とは、「自動演奏機能が付いた」という話だ。

最大の売りは、有名ピアニストの演奏が忠実に再現されるということ。一部、映像付きもあるという。

まさに、今流行りの自動機能である。

有名ピアニストの演奏が、“ナマ”で、しかもスタインウェイでいつでも聴けるということだ。

ついにここまで来たかと、開いた口が塞がらないが、ちょっと贅沢な動画を観ていると思えば、楽しめる価値は十分にありそうだ。

しかし私個人的には、それがスタインウェイである必要はあるのかと、やや首をかしげてしまう。

 

スタインウェイは、1880年~1970年頃(買収されるまで)、スタインウェイファミリーの手で作られていたと言われており、その証が私のピアノにもクッキリと刻み込まれている。つまり、手作りというのが基本理念である。

果たして、スタインウェイファミリーは、スタインウェイの本当の音色を自動演奏で伝えたいと今思うだろうか。

そもそも私は、聴き手のためより、『弾き手』のために、1台1台こだわり抜いて作られていると思っている。

 

バイオリンではあるが、以前、名器ストラディバリウスとそれ以外のバイオリンとの聴き分けが可能かという番組で、

海外の音楽大学の教授5人が集まり、パーテーション越しに違いを聴き取るのだが、結果4人が分からなかった。

しかし弾き手は、その違いをはっきりと感じている。

 

量産されている楽器は別として、各メーカーが “手作り”をウリにしているグレードの楽器こそ、“手作り” の演奏であるべきではないかと思うが。

スタインウェイは正に、その象徴とも言えるピアノと思っていたが。

 

「この紋所が目に・・」

入らなかったか。

 

 

今月上旬、シンガポールから来られた方のレッスンが終了した。

バッハ、ベートーヴェン、ブラームスと、3日間に渡り一曲ずつのレッスンだった。

バッハとベートーヴェンは、いずれも全楽章で時間が足りなかったのが正直なところ。

しかし、私なりに感じた事は優先的に伝え、私の音楽感は多少なりとも伝わっただろう。

3日間のレッスンはあっという間に終わったが、私の音楽と、ついでに日本の「関西」も味わってもらえたことを願いたい。

 

その矢先、次はイギリスからの問い合わせ。

 

どうやら、関西の某大学に交換留学に来るとの事だが。

専攻は違う分野で、それとは別にピアノを習い、今取得しているABRSMのグレードを上げるためのようだ。

 

またもや、ABRSM だ。(The Associated Board of the Royal Schools of Music) 

これまでアイルランド人、シンガポール人、そしてイギリス人。

とある国々では、楽器が弾けることは、就職の際や社会的に、アドバンテージとしてしっかりと認知されている。

 

日本は遅れているのか?それとも、ただの“お稽古ごと” として扱われているのか。

 

ピアノが弾ける事がどういうことかは、

私が下手に説明するよりも、ヨーロッパなど日本以外の国々では、現実にABRSMの存在が認知されている事が、何よりも証明してくれている。

 

私にとっての「快適」。

 

かねてからの悩みの種だった、騒音。

私の部屋の前は、幹線道路のため24時間昼夜を問わず絶えず車が行き交う。

雨が降ると、その音はさらに勢いを増す。

 

私は今回思い切って、部屋のガラス戸を二重サッシ(LIXILのインプラス)にした。

気付けば思い悩んで10年以上は経っていたが、ようやくその重い腰が上がった。

 

というのも、ネットで業者を検索する中、何十と上がる会社の中から、一社だけピンときた。

予感は的中し、最初のメールから一言一句に丁寧さと信頼を感じた。

この会社こそが、私の重たい腰を上げてくれたのだ。

 

先日施工工事が行われ、その工事完了の瞬間、私は今まで何を悩み続けてきたのか、ただその事に後悔した。

全くと言っていいほど、ほとんど外の音はしない。

扉をもう一枚入れると、こんなに静かになるのかと、喜びと同時にただ驚きを隠せなかった。

とにかく、静かなのだ。

 

 

ついでにと言っては何だが、いつも聴いていた部屋のスピーカーも変えた。

遡ること2年前、BOSEの「QuietControl™ 30 wireless headphones」というヘッドホンが発売され、遮音効果が優れているとのことで直ちに購入。

これは、雑音を吸収処理し、完全にシャットアウト。危険なほど外音が全く聴こえないため、調節機能も付いている。

音質も申し分なく、私はBOSEの音への拘りに感心していた。

そんな中、二重サッシに連られ、部屋のスピーカーも変えてみようと、軽く腰が上がる。

普段は、もっぱらクラシック音楽を聴くことが多いため、一応Bang & Olufsen、Bowers & Wilkins そして、BOSEと視聴に周った。

どの会社も音作りにはポリシーを持っているが、私はBOSEの「SoundLink® Revolve+ Bluetooth® speaker」に最も魅かれた。

360度のサウンドで、天井からぶら下げたり、持ち運び自由で場所を選ばず、また高音から低音まで非常にバランスのとれた迫力ある音質。

BOSEの音は、“良く聴こえる”ように作られているというが、家で聴くなら、むしろその方が良い。

なぜなら本当の良い音を求めるなら、生演奏に勝るものはないからだ。

 

というわけで、私の部屋は、「快適」そのもの。

幸せ・贅沢・優雅、私には毎日快適に暮らせることがそれに当たる。

雑音のない所で、良い音質の音楽が聴けること。

 

私にとって快適な生活とは、「良い音」で満たされることだった。