ポゼッサー(字幕版)
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『ヴィデオドローム』『裸のランチ』とか気持ちの悪い変な映画ばかり撮っているデヴィット・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグの長編第3作『インフィニティ・プール』は親父譲りの面目躍如というか、相も変わらず気持ちの悪い変な映画。ちなみに親父の最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の国内興行を上回った。単なる親の七光りではない、名実ともに後継者と目されたわけだ。倒錯的で歪んだ性癖映像作家として(褒められてる?)
処女作を発表したばかりの作家ジェームズは妻のエムは観光地の島、リトルカにバカンスにやってくる。処女作の評価も売れ行きも芳しくなく、大手出版社の社長の娘婿という立場に甘んじるジェームズとエムの中は冷え切っている。
観光地でジェームズのファンだという若妻ガビとその夫アルバンと知り合った二人は意気投合し、「観光客は敷地内から出てはいけない」という禁忌を破って秘密のビーチへ繰り出す。
木陰でジェームズは立小便していると、突然現れたガビが背後から股間を手コキするのであった!なぜ?わけがわからない。夜遅くにホテルへ戻るためハンドルを握ったジェームズは車のライトが点滅したことで道を横切ろうとした島の住民をうっかり刎ねてしまう。ガビに「島の警察は外国人差別者で信用できないから」とその男を置き去りにしてホテルに帰るよう進言。動揺するジェームズはガビに言われるがままに犯罪を隠匿する。
翌日、すぐに事故を起こしたことは発覚し、夫妻は警察に拘束される。取り調べの警察官は「この島ではどんな些細な犯罪も死刑になる」と告げる!しかし外国人観光客の外貨によって糧を得ている島では外国人特権として大金を払い、クローン人間をつくってそいつが罪を被れば本人は無罪になるというのだ。そのクローン人間は外見だけではない。記憶すらも完全にコピーした同一人物。ジェームスは同意書にサインし、自分のクローンが処刑されるところを目の当たりにする(それが条件)。
あまりのおぞましさに目を覆う妻のエムだが、ジェームズはこの状況に密に興奮していた。再開したガビとアルバン、その仲間の金持ちたちに「俺たちは金さえ払えば何をしても許されるのだ」これは一種の特権であるということを教えられる。一国も早く帰国したがるエムだが、パスポートを紛失したことでリトルカ島の滞在期間が一週間延長され、再発行されたパスポートでエムは帰国するがジェームズは島に残りガビらと特権を享受する。いくら盗んでも、傷つけても、たとえ人を殺しても自分たちは許されるというバカンスを。
傲慢すぎる金持ちどもの振る舞いは吐き気を催すレベルだが、主人公側もそれに加担してしまうのが何より恐ろしく、赤の他人だと思い込んで虐待した相手が実は自分のクローン!安全な位置から他人を傷つける喜びは、自分自身を傷つけても得られるという歪みの極致。『カイジ』の兵藤会長の
「折れた足をいじられると彼は痛いが・・・わしは痛まない・・・!」
にも似た真理かもしれないがそれを受け入れるほど人間落ちぶれたくない。人間以下の犬畜生にすら劣る金持ちたちって本当に嫌だねえ(ちなみに途中で本当に犬にされた人が出てくる)。
そしてクローネンバーグなので希望に満ちたような結末にはならず、悲観的に幕を閉じる。無限に続くプール(インフィニティプール)のように絶望がどこまでも続いていって終わりがない。少しぐらいは希望を見せてくれてもええんやで。
少年クリストファー・ロビンは100エーカーの森に暮らすくまのプーやピグレット、イーヨー、ティガーといった動物たちと仲良くなる。進学のため森を離れることになったクリストファーは再会の約束をしてプーたちと別れるが、その約束は長年果たされず、食事のすべてをクリストファーに依存していたプーたちは飢えに苦しみ、ついに最も弱いイーヨーを餌にし、共食いが始まる。次第に狂暴化していったプーたちはこんなことになったのは自分を見捨てたクリストファー、そして人間のせいだとして怒りを露にしたプーたちは100エーカーの森周辺の人間たちを食い殺していく。
それからしばらくたち、クリストファー(ニコライ・レオン)は婚約者のメアリーを連れて森にやってくるが彼らが目にしたのは恐ろしい殺人鬼となったプーとピグレットだった。メアリーは即惨殺され、クリストファーは森の奥に連れ去られる。さらに数年後、幻覚に悩まされ、心の病を患うマリア(マリア・テイラー)は休養のため友人たちとともに100エーカーの森の一軒家を訪れる。そのころ、森ではシャーリーン(ダニエル・スコット)がプーに襲われていた。
マリアの友人たちは一人、また一人とプー達の犠牲になり、窓には「出ていけ!」と血文字が書き込まれた。捕らえられていたクリストファーを助けたマリアたちにプーとピグレットが襲い掛かる。
可愛らしいプーさんがはちみつの代わりに人の生き血を啜るというゲテモノホラー『プー あくまのくまさん』はほぼ出オチで終わっており、壺の中には、はちみつの残りカスしかなかった。原作に対する新解釈とかそういうのは一切なく、そもそも原作無視も甚だしい。プー達が飢えて仲間を食い殺すというのも変。みんな普通に木の実取ったり、魚釣ってなかった?
原作無視といえばプーとピグレットの図体。僕はてっきり2~3等身のぬいぐるみを動かしてスゴイ勢いで襲ってくるのかと思ったら大人が入った着ぐるみにプーやピグレットの被り物をしているだけで、そいつらが冷凍ナイフやハンマーで殺しに来る。それはプーじゃなくてジェイソンやブギーマンなんだよ。
低予算でCGなんてまともに使えなかったのはわかるけど、プーさんの世界を使っている理由がほとんどないってのは問題だね。殺しのテクニックもありきたりのものばかりでセンスが感じられない。走って逃げればすむものを、どいつもこいつも殺されるためにわざと向かっているようにしか見えない(ダメなホラーの典型)。画面も暗すぎて何やってんのか全然わからない、きっと照明代をケチったのだろう。
思えばくまのプーさんを使ったのも原作がパブリック・ドメインになったから金をかけなくていいからだろうなきっと。
なぜか続編、シリーズ化が決まっていて、モヤモヤさせる終わり方をした本作はロッテントマトのワースト100に入るほど壮絶にズッコケ失敗したが、現在公開中の「2」は大ヒット中で評論家の評判も上々。何があった!?「1」が大失敗で「2」が大成功するのは珍しい。「1」のおかわりはもう結構だが、「2」が気になってしょうがないぜ!
もっと美味いはちみつを舐めさせろ!すっぱいはちみつ映画はもう御免。
ハリウッドの老舗、ユニバーサル映画は1930年代に人気を博した怪奇映画のキャラクター、ドラキュラや狼男、フランケンシュタイン、透明人間その他を現代風にリブートし、シェアード・ユニバース(マーベル・シネマティック・ユニバースみたいなやつ)化した「ダーク・ユニバース」計画をぶち上げた。
しかし第一弾の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』が予想外の不入りとなったため計画をなかったことに。後にリー・ワネル監督の『透明人間』が予想外のヒットとなったが、これらのシリーズは単発でリリースしていくことに。そして第4弾としてつくられたのが『ドラキュラ デメテル号最後の航海』だ。
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」は読んだことなくてもみんなが知っている有名キャラ。その本の第7章「デメテル号船長の航海日誌」の部分の映画化。
1987年ルーマニアからイギリスに向けて出港する商船デメテル号は積み荷を乗せて出港の準備をするが、積み荷のひとつ、ドラゴンの紋章が描いた木箱を見て臨時雇いの船員たちは恐れおののき船を降りる。黒人医師のクレメンス(コーリー・ホーキンズ)を仕方なく船に乗せ出航。
船から衰弱した密航者の女アンナ(アシュリン・フランシオーシ)が発見され、前後して家畜の動物や船員たちが襲われる事態が頻発。意識を取り戻したアンナはこれらはドラキュラ伯爵の仕業だという。ルーマニアの古城でドラキュラの召使兼食料(血液の)として飼われていた彼女は餌のなくなったルーマニアを捨て、ドラキュラがイギリスに上陸しようとしているのだと。
ひとり、またひとりと闇の中でドラキュラに襲われる船員。わずかに残った数人でイギリスに上陸する前にヤツを始末しようと作戦が立てられる。
船の中で現れた吸血鬼との戦いという『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』のクライマックスみたいな話である(ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』はたぶん作者の荒木飛呂彦に影響を与えているはず)。ドラキュラというと貴族面したイケメンという定番をくつがえし、本作のドラキュラは毛も映えていないただの化け物である。だから「ドラキュラ映画」というよりは「モンスター映画」として見るのが良いです。
全長50メートルのデメテル号のセットを実際につくり、マルタ島の海の上にセットを浮かべてジンバルシステムで船の実際に波にもまれているような動きを再現するという手の込みようで、さすがドリームワークス制作作品だけあって画面の迫力は桁外れ。内容の方も桁外れ、というわけにはいかなかったようだけど。
ドラキュラといえば「太陽の光に弱い」という弱点があるのが定番で、この映画では事前情報としてそれが知らされておらず、それがサスペンスを盛り上げるようになっている・・・わけでもない。劇中、何人も血を吸われた人間が太陽の光を浴びて死ぬ場面があるのに、最後の最後まで登場人物たちはそこに気づかない。頭悪すぎだよ。
こんな航海に出なきゃよかった。まさに後悔。これじゃダメテル号。ダーク・ユニバースは失敗続き!
アンドレ・ウーヴレダル監督の作品集
「スタンリー・キューブリックが絶賛した幻のサイコ・サスペンス映画」
という売り文句も納得の一本『ザ・バニシング-消失-』は厭映画、トラウマ映画の極北であり、見た人間を心底嫌な気持ちにさせてくれる傑作です(?)
フランスへの小旅行を楽しんでいたレックスとサスキアの仲睦まじいカップルだが、立ち寄ったドライブインでサスキアが行方をくらましてしまう。
以後3年間、失踪したサスキアを探し求めるレックス。新しい恋人リネカーは頭の中からサスキアの笑顔が離れない彼に愛想を尽かし始める。
レックスの元にはサスキアの居所を匂わせるような手紙が届きはじめる。差出人のレイモンはレックスの前に姿を見せ、彼女がどうなったのか知りたければ車に乗れと命じる。
復讐するためではない、ただ、彼女がどうなったのかだけが知りたいと願うレックスはレイモンとのドライブ中に恐るべき事実を知る。
サイコ・サスペンスものや連続殺人鬼なんかが出てくる映画の犯人は大抵、人知を超えた行動力と並外れた精神力を持つ本物の化け物として描かれることが多いので、つい観客は悪役に感情移入しちゃったりするんだけど、『ザ・バニシング-消失-』のレイモンはごく普通の人間(ただし心が壊れている)で、しょぼくれていてヘナチョコですらある。そんなやつが大胆なことをしでかすので、観客は本当に心の底から嫌な気持ちになるし、「なんでこんなやつに酷い仕打ちをされないといけないの?」と彼を軽蔑できる。これほど完璧なサイコ・サスペンスの犯人像はない。キューブリックが衝撃を感じたのもわかる。
レイモンだけでなく、主人公であるはずのレックスも嫌な感じのするやつで、ドライブ中にガス欠になってサスキアと言い争いになった挙句、トンネルの車内にサスキアを置き去りにしてガソリンを買いにいく冒頭からして観客を嫌な気持ちにさせる仕掛けが満載。この時に怪しげな大型トラックが通りがかり、ドライブインにも止まるので何か関係あるのかと思ったら全く無関係という観客の先読みを見透かしたような展開よ。観客の下手な想像を上回る恐怖が待つラストは史上最高の幕引きと言っても過言ではない。
バッドエンドと思わせて彼女の顛末が知れたのだからハッピーエンドと言えなくもない締め方にジョルジュ・シュルイツァー監督の才能を見た。
同作のハリウッドリメイク版。同じ監督なのにまさかのグッドエンドにガックリ
4月予定
4月13日(土)
『アイドル十戒 デッド・レコニング10』
場所:アワーズルーム
開演:19:00 料金:¥1500(1d別)
出演:竹内義和 しばりやトーマス
惜しまれつつも最終回のアイドル考現学。金松季歩デビュー作、服部フェス2024など総決算で締めくくり!問題発言する人の話もあり!
4月17日(水)
『旧シネマパラダイス』
会場:アワーズルーム
開演:20:00 料金:¥500+1d別
解説:しばりやトーマス
カルトを研究する若人の会。プロ野球開幕記念、ゴリラが登場します。
4月23日(火)
『スーパーヒーロートーク』
場所:なんば紅鶴
開場:21:00
料金:¥1500(1d別)
出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス
ひらパーとかニチアサ系ヒーローのイベント話
4月25日(木)
『キネマサロン肥後橋』
会場:アワーズルーム
開演:19:30 ¥500+1d別
解説:しばりやトーマス
※終了後にYouTube収録アリ
深夜の映画番組みたいな大研究会。今月のテーマは刑事と暴力。
4月29日(月・祝)
『大阪おもしろマップ ミスター土地の見る大阪のこれから』
会場:なんば白鯨
開場:18:45 開演:19:00
\2000+1d別
出演:射道総帥 しばりやトーマス B・カシワギ
ゲスト:ミスター土地
配信予定アリ