文化ライターのブルーノです。

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今回は、技術士総合技術監理部門における総合技術監理総合管理技術の違いについてです。

総合技術監理総合管理技術は、非常に似た言葉なので、聞いただけでは同じ意味のように思うかもしれませんが、技術士総合技術監理部門の世界では明確に意味の違いが示されています。
簡単にその違いを言うと・・・
総合技術監理は、「組織の技術業務を行うにあたり、お金・人・情報・安全・環境に加えてコンプライアンス・国際ルールなどの倫理面も含めて総合的に監督すること」です。
一方、総合管理技術は、「技術業務を総合的に監督するための゛管理手法゛あるいは゛管理技術゛のこと」です。

総合技術監理の真髄は、青本の前文「1.1総合技術監理に要求される機能」に書かれており、一言一句がすべて重要です。
特に、「総合技術監理の範囲」に書かれていることは、総合技術監理の胆のところなので紹介します。

「技術士総合技術監理部門では、企業などの組織における技術業務全般を見渡し、安全性や経済性などに関する総合的な判断に基づいた監理を行うことが可能な技術者を育成、認定することを目的としている。
総合技術監理の範囲としては、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理があり(図1―1参照)、それに加えて社会的規範や国際的ルールとを包括した倫理観や国際的視点なども含まれる。なお、この総合技術監理において『監理』という文字を使用しているのは、総合技術監理が上述した各管理やその他の内容を総合して監督する概念であることを明確にするためである。
実社会において組織活動やプロジェクトの監理を行う場合、各管理の重要性や優先順位は、組織活動やプロジェクトの目的もしくは規模によっても異なってくるものであり、一意的に定まるものではない。例えば、過去に多くの類似経験を有するビル建設などのプロジェクトでは経済性管理が優先されるであろうし、規模が小さくとも特殊な危険物を扱う施設の建設では安全管理が優先されるであろう。従って、総合技術監理を実施する者は、その組織活動やプロジェクトの内容毎に、各管理の優先順位や実施手順などを検討し、必要にして十分な監理を実施することを必要とする。
各管理はそれぞれが密接な関係を有しており、お互いに相関を有する場合がほとんどである。例えば環境被害が生じたとき、それが社会環境管理の失敗というよりは、事故という安全管理の失敗によりもたらされ、その背景には人的資源管理あるいは情報管理の抜け落ちがあった、ということも散見される。また、安全管理や社会環境管理を実施する場合、その対策に必要となる費用をどれだけかけるかという根本的な問題に対して、経済性管理としての判断が必要となる。」

一方、総合管理技術については、青本の「1.3総合技術監理における総合管理技術」に説明されているので紹介します。

総合技術監理では、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理の5つの管理を独立に行うのではなく、互いに有機的に関連づけて、あるいは統一した思想のもとで行う必要がある。しかし個別の管理から提示される選択肢は互いに相反するものであったり、トレードオフの関係にあったりすることが多い。そこで、これらの統一的な結論の提示、もしくは矛盾の解決・調整を行うための管理技術を総合管理技術とする。しかし、現状ではこのような管理技術として統一的に適用可能な方法論は確立されていない。
しかしながら、比較的体系化が進んだ技術として利用されているものとして、いくつかのアプローチが存在している。経済性管理の立場からは、総合的品質管理と組織経営戦略の策定を結び付ける方法、管理会計の考え方による方法がある。また、与えられた選択肢(代替案)の中から最も望ましいものを選択するための方法論である意思決定論の考え方を適用する方法もある。安全管理の立場からは、組織経営戦略におけるリスクの視点からマネジメントを統合的に捉えるリスクマネジメントを適用する方法がある。これらの総合管理技術は、総合技術監理全体を総括する枠組みとして位置付けられているものではないが、5つの管理技術の中で共通に、あるいはその調整のために使用されるべき考え方である。従って、個別の管理技術において使用している用語や内容と総合管理技術において使用している用語は必ずしも同一ではない。総合管理技術における概念をそれぞれの管理技術の中で確立されている概念に適用して理解されたい。」

ここで、少しまとめてみたいと思います。

総合技術監理とは、
 「技術業務を総合的に監督する」
   ことです。
②その総合技術監理の中には、
   個別の5つの管理項目がある。
③その5つの管理項目は、次の5つです。
・経済性管理
・人的資源管理
・情報管理
・安全管理
・社会環境管理
④これら5つの管理項目は、
   個別に管理するのではなく、
   同時にかつ密接に関係しながら、
   総合的にバランスを取って監理する。
⑤その際に使用する管理技術としては、
   次のような手法がある。(総合管理技術
・総合的品質管理(TQM)
・管理会計(割引現在価値)
・意思決定論(最適決定、満足決定)
・リスクマネジメント
   (確率的思考、トレードオフ)
⑥その他、全般的に適用できる考え方として、
   次のようなものがある。
・問題解決法
   (ブレスト、KJ法、PDPC)
・PDCAサイクル
・プロジェクトマネジメント

皆さまも、総合技術監理を考える際には、5つの管理項目とそれらを総合的に関連づけて管理する技術(総合管理技術)があることを覚えておきましょう。






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