「陰陽師 -生成り姫ー」
夢枕獏氏の「陰陽師 -生成り姫ー」
出版社、著者からの内容紹介
シリーズ初めての長篇小説!!
晴明・博雅が今回出会う魔物は鬼か蛇か!? 全ては十二年前、博雅に枝を差し出して去っていった謎の姫の登場から物語は始まった!
さあ、「陰陽師」紹介2冊目であります。
前回の紹介から10日ほど経ちました。
なぜこんなハイペースで陰陽師シリーズを紹介するのか・・・。
陰陽師ばかり読んでるからです。笑
第一巻を読み終え前回の紹介を書いて、今回紹介する「生成り姫」を読む間に3冊ほど読んでいますので、約1週間で5冊の陰陽師シリーズを読みました。
やっぱり面白いです。
短編ごとに味があります。
季節があり、人があり、闇がある。
あやしく美しい平安の都に憧れてしまいますね。
本当は、全巻紹介したいのですが、さすがにそれはまずいので。。。
さて、「生成り姫」。
内容紹介にもあった通り、シリーズ初の長編となっています。
実はこの長編には理由があるのです。
もともと文藝春秋で連載されていた陰陽師でありましたが、朝日新聞から連載の話があり、短編で書かれた「鉄輪」を長編化したというもの。
「鉄輪」を基にしたものでありますが、筆者自身、充分に描けていないと感じていたそうで、博雅と姫の出会いや話の背景が加筆されています。
また、別誌で連載されることもあり、晴明や博雅についての人物像や逸話も紹介されています。
はじめて陰陽師シリーズを手にした人でもたのしめるような作品ではないでしょうか。
シリーズ通していえることですが、今作は特に、人という生き物の不思議が描かれています。
人である晴明と博雅の友情。人である姫の恨み、憎しみ。
作中で、晴明は言います。
「鬼あるからこその人よ。人の心から鬼が消え去るときは、人もまたこの世からいなくなるであろうよ。」
「誰でも皆、心には鬼を棲まわせているのだ。」
人ほど奇なるものはない。
そう実感させられます。
博雅の愛を。晴明の心を。そして姫の悲しき運命を。
こころゆくまでご堪能あれ。
- 陰陽師生成り姫 (文春文庫)/夢枕 獏
- ¥610
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「蒲公英草紙」
恩田陸氏の「蒲公英草紙」
出版社、著者からの内容紹介
舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。時を超えて人々はめぐり合い、約束は果たされる。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。
恩田陸氏の常野(とこの)物語シリーズです。
「光の帝国」を読み、常野物語のファンになりました。
「蒲公英草紙」はシリーズ第2弾。
前作は短編集でありましたが、今作は長編となっています。
ここで常野物語シリーズについて少し説明を。
常野物語は常野の民という一族にまつわるお話であります。
常野という地から来たと言われる不思議な力を持つ一族。
彼らは穏やかで知的で、権力への思向を持たず、人々の中に埋もれてひっそりと暮らす。
「光の帝国」では、短編ごとにさまざまな力を持つ主人公たちが描かれます。
お話ごとに登場人物や不思議な力は異なり、スリリングな物語であったり、涙なしには読めない物語であったり。。。
一部、共通する人物も登場し物語に深みを与えます。
「蒲公英草紙」では、前作の短編でも登場した春田一族が描かれます。
彼らは膨大な知識や人そのものを「しまう」、そして時には「響かせる」役割を持ち、旅をしながら暮らしています。
今作では、20世紀初めの田舎村を舞台に、大地主の娘「聡子」やそこに集まる人々、そして春田一家とのふれあいを中心に、物語が展開されます。
「しまう」そして「響かせる」というのは春田一族の役割であり、常野の者たちはそれぞれ役割を担いながら生きています。
ここでは「しまう」「響かせる」については説明しないでおきましょう。
ぜひじっくり読んでご理解いただきたいので。
主人公は幼い頃、「聡子」の遊び相手としてお屋敷に上がった少女。
春田一族という常野一家に出会ったひと夏の回想録として描かれています。
時代背景からくる、古き良き時代の雰囲気。
幼く病弱でありながら、まわりの者たちを思いやる聡子。
そんな聡子を愛してやまない村の人々。
そして、常野の民。
全編通して優しさであふれた作品です。
春田一族の秘密も徐々に明かされていきます。
はたして、彼らは何のために存在し、どこに帰ろうとしているのか・・・。
ぜひ、この作品のあたたかさに触れてみてください。
きっと、目頭を熱くしながら、本を閉じることになるとおもいます。
- 蒲公英草紙 常野物語 (集英社文庫)/恩田 陸
- ¥500
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「ノルウェイの森」
村上春樹氏の「ノルウェイの森」
bookデータベースより
上巻
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱していた。―限りない喪失と再成を描き新境地を拓いた最編小説。
下巻
あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと―。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。
先日も少し紹介いたしました、「ノルウェイの森」。
大学に入って読んだ本で、もっとも感銘を受けたというか、魅力的だったというか・・・うまく表現できませんが印象的だった作品であります。
1987年に発売され、2009年時点で上下巻あわせて454万4400部。上巻は、『世界の中心で、愛をさけぶ』に抜かれるまで、日本における小説単行本の発行部数歴代1位であったそうです。
もちろん私はそんなこととはつゆ知らず、表紙につられて手に取りました。
ジャンル的には恋愛小説ということになるのでしょうが。。。
そもそもジャンルに分けるということのできない作品だと思います。
既存の言葉、ジャンルでは説明しきれません。
巧みで繊細な感情描写は圧巻。
思春期の葛藤、失恋の喪失感。
悲しいほどに美しい純愛。
どれをとっても、たとえそれが未知のものであっても、ありありとその感情を捉え、感じることができます。
村上氏独特の俯瞰で見るような語りで、淡々と進む物語。
その世界は静かで、どこか悲しみを帯びています。
その世界に触れたくて、村上作品を手に取るのかもしれません。
間違いなく、日本文学のマスターピースです。
ぜひ。
- ノルウェイの森 上 (講談社文庫)/村上 春樹
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