しばりやトーマスの斜陽産業・続 -52ページ目

ラジー賞2023結果

 アカデミー賞の前日に発表されるその年最低の映画を決める第43回ゴールデンラズベリー賞が発表。最低作品賞は下馬評通り『ブロンド』が栄冠(?)に輝いた。

 

https://natalie.mu/eiga/news/516333

 

 マリリン・モンローの激しすぎる生涯について「新たな視点」で描かれた本作は新しいというより、ただのデタラメな上に彼女の名前を利用しながら辱めていると言われ、一部では死姦ポルノと痛烈に批判されていたので、受賞も当然!『ブロンド』については以下に書きました。

 

 

 主演男優賞はマーベルコミックの『モービウス』に主演したジャレッド・レト。吸血鬼のようなダーク・ヒーローものだが「画面が暗い、ストーリーも暗い!」と駄作評価を下され近年のマーベル映画の中ではDランクとされたが、無駄に長い作品に比べると上映時間108分は評価できるのではないかと。最低助演女優賞は同じ『モービウス』からヒロイン役のアドリア・アルホナ。

 

 最低助演男優賞は『エルヴィス』でトム・パーカー大佐役を演じたトム・ハンクス。同作はハンクスが特殊メイクによってラテックスを塗り付けたみたいな顔が変!とイジられていた。ハンクスは最低カップルを決める最低スクリーン・コンボ賞もひとりで受賞して2冠達成。

 

 最低リメイク、パクリ、続編部門はロバート・ゼメキスの『ピノキオ』。本家アカデミー賞では『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が長編アニメーション部門を受賞したのに、こちらの実写リメイクは最低評価。批判された理由は悪戯っ子のピノキオを愛されるキャラクターにしようとしたり、ピノキオを救う妖精を両親がナイジェリア系のシンシア・エリヴォが演じたことで、ポリコレ配慮だと(なぜか)非難が集中。デル・トロのストップモーションアニメ版はほぼ原作に忠実にしつつ(独自の展開もある)、彼お得意の不気味なキャラの造形が愛らしく施されてのと比べても、昨今のディズニーの過剰なポリコレ配慮が攻撃された感がありますね。

 

 名誉挽回賞は『イニシェリン島の精霊』が高評価のコリン・ファレル。彼は2004年の『アレキサンダー』(オリバー・ストーン監督作)がボロクソ評価でラジー賞を獲得しており、当時の最低評価を挽回したとのことで。『アレキサンダー』では強欲な母親(なんとアンジェリーナ・ジョリー)のせいで歪んでおり、男の親友とプラトニック・ラブに走るという役。征服者として君臨し、女を力づくでモノにしていたアレキサンダー像に新たな視点(またか)を加えた作品だが、それが病的な女好きで知られるコリン・ファレルってのは無理があるだろ!

 コリン・ファレルのエピソードですごいのは60代後半の女優アイリーン・アトキンスを3時間もかけて落とそうとしていた(当時ファレルは29歳)という話で、どんだけ女好きなんだよ!ちなみにアトキンスにはやんわりと断られたそう。本物の女好きとはこういうことか、と教えられた。

 

 ちなみに最低主演女優賞にはリメイクされた『炎の少女チャーリー』に主演した12歳のライアン・キーラ・アームストロングをノミネートさせたことがバッシングを受け、撤回、謝罪したことからラジー賞そのものが受賞という結果になった。ラジー賞は去年のブルース・ウィリスの一件といい、二年連続でしくじっているので来年は心底笑える結果になってほしいね、

 

 

 

 

 

 

 

UFO撃退の準備はできた!『突撃!隣のUFO』

 「2023年、人類はUFO事件を調査する民間組織UFO RESEARCH LABORATORY、略してURLを結成していた。URLの本部は愛知県幸田町の地下深くに秘密裡に作られ、沈着冷静な国松忠所長の元、日夜謎の円盤UFOに敢然と挑戦していた。スペースしゃもじ。このしゃもじが宇宙人の侵入をキャッチすると直ちにURL全ステーションに急報。UFO撃退の準備はできた!」

 

 …という嘘ナレーションをつけても違和感がないぐらい、『謎の円盤UFO』っぽいオープニングで始まるのは日本の誇るバカ映画の巨匠、河崎実監督の最新作『突撃!隣のUFO』だ。UFO事件を調査するURLの若き捜査官、岡本(浜田龍臣)は先輩捜査官の滝(ヨネスケ)とともに行動するが、そのほとんどはデマかイタズラ。いつものごとく空振りに終わるだろうと思って出動すると、発見したのはどう見ても円盤だ!その円盤に滝は金色に輝くスペースしゃもじをもってズカズカと入っていく。「どうもどうも~!」円盤の中で宇宙人はアブダクションした牛の肉を食らっている最中キャトルミューティレーション!

 

「晩御飯でしたか~!」

 

 この調子で滝はありとあらゆるUFO、宇宙人発見現場に入り込んでいく。他人の迷惑お構いなしだ!地球に不法侵入してくる輩を地球の不法侵入者が迎え撃つという展開にあきれ返る。滝がそんな失礼極まりない行為に出るのは理由がある。彼は以前、妻子をUFOにアブダクションされてしまい、円盤が去ったあとには巨大な金色のしゃもじが残された。滝は妻子の行方を追い求め、他人の家庭に突撃する!そんな不法侵入者、滝にあこがれのまなざしを向けるURL内勤の大川小百合(服部有菜)。滝の動向を見守る国松所長(森次晃嗣)。URLの前に現れる様々な宇宙人たち!果たして滝は妻子を救い出すことができるのか!?

 

『突撃!隣のUFO』は当初、ヨネスケの看板番組『突撃!隣の晩ご飯!』と『渡辺篤史の建もの探訪』をミックスして、ヨネスケと渡辺篤史がUFOに乗り込んでいくというプロットを考えていたが、渡辺篤史が俳優はもう引退しているということで出演が適わず、ヨネスケだけが残された(そんな)。渡辺に代わって出演するのは濱田龍臣。『ウルトラマンジード』の主演だ!このキャスティング変更によって映画は『メン・イン・ブラック』のようなベテランとルーキーのバディものとなり、所長を演じる森次晃嗣と新旧ウルトラマンの競演にもなった。

 

 昭和30年代生まれの監督は多感な時代に空飛ぶ円盤(UFOなんて言葉はなかった)ブームの直撃を食らった世代である。これまで巨大ヒーロー、宇宙人、怪獣、SFと子供のころに影響を受けたものはすべて映画にしてきた監督がいよいよUFOに手を付けた!故に劇中には有名なUFO事件や宇宙人が軒並み出演する。さらに空飛ぶ円盤の専門家、ムーの三上編集長や矢追純一といった面々も出演し、空飛ぶ円盤について一席ぶつ。幼少のころの自分を形作った偉人たちは河崎監督の前で「ムーは創刊号からネタ切れ」「そんなに毎日UFOは飛んでない」「視聴者のことは一切気にしなかった」と少年時代の夢を粉々に打ち砕くのであった!

 とどめに出演するのはいしだ壱成。なぜ彼が?監督といしだ、そして父親の石田純一はテレビのロケでエリア51(アメリカ空軍の秘密基地が存在する地域で、UFOの目撃情報が多く寄せられるUFOの聖地)に取材にいった。1999年7月に。ノストラダムスの大予言の月だ!そこで彼らは不思議な現象を目の当たりにした。UFOを発見したのだ!

 帰国後、彼らのUFO発見談は一笑に付された。石田純一は「不倫は文化」発言でイメージダウンの真っ最中で、河崎監督は日本のバカ映画監督。ちなみに監督の97年作品は『美乳大作戦メスパイ』(笑)、壱成はその後大麻騒動だ。彼らが信用されなかったのもしょうがないね!

 と、そんなドキュメンタリー部分とフィクションをミックスさせた物語は一転、グロテスクな終幕を迎える。あまりに独創的すぎるクライマックスはさすが他の追随を許さない映画作りの男である。言葉を失ってしまった。まあ、誰も後を追いかけていないともいえるが…

 

 デタラメすぎる展開には笑うしかないね!しかし、デタラメでいいじゃないか!宇宙人というジャンルは人類最後のフロンティアだ。大体、宇宙人なんて誰も見たことないのに、最近の連中は宇宙人にまでリアリティだのなんだのと言い出すんだから。イヤな世の中だね!

 共同脚本は漫画家のほりのぶゆき。ほり先生もウルトラマンや宇宙人、UFOブームにはめられた世代なので昭和の子供たちが見ていた夢を今も追いかけている監督と先生には頭が下がる思いです!

 

 

 

 

 

 

 

雪一色、予測不能サスペンス『崖上のスパイ』

 中国映画界の巨匠、チャン・イーモウによる初のスパイ・サスペンス映画。舞台は1934年。豪雪が降りしきる中国の山間部に4人の男女がパラシュートで降下する。ベテランでリーダー格のチャン・シェンチェン(チャン・イー)、その妻であるワン・ユー(チン・ハイルー)、若手のエリート、チュー・リャン(チュー・ヤーウェン)、その恋人であり抜群の記憶力を誇るシャオラン(リン・ハオツウ)彼らはソ連でスパイの訓練を受けた屈指の中国共産党工作員。彼らの目的は日本軍が支配する満州のハルビンに潜り込み、日本軍の人体実験施設から脱走した同志ワン・ズーヤン(チェン・ヨンション)を救出、国外退去させ、日本軍の蛮行を世界に知らしめることだ。この作戦はロシア語の「夜明け」にあやかって「ウートラ計画」と呼ばれた。

 ハルビンの警察庁特務科を指揮するガオ科長(ニ・ダホン)は恐るべき切れ者である。共産党のスパイを捉えると、煽ったウイスキーをスパイに吐き掛け「生臭い!」と罵って容赦なく射殺する。恐ろしい処刑に身を震え上がらせた諜報員のシェ・ズーロン(レイ・ダーニン)は命乞いをし、共産党のスパイが4人やってくることを漏らしてしまう。

 スパイ4人は特務科の追跡を間一髪で交わし、隠れ家に潜みながらウートラ計画の全貌を知る(スパイらは、計画の具体的な内容を知らないのだ)“協力者”との合流を目指す。狡猾なガオ科長は4人のスパイを分断させ、特務科の中にいるであろう裏切り者(モグラ)を探し出すよう、腹心のジョウ・イー(ユー・ホーフェイ)に命令。”協力者”を装った特務科の人間がスパイに接近し、隠れ家は襲撃を受ける。捕らえられたリーダーのチャンは拷問を受け半殺しの目に遭う。絶体絶命のチャンを助けたのはジョウ・イー。彼こそが「ウートラ計画」の首謀者である”協力者”だったのだ…

 

 

『崖上のスパイ』は危険極まりない任務を託されたスパイと彼らを捕えようとする特務科の駆け引きと息詰まる攻防を描いたサスペンスだ。

 まず4人のスパイはパラシュートで降下後、二人ずつのチーム、一班と二班に別れる。リーダーのチャンと若手のシャオランが一班、ワンとチューが二班。夫婦と若手のカップルが別々に組まれる。夫婦とカップルでチームを組んだ方がいいんじゃないの?と思うがこの作戦は誰か一人でも潜入するのが目的なので、敵の追跡を受けた際に夫婦やカップル同志だと相棒を助けようとして二人とも捕まってしまう危険がある。危険な時にはお互いを見捨てても使命を果たすべく、バラバラにチームを組むわけだ。この時点で任務の危険性とスパイらの冷徹さがうかがえる。

 スパイらを追い続けるガオ科長は裏切り者チェ・ズーロンからの情報を得て、移動の列車内、ハルビンまでのルート、隠れ家とスパイを追い詰めていく。スパイたちはウートラ計画の全貌を知らないので、首謀者のモグラ、”協力者”をあぶりだして一網打尽にすべくスパイを泳がせ、罠を張る。スパイらの周囲に身分を隠した特務の人員を潜り込ませ、”協力者”の情報を得ようとするが、スパイたちもそれがわかっていてボロを出さない。ガオ科長の腹心である”協力者”ジョウ・イーは自分の身分がばれないよう、密かにスパイの活動をサポートする。特筆すべきはジョウ・イーの部下にモグラの疑いがかかり、ガオ科長は腹心ジョウ・イーに「奴がモグラか?」と囁く。ジョウ・イーは「奴にモグラの疑いをかけようとする、”協力者”の陰謀かもしれません」というのだ。ジョウ・イーは自分以外の者にモグラの疑いがかかれば動きやすくなるのに、そうしない。ガオ科長の疑惑はそんなことでは晴れない、むしろ積極的に他人を陥れようとする自分が疑われるのではないか…と思慮の上に思慮を重ねる。

 タイトル通り「崖の上」を慎重に渡り歩く登場人物たちの次の行動は全く予想がつかない。足を踏み外せば、真っ逆さま。

 さらにしんしんと雪が降り積もる光景が全編にわたって繰り広げられる。登場人物らの焦燥を煽るように雪は降り続ける。進みたくてもゆっくりとしか進めない。迂闊に動くわけにはいかないが、動かなければ状況に押しつぶされる。イーモウの「雪」の演出は巧みを極め、この見事な映像を作り上げるために半年以上が撮影に費やされた。

 

 本作はスパイらが”協力者”を見つけ出せるのか、”協力者”は組織内で身分がバレないよう、騙し続けられるか?という二つのストーリーが同時に進行していき、さらに列車内のアクション、銃撃戦、カーチェイスまでが展開される。白一色の光景にスパイと特務の黒いコートが翻るモノクロの世界ながら、内容は豪華絢爛ではないか。

 役者陣の中で特筆すべきは最年少のスパイを演じるリウ・ハオツン。彼女はイーモウの前作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』(2020)でイーモウに見出された新人で、彼女だけ必要以上に可愛がられているのがフィルムから見え見え。かつてのコン・リーやチャン・ツィイーに変わる存在が彼女ってわけね!70歳を超えて尚絶好調のイーモウ。まだまだ元気だな。

 

 

 

 

 

 

 

永遠にブログ化はできない前田有一

 自称超映画批評家の前田有一が今年最初のメルマガでこんなことをぬかしてましたよ。

 前田有一は自サイトの超映画批評の更新をここ数年滞らせ、最後の更新が1年以上前。もはや稼働していないに等しい。ここ数年はブログ化すると匂わせるだけで更新停止の状態。

 

https://twitter.com/search?q=%E5%89%8D%E7%94%B0%E6%9C%89%E4%B8%80&src=recent_search_click&f=live

 

 やる気がないとしか思えない。なぜブログ化できない(しない)のかというと、アンチに反応されるのが嫌なんだろう。超映画批評活動初期はネットの善意を信じて頻繁に更新し、アクセス数を稼ぐために興味のないニチアサ作品やプリキュアにまで手を広げていたりしたがテキトーな知識と下世話な視点による感想文はたちまち当時の2ちゃんねるで批判を浴び、ビデオSALONでの連載などでアンチを仮想敵化していた。

 

 超映画批評の更新が滞るにつれ、前田の感想文及び駄文はアサヒ芸能、時空旅人といった雑誌に移ったことで、現5ちゃんねるのスレッドは過疎化。前田にとって望ましい状態になったのだろう。

 無料で見られるのはメルマガ(このメルマガも毎週最新の映画情報が見られる、が売りだったけど、今や月に2度も更新されればいいところ)か、日刊ゲンダイのWEBサイトのみなので、無料で読めるところに感想文を出したら以前のように批判が殺到するのは見え見え。それを避けたいからこそ、ブログ化ができないというのが結論だ。前田は最近、オモシロ映画道場という信者相手の商売に軸を移している。金を払ってまで文句をつけにくるアンチもいないので、安心なのだろう。だから超映画批評のブログ化なんて、よほどのことがない限りあり得ないね。

 それならいっそ閉鎖すればいいと思うのだが、肩書に「数百万ヒットの人気サイト」をつけられるから、閉鎖はできないんだね。ただ見栄のためだけに残される超映画批評。見栄のためだけに存在している本人と同じ。

2023年3月予定

 

3月11日(土)

『アイドル十戒 新たなる支配者其の七』

場所:アワーズルーム 開演:19:00 

料金:¥1500(drink代別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

アイドルとオタクの起こした珍事件簿

 

3月15日(水)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム 

開演:20:00 

料金:¥1000(1drink込)

解説:しばりやトーマス

 

カルトを研究する若人の会。3月はラクエル・ウェルチ追悼企画、『恐竜100万年』(1966)。

原始ビキニ美女がハリーハウゼンのコマ撮り恐竜に襲われるぞ!

 

3月16日(木)

『スーパーヒーロートーク』

場所:なんば紅鶴 

開場:19:30

料金:¥1000(1drink別)

出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

新番組開始で盛り上がる特撮ヒーロートーク

 

3月19日(日)

大阪おもしろマップ 名古屋

場所:ライブシアター金色鮫

 

3月20日(月)

『ヒーローと呼ばないで!〜大阪でストレスを発散したいだけなんです〜』

場所:なんば紅鶴

open 19:00start 19:30
¥2500(1drink別)

出演:原田篤 にしね・ザ・タイガー

 

ヒーロー大好き芸人、にしね・ザ・タイガーと、元戦隊(救急戦隊ゴーゴーファイブ)、元仮面ライダー(仮面ライダーデルタ)の原田篤のトークライブ。

東京から愛知県にUターン移住して、飲食店やこども食堂などをしている原田が、ただ大阪に来たいというだけでにしねを誘った企画!

※どこかで出ます

 

3月25日(土)

『僕の宗教へようこそ第一六〇教義~シン・仮面ライダーを語る会

場所:なんば白鯨

開演:19:00

料金:¥1500(1drink付)

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

来月から始まる僕の宗教へようこそ新シリーズ
装いも新たに、興味抜群 スリル、アクション
次週、『シン・仮面ライダーを語る会』に、ご期待下さい

 

3月30日(木)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 ¥1000(1drink込) 

解説:しばりやトーマス

 

深夜の映画番組のような映画研究会。3月は松本零士追悼企画、『銀河鉄道999 劇場版』

今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る。