股間がスゴイ!『爆上戦隊ブンブンジャー』
来年スタートのスーパー戦隊シリーズ48作目は『爆上戦隊ブンブンジャー』と正式発表された。
“クルマ×つくる”をテーマに掲げ、「自由な発想で組み上げたスーパーマシンで、自ら道を切り拓いていく」という設定には『激走戦隊カーレンジャー』を想起させ、スーパーマシンをつくりながらヒーローをやる、というのは『帰って来たウルトラマン』風でもある。
今年は中古車販売・買取会社のビッグモーターによる修理費水増しによる保険金不正請求、石油元売り大手のENEOSの社長がセクハラで解任、自動車メーカーのダイハツが衝突試験の認証で不正が発覚、全車種の出荷停止を発表、さらには中止寸前の大阪万博でオートジャイロを「空飛ぶクルマ」と言い張るなど、自動車業界界隈が不祥事に塗れた一年であり、下落したイメージをブンブンジャーは文字通り「爆上」できるのか!?
それにしても気になるのがブンブンジャーのスーツである。ぴっちりとしたスーツは下半身にフィットしすぎで、特に男性メンバーは股間のもっこりが気になってしまう。国産初のスーパーヒーロー映画、スーパージャイアンツを彷彿とさせてしまう。令和にも宇津井健は健在なのか?
見よ!宇津井健の堂々たる股間のもっこりを!
スーパージャイアンツは主役の宇津井健が股間のもっこりを恥ずかしがることなく、堂々と晒してスーパーヒーロー然としていたことで人気になった。宇津井健が恥ずかしがってたら国産のスーパーヒーローはその後存在しなかったかもしれない。今回の戦隊メンバーに選ばれた役者たちも(実際に演じるのはJAEのメンバーだけど)堂々と股間を見せつけて派手に暴れまわり、股間をブンブンとアゲアゲにするアクションを見せつけてくれ!
コーヒーぐらいてめえで入れろや!アンガーマネジメント映画『スリ・アシィ』
インドネシアからやってきたスーパーヒーロー映画『スリ・アシィ』は同国の伝説的な人気コミックの実写映画化作品だ。その歴史は古い。誕生したのはなんと1954年!スパイダーマンやアイアンマン、X-MENよりも先に誕生した!DCのキャプテン・マーベルやワンダーウーマンに先んじられているとはいえ。女性のスーパーヒーローというのもすごいではないか。実写映画版は舞台を現代に置き換えている。
ジャワ島のムラピ山(通称・火の山)で噴火が起き、火砕流から若い夫婦が逃げ出すが、夫は死に、妊娠している妻は破水が始まる。通りがかった老婆に手によって娘は生まれるが母は出産に耐えられず息を引き取る。
生まれた娘は孤児院に引き取られ、アラナと名付けられる。アラナは女児ながら正義感の強い娘に育ち、孤児院のいじめっ子を棒で殴り倒す。いじめられっ子のタングーには「あきらめるな!立ち上がれ!」と勇気づけることも忘れない。裕福な女性サリタ(ジェニー・チャン)に引き取られたアラナは彼女を育ての親とし、成長したアラナ(ペフィタ・ピアース)は総合格闘家としてオクタゴンのリングで「無敗の王者」として君臨する。
だが時折彼女の脳内で「怒れ!開放しろ!」と謎の声がささやく。アラナは怒りのままに暴走する癖があり、それを抑えるよう、サリタに戒められる。
そんな彼女に目を付けたのは財閥プラヨゴ(スーリヤ・サプトラ)の一人息子マテオ(ランディ・パンガリラ)。彼は女性に暴力を振るうなど、数々の不祥事を父親の力でもみ消してきた傲慢な男で、アラナと同じく格闘技界の無敗の王者であるマテオはアラナを叩きのめそうとする。その裏ではマテオのお目付け役として雇われたボディガードのジャガウ(レヴァルト)がサリタのジムに八百長を要求していた(マテオの無敗はすべて八百長のおかげ)。
アラヤは八百長を受け入れるが、またも耳元で「怒れ!開放しろ!」とささやく謎の声に導かれ、マテオを叩きのめしてしまう。その報復としてジャガウはサリタを半殺しの目に遭わせる。復讐のためマテオの元を訪れようとするアラナを謎の男、カラ(ディマス・アンガラ)が止め、カラの祖母である盲目の導師マリアー二(クリスティン・ハキム)の元へ連れていく。二人はずっとアラナの事を見守っていたという。マリアー二の口から、出生の秘密、そしてアラナが豊穣の神デウィ・スリの生まれ変わりであることを伝えるのであった。
神話の時代、破壊をもたらす火の女神とデウィ・スリ神は戦い、火の女神は敗北したが復活の時を迎えようとしている。火の女神の配下である“悪魔の精”はプラヨゴの姿を借りて復活を果たしたと考えるマリアー二は開発という名目の元、スラム街を買収し貧しい人々を儀式のいけにえに使おうとするプラヨゴの企みを阻止しようとする。スラム団地の調査に向かったアラナは住民たちのためにペンの力で戦おうとするフリーの記者と出会う。それは孤児院のいじめられっ子だったタングー(ジェフリ・ニコル)だった。
アラナはスラムの住民を守るため、“悪魔の精”と対立する正義の女神スリ・アシィとして戦うことを決意する。
『スリ・アシィ』はスーパーヒーローが怒りという負の感情に飲み込まれないようにするため、怒りの感情をコントロールする。怒りに身を任せればスリ・アシィの力は使えないからだ。つまりアンガーマネジメント映画である。
この映画は単なるスーパーヒーロー映画ではない。舞台を現代に置き換えたことで物語の背景にインドネシアの現在の社会問題が盛り込まれている。
貧富の差が拡大したインドネシアでは2016年に再開発を理由にスラム街の住民を強制的に追い出すといった問題が起きていた。映画『スリ・アシィ』でも財閥プラヨゴがスラムの住民を追い出そうと暴力に訴える。
警察に頼っても無意味だ。警察は金の力で金持ちに抱き込まれ、彼らに雇われたマフィアの後始末をせっせと請け負う。スラムに暮らす警官ジャトミコ(レザ・ラハディアン)は腐敗した警察の末端で買収された上司の汚れ仕事を押し付けられる。実は”悪魔の精”の正体はこのジャトミコなのだが、純朴な警官だった彼は怒りの感情に飲み込まれてしまう。そのきっかけは上司から押し付けられる汚れ仕事と、ついでに「コーヒー入れてきて」と毎回頼まれることだ。コーヒーぐらいてめえで入れろや!頼まれたときのジャトミコの表情が忘れられない。嫌いな上司にコーヒー頼まれるのって本当にむかつくんだよな。僕も昔入った会社で上司から初日に「コーヒー買ってきて」って頼まれて、それで辞めようと思ったから。コーヒーぐらい始業前にてめえで買いに行けや!おっと、思わず怒りに身を任せてしまうところだった。
昨今はマーベルやDCのスーパーヒーロー映画が多く作られ過ぎて、しかもシェアード・ユニバース化しているため、全部のシリーズを追わされる羽目になり、スーパーヒーロー映画疲れが起きているという。『スリ・アシィ』はこの一本だけで楽しめるのでそういう部分もいいですね。
・・・と思ったらこれ、ユニバースモノの一本なのだった。
この映画はインドネシアの出版社ブンミラゲットが送り出す自社ライセンスのスーパーヒーローを映画化するブンミラゲット・シネマティック・ユニバースの第2弾で、先んじること2019年に第1弾の『グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー』が公開されている。
『スリ・アシィ』のラストにはマーベル映画よろしく次回作『GODAM』の予告が入っていて、本国では今年3月にユニバース第3弾『Virgo and the Sparklings』(ティーンエイジャー少女のヒーロー覚醒モノ)が公開中。さらにDisney+でドラマ『Tira』が配信中…と、マーベルやDC並みになってるやん!こっちのヒーローも追わないといかんのか・・・もう勘弁して!スーパーヒーロー映画に疲れたくないんや!
とりあえず『スリ・アシィ』の面白さは文句なしなので、観て!
信じれば救われる『エクソシスト 信じる者』
「史上最高のホラー映画」として名高い悪魔祓い映画『エクソシスト』(1979)のシリーズ最新作にして1作目の続編『エクソシスト 信じる者』は記念日スラッシャーの金字塔『ハロウィン』を3部作リブートしたデヴィット・ゴードン・グリーン監督によるこれまた3部作の第一弾である。制作はホラー映画なら安心のブランド、ブラムハウス・プロダクション。さらに1作目で娘リーガンを悪魔パズスに取り憑かれた母クリス・マクニール役で御年90歳(撮影時は89歳)のエレン・バースティンが復帰!
という話題性抜群の新シリーズは果たしてどうだったのか?
2010年。新婚旅行でハイチを訪れていたヴィクター(レスリー・オドム・jr)とソレーヌ(トレイシー・グレイヴス)のフィールディング夫妻はハイチ地震に巻き込まれ、身重の妻ソレーヌは重体。医者から「奥さんか、お子さん、どちらかしか救えません」と残酷な選択を迫られる。倒壊する建物から救い出されたソレーヌは「この子だけでも救って」とつぶやいていた…
13年後(現実の時間帯と同じ)。ヴィクターは成長した娘、アンジェラ(リディア・ジュエット)とつつましやかに暮らしていた。妻を失ったショックから神への信仰心を失っていたヴィクターだが、娘とは仲良くしている。
ある日、アンジェラは友人のキャサリン(オリヴィア・オニール)と近所の森の中へ入っていった。キャサリンは降霊術に詳しく、アンジェラは亡き母ソレーヌを呼び出せないかと頼んだのだ。
夜遅くなっても帰ってこない娘を探しに出たヴィクターはキャサリンも帰っていないことを知る。キャサリンの両親、トニーとミランダは錯乱しつつも、ヴィクターや街の住人ら、警察とともに娘たちの行方を探し続ける。
3日後、二人は見つかった。二人は数時間ほど道に迷って納屋にいたと説明。二人の感覚ではわずか3時間ほどの出来事だったという。
以後、二人は不可解な様子を見せ始める。アンジェラは暗闇に向かって独り言をつぶやいたり、照明をつけたり消したりし、挙句はヴィクターに襲い掛かったかと思うと、床に倒れ激しく痙攣し始めた。一方、キャサリンは両親に誘われ教会へ行くが、血まみれで「血と肉だ」と叫び続けて礼拝堂の信者たちを困惑させる。
ここまでの展開はワクワクさせてくれる。二人の様子は1作目で悪魔パズスに取り憑かれたリーガンが卑猥な言葉をしゃべり、大人たちを困惑させたのと同じようだ。悪魔は再び現代によみがえったのか?
病院でアンジェラを診察する看護師のアン(アン・ダウド)はアンジェラがしわがれた声でお前は子供を見殺しにした、と告げ、下品な声で笑いだし、下半身から大量の血を流す。
アンはヴィクターにアンジェラは悪魔に取り憑かれているのかもしれないと説明。アンはかつて修道女を目指していたが、妊娠した赤子を堕胎したことを話す。誰にも言っていない事実をなぜアンジェラが知っていたのか?それは・・・悪魔が彼女の姿を借りて教えたからだ!
と、1作目とのつながりを提示したうえで、物語にとって重要な人物がいよいよ登場。アンは娘に取り憑いた悪魔を神父が悪魔祓いした経験談を書いた著者の本を差し出す。クリス・マクニール(エレン・バースティン)が書いた本だ。
眉唾ものだと相手にしないヴィクターだが、本に目を通し、ネットに落ちているインタビュー動画を見てクリスの家を訪れる。クリスは悪魔祓いを経験(といっても現場にはいなくて、あとで人づてに聞いた話をまとめただけ)した本を書いてベストセラーになったことで娘リーガンと疎遠になり、今はどこにいるのかもわからないという。そりゃ、何もしてないあんたが勝手に本買いてバカ売れしてたら、娘は切れちゃうよ!悪魔祓いを経験した後は仕事に恵まれず、麻薬やって捕まったりしたんだから、ってそれはリーガンじゃなくてリンダ・ブレアの人生の方だよ!
以後世界中の悪魔祓いについて研究してきたクリスは同じものがアンジェラにも憑いたのかもしれないと彼女の病室を訪れる。ベッドの下に潜り込んでクリスを威嚇するアンジェラはしわがれた声で叫ぶ。
「あんたの娘は、地獄で待ってるよ!」
自宅療養しているキャサリンを見に行ったクリス。祈りの言葉で鎮めるとおとなしくなったので、油断して近づくのだが、途端にキャサリンは悪魔の本性を見せて十字架でクリスの両眼を突く!
哀れ失明したクリスだが、彼女を救うためになったことだと後悔していない。何のために出てきたんだ、クリス!
アンは友人のマドックス神父(EJ・ボニーヤ)を介して教会に悪魔祓いの依頼をするが、人が死ぬ可能性のある悪魔祓いを認めることはできないと断られるのだった。
てっきり1作目のメリン神父みたいな人が登場して悪魔と対峙してくれると思うじゃない?今回、教会は助けてくれないのだ。代わりに今回は様々な人々が二人の救うために集まってくる。ヴィクター、トニーとキャサリン、ブードゥーの祈祷師ビーハイヴ( オクウィ・オクポクワシリ)、ペンテコステ派の牧師スチュアート(ダニー・マッカーシー)、トニーとキャサリンの友人でバプテスト派のレヴァンス牧師(ラファエル・スバージ)…素人たちが集まって悪魔祓いの真似事を始めるのだった!そんな無茶な!
様々な信仰心が寄り集まって悪魔と対立するという話は一見面白そうに見えるけど、実際全然盛り上がらない。ほとんどの観客は「これって正しい方法なの?」と疑問に思うだろう。
この映画は「信じる者Believer」というサブタイトルがついている。信じる心、どんな形でも宗派が違っても良い、信仰心こそが悪魔の支配を打ち砕くというわけだ。1作目で悪魔は神に仕える身分でありながら母親を見捨てたという事実に思い悩み、神への信仰心が揺らいでいるカラス神父を母親の声で「お前はひどい息子だねえ。母さんを病院なんかに閉じ込めて」と責め苛んだように、ヴィクターの心をちくちくと責めてゆく。
実はハイチでヴィクターは妻ソレーヌを救うことを選択していた!アンジェラの中にいる悪魔はヴィクターの選択を責め、キャサリンは両親にアンジェラかキャサリン、どちらかしか救えないと選択を迫る。それこそが悪魔の罠なのだ。選択してはいけない。
そこにマドックス神父が教会の意向を無視して駆けつける。しかし神父は1作目で発作を起こして死んだメリンのように、悪魔に首を180度曲げられて死ぬ!何しに来たんだお前は!!
ここからネタバレです
最後は神への信仰心を失っていたヴィクターが「選択しない」ことを選んだので、アンジェラは救われる。しかし娘の苦痛に耐えかね、「救う」ことをトニーが選択したのでキャサリンは地獄に落ちる!
ヴィクターとアンジェラは助かってよかったね!とでも言いたげな後日が描かれるが、娘を失ったトニーとミランダはせめて娘が天国に召されますように…と空しい祈りをささげるシーンで幕を閉じる。どうしたらええっちゅうねん!
しかしこの映画は「信じるもの」なのだ。信じることで救われる。ラスト、失明したクリスの病室を訪れるのは…行方不明だったリーガン(リンダ・ブレア)なのだ!
ハッキリ言って無茶苦茶な内容の映画なんだけど、ラストは思わず泣いちゃったよ。信じていれば救われる!
しょうがないね。『エクソシスト』は1作目があまりにも完璧な映画だったので、どうしても比べられてしまう。エレン・バースティンやリンダ・ブレアを出したのも1作目とのつながりを提示したかったからだろうけど、ラストシーン以外に機能しているとは言い難い。いっそのこと1作目のキャラなんて一切出さないで、全部オリジナルのキャストで固めた方がよかったんじゃ…
いや疑ってはいけない。信じる者が救われるのだから!シリーズはあと2作続くのだから。本当にやる気なの?
ちなみにこの映画、吹き替え版が豪華キャストで悪魔に憑かれる少女二人は鬼頭明里、佐倉綾音。父親ヴィクターが諏訪部順一、悪魔が小林ゆう。リンダ・ブレアは戸田恵子さんなので、見に行くなら吹き替え版だ。
2023年12月告知
12月予定
12月8日(土)
『アイドル十戒 デッド・レコニング6』
場所:アワーズルーム 開演:19:00
料金:¥1500(1d別)
出演:竹内義和 しばりやトーマス
サイキック青年団をやっていた人と聞いていた人のアイドルの悲しい思い出話
12月12日(火)
『スーパーヒーロートーク』
場所:なんば紅鶴
開場:21:00
料金:¥1500(1d別)
出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス
ニチアサ系ヒーローのトーク。今月から料金変更になりましたので注意
12月19日(火)
『旧シネマパラダイス』
会場:アワーズルーム
開演:20:00
料金:¥500+1d別
解説:しばりやトーマス
カルトを研究する若人の会。今月は無駄な話がダラダラ続くやつです。
12月26日(火)
『キネマサロン肥後橋』
会場:アワーズルーム
開演:19:30 ¥500+1d別
解説:しばりやトーマス
※終了後にYouTube収録アリ
深夜の映画番組風の映画研究会。今月は山奥の怪獣を大研究!
12月28日(木)
『僕の宗教へようこそ一六九~地下ニュースグランプリ2023』
場所:なんば紅鶴 開演:19:00 料金:¥1000+1D別
出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ
大手メディアがスルーするニッチすぎる話題を取り上げる地下ニュースグランプリ、今年の優勝は誰だ!?
暴力の後で甘い言葉を囁くヤツは信用するな『レンフィールド』
ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』を元に換骨奪胎したコメディ映画『レンフィールド』を観た。ニコラス・ケイジ扮するドラキュラ伯爵のパワハラに辟易した従者レンフィールドが彼の支配を逃れて自由に生きようとする様をコミカルに、そしてグロテスクに(!)描いた作品。
レンフィールド(ニコラス・ホルト)はDV被害者の互助会に通っている。参加者は家族や恋人の暴力から何とかして逃れようとするが、うまくいかない。相手を怪物に準える参加者たちにレンフィールドはうなづく。何しろ自分の御主人様こそ本物の怪物だから(笑)
大昔、弁護士だったレンフィールドはトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵(ケイジ)の城に招かれる。海外での仕事が増えるかもと甘い期待を寄せた彼だが、ドラキュラの能力に魅入られ、妻と子供を犠牲にしてしまう(この時の様子はドラキュラ映画の古典、トッド・ブラウニング監督の『魔人ドラキュラ』の完全コピーで笑ってしまう)。
働きが悪いと小突かれながらも、御主人様のためにせっせと生贄をささげるレンフィールド。ある日、ドラキュラ退治にやってきた司祭とヴァンパイア・ハンターの前に苦戦するドラキュラは動きを封じる防護円陣に捕らわれてしまう。絶体絶命のドラキュラは従者に助けを乞う。
「私はお前の唯一の救世主、たった一人の友人だ。お前の唯一の味方だ」
彼をさんざん暴力で縛り付けてきた御主人様の哀れな声につい、気を許してしまったレンフィールドは防護円陣を消してしまう。ドラキュラは司祭を惨殺するもヴァンパイア・ハンターに太陽の光を浴びせられてしまい、燃え尽きる寸前にハンターを巻き添えにするのだった。
燃え滓になりながらも生き延びた伯爵は復活の日を待つことに。以後レンフィールドは忠実な従者として隠れ家を探し、伯爵のための餌(人間の死体)を提供し続ける。どやされ、殴られ、そのたびに「お前を理解しているのは私だけだぞ」と甘い言葉を囁かれて。レンフィールドはDV野郎に逆らえない被害者だ。
そんなレンフィールドに本当の救世主が現れる。警察官のレベッカ(オークワフィナ)だ。警察とマフィアのロボ・ファミリーが結託した腐敗の町で彼女はたったひとり、正義を追い求めていた。ボスの息子、テディ・ロボ(ベン・シュワルツ)と手下たちに銃口を突き付けられ、服従を迫られた彼女は「言いなりになるのは御免だね」と堂々反発。決してくじけない、へこたれない。
自分もドラキュラの言いなりになるのはイヤなのに、逆らえない。自分にはない強いものを持っているレベッカに惹かれたレンフィールドは彼女を助け出す。以後、レベッカと互助会の助けを借りてレンフィールドは自由への道を歩みだす。
しかし、そんなことをドラキュラは許すはずもなく、互助会メンバーを皆殺しにし、テディを通じて母親であるボスのベラ(ショーレ・アグダシュルー)と結託。街を恐怖で支配しようとするのであった。
ドラキュラとレンフィールド、支配と被支配の関係をDV被害者と加害者という現代風にアレンジした物語は実にうまいアイデアで、ドラキュラがレンフィールドを「お前も私の言いなりで多くの人を殺した。共犯者だ」「お前のことをこんなに思っているのに、どうしてお前は離れていくんだ?」「お前の味方は私だけだぞ」と言ってることが、暴力振るった後で「お前を殴った俺の手も傷ついているんだ!」と言って優しく抱きしめるDV野郎のそれだよ!
互助会でドラキュラのことを「ナルシスト野郎」呼ばわりして(ケイジのことやん!)対処法の本をくれるところとか、もう最高だね。
監督は『LEGO ムービー』『レゴバットマン ザ・ムービー』のクリス・マッケイ。ドラキュラとレンフィールドの関係に新たな視点を見つけ、腹がよじれるコメディをぶち込んだ上にハードなアクション、そして限界にまで達したグロテスク、スプラッター描写、マッケイの才気溢れる傑作です。
ケイジ映画としてもハイレベルで、彼が大仰に登場して大げさなセリフ回しをするだけで爆笑必至。やっぱドラキュラ役者はベラ・ルゴシの時代からこうでなきゃ!レンフィールド役のニコラス・ホルトも『ウォーム・ボディーズ』以来の死んでる人間の役がよく似合う。
ちゃぶ台ひっくり返したような無茶苦茶なオチも含めてニコラス・ケイジ度10の傑作!これが劇場公開しなかったの、惜しすぎる。















