おすすめ小説ー個人的読本紹介ー -4ページ目

「さまよう刃」

東野圭吾氏の「さまよう刃」


marcデータベースより

不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上げる。はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?



最近、映画化もされ社会の反響も大きい今作。

これも先輩にお借りして読ませていただきました。


じつは、私高校時代にこの作品に出会っておりました。


夏休みの課題で感想文を書いたのですが、その参考図書に「さまよう刃」も掲載されていました。


書店で数ページ立ち読みしたのを覚えています。



当時の私には到底受けとめきれないと感じました。

実際、別の本を読み課題を提出しました。





それほどにこの作品は重く、そして深く考えさせられる作品だと思います。


読んでいる間、世界はいたるところに危険をはらんでいて、不公平で、理不尽な場所に感じました。


実際その通りで、どうしようもないヤツがいて、罪のない人が傷ついて、悲しみに暮れる人がいます。


それでも、多くの人は私と同じように、どこか知らない場所で起こったことのように無関心で、何もなかったかのように忘れていきます。



読み終えて、納得いかないと感じたのは主人公になりきっていたからでしょう。


やりきれない。






読書をすると頭がよくなると言います。


実際、実用書など読めば知識は増えますし、文章を読むだけでもある程度知識になるかもしれません。



私は小説しか読みませんし、知識が増えたなと感じたこともありません。


でも、小説を読むことはこころを豊かにするとは感じています。



それは、小説を読むことでいろいろな人生を、体験をすることが出来るからです。


時には父親になって、時には女性になって、時には殺人者になって…。


たしかにそれは作り話で、本当の出来事ではないかもしれません。


でも、そのとき感じたこと、優しさに触れた感動や押さえきれない怒りや、やりきれない悲しみは本物だと思います。


その経験は確かにその人のこころを豊かにすると思います。

少なくともマイナスにはならないと。





すこし脱線して、かなりくさい言葉になりましたが、いろいろなことを考えさせられる作品でありました。




さまよう刃 (角川文庫)/東野 圭吾
¥740
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雑談(本関係なしです。)

今回は雑談です。


最近ニュースになっています、消費税問題。



増税をみなさんどうお考えでしょうか。




これに関係して、講義でおもしろいお話を聞いたのでご紹介します。





国家財政についてです。



国家財政というと難しい気がしますが、講義ではこれを家計に例えて説明していました。



日本という国を一つの家だと考えます。




この家計の月収(国でいうと税収等)は40万円です。



そしてひと月に必要な食費などの家計費(一般歳出)は33万円です。



また、田舎への仕送り(地方交付税)に11万円必要としています。



さて、この時点で必要なお金はこの家計の月収を超えています。


すでに、大変な家ですね…。




しかし、これだけではありません。


この家、借金をしていまして、月々14万を借金返済(国債費)に充てなければなりません。




不足分18万円。また借金をします。


月収40万の人が月々18万の借金・・・。




みなさん、この家計、現在いくらの借金を抱えていると思いますか?










なんと、





4600万円。








・・・・・・・・・・・。





返す気ないですよね。笑



みなさんはこんな家に暮らしたいですか?




この数字は国家財政の比率を使っています。



実際には、収入が58兆円、借金の残高は553兆円です。




増税も必要な気がした講義でした。

「東京島」

桐野夏生氏の「東京島」


bookデータベースより


32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か、楽園か?いつか脱出できるのか―。食欲と性欲と感情を剥き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読者の手を止めさせない傑作長篇誕生。





読書好きの知り合いからお貸し頂き、読みました。


自分では選ばないであろうジャンルの作品ですね。


ついついファンタジーなどに手が伸びてしまい、ノンフィクションや恋愛小説は縁遠いものになってしまいがちです。



今作もノンフィクションではないものの、無人島でのリアルな人間模様が描かれる作品です。




まず目を引くのが特殊な設定ですね。


無人島でのサバイバルならば別段珍しくはないですが、女性が一人に男が多数。


十分に異様な状況です。




物語は主に唯一の女性である清子の目線で描かれます。


サバイバルについて語っていくと思いきや、どちらかというと人物の心情や葛藤、駆け引きが多く感じます。




登場人物も個性が強く、関係が複雑に変化していきます。


団結したかと思えば、裏切り。


味方と思いきや、敵。



誰もが互いを疑い、必死で生にしがみつく。




無人島という特殊な状況が、人間の本性を浮き彫りにしていきます。





直前まで「陰陽師」の美しい世界に浸っていたせいもあり、「東京島」のなまなましい人間模様に少し面喰ってしまったせいか、人の心の醜さや、汚さが際立って感じられました。


もっと違う状況だったら感じ方も変わっていたかもしれません。





また、男性、女性でも読んだ印象が変わってくる作品だとも思います。


とくに清子の感情描写は、女性であれば共感する部分があるかもしれません。






極限状態におかれた人間の、リアルな本性を描く。


彼らが選ぶのは島での生活か、島からの脱出か・・・。






容赦なく描かれる目を背けたくなるような、人の真実のすがた…。


こころしてお読み頂くことをお勧めします。






東京島 (新潮文庫)/桐野 夏生
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