しばりやトーマスの斜陽産業・続 -113ページ目

天狗報道に全集中 ビーフジャーキーの型

 空前絶後の大ヒットを飛ばし続ける映画『鬼滅の刃 無限列車編』。現在あらゆる雑誌で特集記事が組まれ、アニメやジャンプの漫画なんてヒットしている時しか気にしないオヤジ、オバサン雑誌ですら鬼滅の刃とは何かと言い出す始末。そうすると嫌事を書こうとする輩も出てくるわけです。悪口書くと売れるからね・・・

 

 

 

 

 きっかけは週刊女性PRIMEで主役の竈門炭治郎役の声優・花江夏樹が「天狗になっている!」というもの。鬼滅の刃の天狗といえば鱗滝さんであって声は大塚芳忠さんであり花江夏樹ではないと思うのだが・・・という話は置いといて。

 あちこちから取材が殺到している花江は鬼滅関連の取材の多くを断っていて、ある映画ライターの取材を受ける条件として「これまでの取材内容をチェックして同じ質問はしないでくれ」といったという。なので「花江は天狗になっている、と業界ではもっぱらの評判」だと。それ、どこの業界だよ?

 花江の事務所は週刊女性PRIMEの取材にてそれらの話を否定し「取材があまりに多すぎるので数を絞るように頼んでおり、関係者が配慮してくださったのでは」と回答。この回答の方がよっぽど納得がいく。聞く内容なんてどうせ大した違いはないだろうし、聞く相手だって声優だからと舐めてる連中も多そうだし(週刊女性PRIMEも相手を舐めてるからこんないい加減な記事書いてるに決まってる)、第一声優のインタビューって取材を受けるときに役者だったら込みになっているギャラの額も少なそうだし。いい加減な連中から舐められた挙句に普段の仕事の態度までボロクソに言われるとは、声優の仕事って大変だなあ。

 

 当の花江はこれらの天狗報道(笑)に切れ味鋭い返しを見せた。

 

 

 ツイッターにテングブランドのビーフジャーキー画像をアップ。「おいしいなぁ」というメッセージを添えて・・・クレームをつけるわけでもない、笑いを含んだ煽り(?)を見せてバカ受け。

 週刊女性PRIMEもこの千分の一ぐらいのユーモアセンスがあればよかったのにね。生殺与奪の権を週刊女性PRIMEには握らせないぞ!

 

 ちなみにこのビーフジャーキー、イオンや成城石井などで買えます。これで君も天狗だ!判断が遅いといわれる前に買うんだ!

 

 

 

 

 

 

中国版カイジ『動物世界』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年9月28日)の再録です

 

福本伸行の漫画『賭博黙示録カイジ』の中国版実写映画『動物世界』がネットフリックスで配信されているので見た。

 

 

中国では6月末から劇場公開され、公開二日で約17億円、公開2週間で約50億円超えという大ヒットを飛ばしているのに、日本ではネットフリックス配信のみに。予告編ではピエロが化け物と戦ったりしているので別の意味で期待をあおられたのだが、有名スターが出ていないと劇場に足を運びたがらない日本の観客相手には厳しかったか。 

 

 カイジ・ジョン(この名前、無理があるような)はゲームセンターでピエロのアルバイトをしているさえない男で、そのバイトも遅刻するわでやる気ゼロのボンクラ。演じたリー・イーフォンは山田孝之っぽいイケメンで日本でも人気出そう。
 カイジは病気で意識不明の植物人間状態になっている母親の治療費さえまともに払えず、半分恋人の看護師チン(チョウ・ドンユィ)に世話をまかせっきり。彼女にプロポーズすらできないカイジは自分のダメさを嘆くばかり。チンは若い男の入院患者から浣腸をせがまれるという変態行為を迫られてるし(どんな病院だよ)。イライラが募ったカイジは(自分の妄想の中で)ピエロに変身!この男、精神的に追い詰められたりするとピエロに変身して怪物をやっつけるところを妄想する癖があった(どういうこと?)。カイジはブチ切れて変態患者を殴るが、それを見た他の入院患者が発作を起こしてしまう。彼氏ぶってカッコイイところを見せたところで彼女の迷惑になるだけだった…彼女が同僚の男と付き合っている話まで聞いてしまい、いよいよどん詰まり。
 カイジは街で黒服の男・遠藤に連れられ、謎の男・アンダーソンと会う。このアンダーソンが原作漫画における利根川なんだが演じるのはなんとマイケル・ダグラス!『アントマン&ワスプ』のラストで消えてしまった後どこに行ったのかと思いきや、中国で謎のフィクサーになっていたとは驚きです。
 アンダーソンはカイジが友人のジュン・リーから借金を背負わされたことを伝える。それは身を粉にして働いても30年かけなければ返せない額。アンダーソンはアラカコマカボノ島(???)を出港する客船ディスティニー号で行われるゲームに参加し、勝ち残れば借金を返済できるという。カイジは否応なく船に乗せられることに…

 ここからは原作第一章の『希望の船』編をほぼ忠実になぞった展開に。しかし船に乗り込む前に突然カーチェイスが始まったりと、気が抜けない。ピエロになる理由やアンダーソンとカイジの長年に渡る因縁めいたものを提示されシリーズ化を予言するような結末など、藤原竜也のビールを飲む演技がずっと一緒ぐらいしか見どころのない、改変部分が全部つまらない日本の実写版と違って自由な発想に彩られて楽しめる。ダグラス演じるアンダーソンは利根川みたいな名言をいってくれないのが惜しいところだが、日本で失敗した実写映画は今後中国に任せればいいと思うの。

 

 

 

 

お父さんのハイフライフロー『パパはわるものチャンピオン』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年9月26日)の再録です

 

 新日本プロレスを変えた男、棚橋弘至が覆面レスラーを演じた初主演作。

 

 大村孝志(棚橋)はかつて善玉のスターだったが試合中のケガで善玉の試合はできなくなってしまい、今は覆面をかぶってゴキブリマスクなるヒールとして善玉の引き立て役をこなす日々。息子の祥太(寺田心)にはプロレスの仕事をしていることを黙っているが、どうしても父親の仕事が知りたい祥太はこっそりと通勤の車に潜り込む。着いた先はプロレス会場。そこで祥太はお父さんがゴキブリマスクだと知ってしまう。あんなに体がデカくてカッコイイお父さんが観客から罵倒を浴びせられるのを見て「悪役のお父さんなんか嫌いだ」と言ってしまう。
 母の詩織(木村佳乃)やプロレスマニアで大村ファンの雑誌記者ミチコ(仲里依紗)からいくら「お父さんはプロレスが好きだから続けてるの」「悪役もプロレスには必要」と教えられても祥太には通じない。学校でお父さんは団体トップのスター、ドラゴン・ジョージ(オカダ・カズチカ)だと祥太が言っていると知らされた孝志は息子が誇れる父親になろうと団体でNo.1のレスラーを決める大会Z-1CLIMAXに参戦。周囲の予想を裏切って勝ち続ける孝志だが「わるもの、やめられないの?」と祥太には自分の気持ちは伝わらない。準決勝のリングに上がった孝志は覆面を脱いで正体を明かしてしまうのだが試合には負けたうえにケガは悪化。勝手なことをしたせいで団体をクビにされるなど踏んだり蹴ったり。
 プロレスをあきらめて普通の父親になろうとする孝志に最後のチャンスが訪れる。ドラゴンから直接対決を申し込まれたのだ。孝志はケガをおして最後のリングに向かう。


 悪役レスラーの父親を嫌う息子のために無謀な戦いのリングにあがるという展開は中島らも原作の『お父さんのバックドロップ』(04)とほとんど同じ展開。お母さんの仕事が散髪屋っていうのも…違うところはプロレスに対する視点。「プロレスは真剣勝負か否か?」というややこしい問題について、だ。『パパは~』ではプロレスはショーアップではない真剣勝負(その割には棚橋と田口監督の悪役コンビはほとんどショーだけど)という視点の元で作られているのでトーナメント戦も真剣勝負という扱いだ。『お父さんの~』では熊殺しの異名を持つ空手家との異種格闘技戦という設定にしてこの問題にあえて触れるのを避けている(だが団体の社長を演じる生瀬勝久から「ガチンコやぞ!殺されてまうぞ!」と言わせているけど)。
 新日本プロレスは株式上場を控えていると言われ、WWEが上場する時シナリオの存在を明かしたように新日はこの映画でモロにプロレスには台本がある、と明かしてしまうのか!?とか妄想したんですがそんなことはなかった。その辺に思い切って突っ込めばプロレス・ドキュメントの傑作『ビヨンド・ザ・マット』(1999)ぐらいにはなれただろうに…惜しい!

 とはいえこの映画が感動的で前述した作品たちに負けず劣らずなのは主演の棚橋のスター性と人の良さが物語とうまくマッチしてるからだろう。実際に良きお父さんで近所で緑のお父さんもやっているという棚橋と本作の主人公はマッチしすぎ!あえて熱狂的うるさ方のプロレスファンにはなく、プロレス初心者の入り口としてこの映画は開かれた。
 最後のリングに悪役のまま上がって戦うというのも「悪役だってプロレスには必要なんだ」という主張を裏切らない。あれが善玉で戦ってたら最悪ですよ。

 唯一引っかかるのは祥太が好いているクラスメイトの女の子。この子はドラゴンのファンでゴキブリマスクが大嫌いなので嘘をついていた祥太のことを「嘘つき嫌い!」といって突き放すのだが、最後の試合会場では悪役のお父さんを嫌う祥太に「どうして?悪役のお父さんカッコイイよ」とかいっちゃうのだ!いけしゃあしゃあと!お前がドラゴン好きだというからお父さんが悪役だと黙っていたというのに…!お前の、お前のためについた嘘で苦しんでいたというのに…都合のいいことぬかしやがって~!ホント、女の子ってこういうことありますよね

 

 

 

 

 

 

サメVSステイサム!食うか食われるか?『MEG ザ・モンスター』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年9月23日)の再録です

 

 

上海の海底に建設された海洋研究所ではマリアナ海溝の調査が行われていた。海底とされていた地点を越えてさらに潜航する探査艇。しかし探査艇は謎の巨大生物に攻撃を受けて浮上できなくなる。研究所の責任者ジャン博士(ウィンストン・チャオ)は元レスキュー隊員のテイラー(ジェイソン・ステイサム)に助けを求める。テイラーは5年前に沈没した原子力潜水艦の乗組員救助に向かったが謎の巨大生物の攻撃を受け、仲間を見捨ててしまった過去があった。ジャンとテイラーは今回の事故が5年前と同じ巨大鮫メガロドンが起こしたものだと想定し、テイラーは最新の潜水艇で救助に向かうのだが。


 今時珍しい巨大生物のモンスター・パニック映画。今は何年だよ?日曜洋画劇場で淀川長治さんが『ジョーズ』と同じ原作者のピーター・ベンチリーのイカ映画『ザ・ビースト』を楽しそうに紹介していた時代じゃないんだぞ!と侮るなかれ。本作は全世界で興行収入4億7300万ドルを突破しており『ジョーズ』(75)が持つサメ映画歴代記録4億7000万ドルを40数年ぶりに更新したのだ!

 今更サメ映画なんてCGを使ってド派手に暴れまわるぐらいしか作りようがないと思ったが、本作はメガロドンに対して段階を踏むアプローチを描いて観客を飽きさせない。まずは最新の潜水艇(これが『ウルトラマン』とか『原子力潜水艦シービュー号』とかに出てきそうなデザインのメカでカッコいいぜ)で救出に向かう。すると探査艇は巨大なイカに襲われる!これは前述したベンチリーの『ザ・ビースト』へのオマージュか!?サメかと思ったらイカ!と思わせてそいつがメガロドンに食われて無事主役登場。それをなんとか追い払うが研究所のスポンサーは犠牲になった遺族らへの訴訟対応としてメガロドンを捕まえようとする。まずはGPSを打ち込み、シャークケージに入れた囮を使ってサメを捕獲するがさらにデカいメガロドンが現れて『ディープ・ブルー』で演説をぶつサミュエル・L・ジャクソンが無惨にサメに食われたみたいに飲み込まれる。海水浴客でごった返すビーチにメガロドンが来襲、大惨事の中生き残ったテイラーたちが最後の戦いを挑むのだ。

 全長23メートルとバカでかすぎるメガロドンと対決するのは世界一カッコイイハゲ、ジェイソン・ステイサム。元水泳の飛び込み選手で逆三角形の肉体はスタローンみたいなステロイド系の筋肉ではなくナチュラル・マッチョなステイサムが体一つで海に飛び込みサメと死闘を繰り広げる様は説得力がある。彼のおかげで単なるB級アクション映画の範疇を軽く飛び越えた。
「サメは俺が片付ける!」と銛一本、いやナイフ状の武器で戦いを挑むクライマックスは『白鯨』のエイハブ船長かと見まがう狂乱のバトルだ。ヒロイン的立場の登場人物がいるものの、ステイサムは彼女の代わりにシャワーシーンまで見せつけて観客へのサービス(?)も忘れない。もはやこの世界で互角にやりあえるのはメガロドンとステイサムしかいないという一騎打ちの前には少々辻褄の合わない脚本(探査艇が海底と思われる海層より深く潜航したことでメガロドンが深海からあがってきた、という説明があるんだけどじゃあ5年前にステイサムらを襲ったのはなんなんだよ?)とか全然気になりませんね

 

 

 

 

自己完結しているオタクに捧ぐラブストーリー『君の膵臓をたべたい』(アニメ)

※この記事は前ブログの過去記事(2018年9月19日)の再録です

 

 君の膵臓をたべたい。奇妙なタイトルである。これがホラーなら違和感もないが純愛映画なのだ。食べたいほど愛してるのか?食べたいならまだわかる。これが「売りたい」だったら大変だ。金欲しかったら膵臓売れぇ!!昔そんな人がいました。あれは腎臓だったかな。

 住野よる原作によるライトノベルのアニメ化。2017年に実写化されて35億円のヒットを記録…したものの、実写版は原作とは一部を変更され、登場人物たちが大人になって12年前の物語を回想するという内容に原作者の住野先生が不満だったと言う。
 実写版の主演はDISH//の北村匠海に当時はまだ実写『あの花』や映画『咲-Saki-』の主演ぐらいでしか知られてなかった浜辺美波というキャスティングが弱いと思われたのか、それをカバーするために客の呼べるスター、小栗旬や北川景子を「大人になった現在の登場人物」として入れたのがいかにも東宝映画らしいね。アニメ版は実写より前に企画されていた上に住野先生自ら参加していたというので、実写版のような納得のいかない変更はなく原作に忠実につくられた。


 病院のロビーで偶然拾った一冊の本を拾った僕(物語の主人公。CVは高杉真宙)。「共病文庫」とかかれたその本は「僕」のクラスメイト山内桜良(CV:Lynn)がつづった秘密の日記。桜良は膵臓の病気により余命僅か。「僕」は桜良の両親以外では唯一病気のことを知る人物となる。それをきっかけに桜良と「僕」は仲良くなるのだが、「僕」は自分以外に興味のない「友人のいない」人間だった。
「僕」が友人をつくらないのは相手を見て「この人は自分のことをどう見ているのか?」が気になりすぎて友人ができない、という性格は友達がつくりにくい人間の内面を見事なまでに表していて、草食系という言葉では言い足りないほどの受け身野郎。「僕」は桜良に振り回され、どう見たってデートにしか見えない行為をし、挙句は一泊旅行にまで付き合わされる(「僕」はあくまで「付き合わされる」。ラノベオタクの人にわかりやすくいうとハルヒとキョンのような関係)。恋人同士でもなければやらないようなことを平気でしているのに二人は最後まで恋人にはならない。恋人にならない純愛映画!?なんだそれは!!

 象徴的なのが二人が劇中でやる真実か挑戦かゲーム。トランプを一枚ずつ引き合って数字の大きい方をめくった方が負けた相手に「真実か挑戦か」と聞き、負けた方は必ず「真実」と答え、勝った方は相手が答えにくい質問をする。負けた方は質問に真実を答えるか、答えたくない場合は「挑戦」を選ぶ。勝った方は相手に要求をし、負けた方はそれに「挑戦」しなくてはいけない。
 桜良は「わたしのカワイイと思うところをみっつ選んで」といい、「僕」は答えられないので「挑戦」を選ぶ。桜良は「わたしをベッドまで運んで」と要求。ヒロインにそこまで言われないとできない主人公!
 この「真実か挑戦か」ゲームは本作の最大の魅力。最後の最後まで恋人なのかどうかもはっきりしない二人の関係を表している。二人は他愛もない質問ばかりして桜良も「君はわたしのことが好き?」とか聞けばいいのに質問すらしなくてモヤモヤする。でもこれはそんなことはとても聞けないが、言わなくても自分の中ではわかっている自己完結しているオタクが好むラブストーリーなのだ。

 こんな話が多くの一般客に受け入れられているという真実。ビックリしました。時代がオタクに追いつこうとしている!

「僕」の声を演じた高杉真宙は『仮面ライダー鎧武』でヒーローになれないのならいっそ巨悪になってやる、と覚悟を決めながら小悪党にすらなれなかったよ…というひとり難しい役どころを演じていたが、今回も捉えどころのない自己完結する主人公を丁寧にきめ細かに演じていた。芸能人吹き替えと侮ることはできない。