「1Q84」
村上春樹氏の「1Q84」
社会的ブームにまでなった作品であり、もはや知らない人はいないのではないでしょうか。
内容紹介
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。
Book 1
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。
Book 2
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。
Book 3
そこは世界にただひとつの完結した場所だった。どこまでも孤立しながら、孤独に染まることのない場所だった。
高校で「海辺のカフカ」を読んで以来、村上氏のファンになりました。
長編のものはおおかた読みましたが、短いものまですべて読むには至っていません。
さて、「1Q84」。
読んでいて、非常に広い世界を描いている印象を受けました。
登場人物が行き来する範囲は決して広いわけではないのですが、本当に1Q84年にいるように感じられ文章になっていない場所まで想像することができるのです。
これは背景の繊細な描写や絶妙な比喩によるところではないかと思います。
全編通して、音楽や色にあふれた「1Q84年」の世界が描かれます。
この背景や比喩の美しさが村上作品の醍醐味だと私は感じています。
登場人物はというと、これまた設定、描写が細かい。
そして、それぞれみんな、秘密や影の部分を持っているのです。
現実にいても何らおかしくないような人物、でもどこかあやうげであったり人知れず闇を抱えていたり。。。
みなそれぞれに魅力的であります。
しらずしらず登場人物にのめりこんでしまうのは、そんな登場人物と誰も知らない本当の自分とを重ね合わせてしまうからかもしれません。
語り口も特徴的ではないでしょうか。
「1Q84」に限らず、村上作品の主人公は、どこか自分のことを第三者的な立場からみているような印象を受けます。
想像もできないような出来事に巻き込まれているのに、他人事のように落ち着いて語り、受け入れる。
まるで読者である私の目線から物語をみているよう。
我々が主人公の目線に合わせるのでなく、主人公が我々読者の目線に寄せてくれているのです。
個人的には嫌いじゃない。むしろ、物語にのめりこみやすい。
だからこそ何が起きても受け入れられる。
難しいことを考えず、純粋に物語を楽しめる。
と、いろいろ言ってきましたが「1Q84」、非常に面白い作品です。
読めば、超大ヒットもうなずけるのではないでしょうか。
かなりの長編で、なかなか手が出ないという方もいるかと思いますが、基本的には非常に読みやすく書かれていますのでぜひ、勇気を出して手に取っていただきたいです。
正直にいうと、村上氏の作品には自分の知らないものが数多く出てきます。
それは音楽であったり、酒であったり、場所であったり。
でもそれがいいのだと思います。
自分の知らないものにあふれた世界は神秘的で魅力的です。
純粋にこの不思議な物語を楽しんでいただきたいと思います。
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「向日葵の咲かない夏」
道尾秀介氏の「向日葵の咲かない夏」
bookデータベースより
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
書店をふらふらしていて目に留まった作品。
裏表紙の紹介を読んで購入を決めました。
好き嫌いが分かれる作品だと思います。
作者自身、読者から“物語が陰惨”、“登場人物が可哀想すぎる”などと評されたことを明かしています。
ある程度、耐性のある方なら楽しんで読んでいただけると思いますが、グロテスクな内容は苦手という人は…。
夏休み、子供、不気味な事件。
良い意味で気味の悪い雰囲気が満点であります。
予想を裏切る展開が続き、先を読むことができません。
個人的にはS君の過去のエピソードには、背筋がぞくりとしました。
グロテスクというわけではないのですが…。
ほんと、怖かったです。
読み進んでいると「?」と思うところもありますが。。。
お読みになられる際はぜひ、常識や固定観念をすて、無心でお読みください。
すべて読み終わったら、意味が理解していただけると思います。
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「放課後」
東野圭吾氏の「放課後」
超人気作家東野圭吾氏の長編推理小説であります。
bookデータベースより
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を二人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将―犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第二の殺人が…。乱歩賞受賞の青春推理。
説明の必要のないくらい有名な筆者ですね。
どれを読んでも間違いないのではないでしょうか。
ジャンルは多岐にわたり、作風も多様ですが、どれをとってもおもしろい。
中でもこの「放課後」という作品は私が初めて手に取った東野圭吾氏の作品です。
そして、東野圭吾氏のデビュー作でもあるのです。
推理小説であることもあり、やはり特筆すべきはトリックではないでしょうか。
決して難解なトリックが使われているわけでもなければ、華麗に謎を解く名探偵がいるわけでもありません。
「なるほど・・・」とか「なんで気付かなかったんだろう・・・」とか。
わからなかったことが悔しくなるような、うまいトリックが使われています。
それがたまらなくおもしろい。
よく考えればわかりそうなのに。。。という感覚が事件をよりリアルに感じさせます。
さらにつぎつぎ現れる犯人候補、複雑な人間関係が読者を飽きさせません。
デビュー作だとは思えないほど巧妙な伏線がはりめぐらされています。
ぜひ、読まれる際は犯人を推理しながらじっくり読み進めていただきたい一作であります。
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