しばりやトーマスの斜陽産業・続
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

過去は過ぎ去り 未来はまだ来ない『機動警察パトレイバーEZY』

機動警察パトレイバーEZ 登場人物紹介

 80年代末から90年代初頭にかけて展開されたメディアミックスプロジェクト『機動警察パトレイバー』の新作シリーズ。


 パトレイバーは製作された時代から「10年ぐらい先の未来」を想定してつくられた。人型産業用機械として誕生した<レイバー>は主に土木作業の分野で活躍し、やがて軍用機械に転用され、「レイバー犯罪」と呼ばれる社会的脅威を生み出す。警察はこれらに対抗すべく特殊車両二課、パトレイバーを誕生させる。
『EZY』の舞台は2030年代。AI技術により自動化が進んだ現代ではかつて最先端だったレイバーは社会基盤を支える技術として定着はしたが、人が操縦するロボットの多くはAIによって自動化され、レイバーは時代遅れの産物となりつつあった。2030年代の特車二課の面々は時代遅れの産物に乗りながら、人と街の平和を守ろうとする。
これは中々に痛烈な設定である。つまり『パトレイバー』という作品自体が「昔の」作品で「そんなものもあったね」ぐらいの扱いで、劇中もそういうことにされている。なにしろ30年以上前の作品なんだから、20代~30代の人たちは見たこともないって具合じゃないのかな。
 

 ということは僕みたいな学生時代にリアルタイムでパトレイバーを楽しんだ世代が「昔を懐かしむ」ためのプロジェクトか?というとそうではない。だって登場するキャラクターは見たこともない新顔たちだから。出てくるキャラクターたちはなんとなく、かつての特車二課のメンバーを思わせる人々でいて、実はまったく違う別人だ(中には老けてしまった前作までのキャラも出てくる)。別人の新顔たちがパトレイバーっぽいことをしている様を見せつけられるのは中々キツイ
 

 観客が新顔たちにまったく馴染んでないので、最初の3話分は誰が誰なのか、どんなキャラクターなのかを把握する前に話がどんどん進んでいく。これ、TVシリーズの序盤数話ならともかく劇場版なのでそもそもリスキーな企画な気がする。


 中身の話について、エピソード1は商店街のクリスマスイベントにおけるレンタルレイバーの暴走事件。犯人は老人で時代に取り残されていく世代の遺物たちがひと花咲かせようとする。それはまるで「パトレイバー世代」の観客や作り手を見ているかのようだ。
 エピソード2は出動がなく待機状態の特車二課で、隊員たちが日誌に自分たちは「ありえない事件」を華々しく解決する妄想をそれぞれリレー形式で書き綴っていく。
これが良くできていて、パトレイバーというのは実はロボット・アクションものではなく、警察官の日常を綴った作品だ。だがそれでは売れないので便宜上ロボットバトルものの皮をかぶっている。なのでハードなアクションと前作に登場した零式を登場させ、劇場版一作目もかくやな激しいバトルシーンを展開させている。退院の妄想として!リレー形式で綴られるのでこいつらみんな仲いいな!って笑えてしまう。
 エピソード3は映画撮影現場に駆り出された特車二課のドタバタ回。樋口真嗣絵コンテによる「どっかで見たような」巨大ロボットが暴れ回る時代劇で、漫画版のエピソードを彷彿とさせる。オチは今回のスタッフとして不参加の押井守監督の某作品を思わせる予告編でどっちらけ!


作品のテイストとしてはアーリーデイズと呼ばれる初期OVAシリーズのテイストに近い。ということは本来のパトレイバーの持つ魅力を30数年後の世界にそのまま持ってきてといえる。
アーリーデイズが最後の二部作『二課の一番長い日』で到達点に達し、劇場版The Movieで時代を象徴する名作にまで突き抜けたように今後公開されるFile2、File3で右肩上がりのクライマックスが期待できるのではないか。

 

 ところでタイトルの『EZY』って何のことなの?と思ってたら最近になってデータ量の単位「エクサ・ゼタ・ヨタ」を並べた、キロやメガの先、「まだ来ていない次世代の未来」を示している、とのこと。それはまだ来ていない未来を描いたパトレイバー最初のコンセプトと同じだ。僕らの時代の90年代に「パトレイバーな未来」は来なかったが、今度は・・・どうかな?

 

 

 

 

 

 

 

2026年6月予定告知

2026年6月予定

 

6月9日(火)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム

開演:20:00 料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

カルトを研究する若人の会。伝説のはじまり、子供を救え!

 

6月13日(土)

『アイドル十戒 ディスクロージャー・デイ其の三』

会場:アワーズルーム

開演:19:00 料金:1500円+1D

出演:竹内義和 しばりやトーマス

サイキックをやってた人と聞いてた人のアイドル談義。情報開示に努めます。

 

6月18日(木)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30

料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

※終了後YouTuber配信アリ

深夜の映画番組みたいな研究会。時を越えて集う勇者たちの物語。

 

6月30日(火)

『スーパーヒーロートーク』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 料金:1500+1D

出演:にしね・ザ・タイガー しばりやトーマス

東映・ニチアサヒーローについて語りすぎるトークライブ。

※開始時間が早まってますのでご注意ください

強者が魅せる敗者の姿『スマッシング・マシーン』

スマッシング・マシーン、ドウェイン・ジョンソン主演映画ポスター

総合格闘技黎明の時代に「人類最強」を謳われた格闘家、マーク・ケアーをWWEで活躍した「偉大な男」ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが演じる『スマッシング・マシーン』はケアーの栄光とその頂点から転落する様を描く。ネットフリックスで配信されている『アンカット・ダイヤモンド』で崖っぷちに追い詰められた人間が一発逆転に挑む姿を刻み付けたベニー・サフディ監督の得意などん底人間喜劇だ。

 

 猛牛のごとき勢いで突進して相手にのしかかると猛烈なグラウンドパンチで相手をねじ伏せる豪快なファイトでケアー(ジョンソン)は総合格闘技の世界で一躍ヒーローになる。しかし筋骨隆々の肉体と豪快なファイトから見られるカリスマ性の裏でケアーの肉体は悲鳴を挙げる。痛み止めの鎮痛剤が手放せない彼はほぼジャンキーだ。

 

 日本の総合格闘技大会、PRIDEに出場したケアーは大会関係者に駆け出しが調子に乗ってやがる扱いされながら(実際のケアーがPRIDEに出た時は既に一流ファイターだったのでこの描写は誤り)もイゴール・ボブチャンチン戦に挑むが、グラウンド状態から頭部に膝蹴りを叩き込まれると何もできずに敗北。あまりにあっさりしすぎてどこが「人類最強」なんだ?と唖然とする。

 試合後、ケアーは反則を訴える。実際の試合も反則で無効試合になるのだが、控室で恋人のドーン(エミリー・ブラント)の労りに気もそぞろなケアーだが、当のボブチャンチンが姿を見せるとなぜか反則された相手の傷をいたわって「一緒に記念写真を撮ろう!」と言い出すのだ。いや、そこは切れてもいいだろ!

 

 命がけで戦ったファイターに共感しすぎる男はスマッシング・マシーンの異名とは程遠い。この一度の敗戦がケアーの常勝街道に傷をつける。鎮痛剤を止められず、恋人との関係も難しくなっていき、過剰摂取のため病院に担ぎ込まれたことからもう一度立ち直るべく更生施設入り。退院したケアーは再び格闘技の世界で活躍するようになるのだが、ドーンとの関係は元に戻らない。

 

『スマッシング・マシーン』はこの手のドラマにありがちな栄光からの転落、仲間の友情や恋人の愛情を支えに努力し、やがて勝利を掴むという友情・努力・勝利という少年ジャンプ的な王道の物語を反れていく。劇中でケアーは大きな背中を折り曲げてすすり泣き、恋人と口喧嘩し、試合では負け続ける(勝利するところはほとんど描かれない)。王道の物語を期待した観客は肩透かし。そのあたりが興行的に苦戦した理由だろう。

 勝負の世界では永遠に勝ち続ける人間はいない。本作は強さを求められた人間の負けている時の姿をつぶさに映し出す。リングで負けて帰ったケアーは家庭でも安らぎが得られず恋人と激しくぶつかり合う。ブラント演じるドーンもまた男にとって都合の良い「献身的な妻」ではないのでデスマッチが家庭でも延々と続く!そしてまた負ける。

 

 筆者は阪神タイガースのファンで、試合をすれば負けていた暗黒の時代も知っている。そこで身に染みたのは勝負には負けることがあるってこと、負けて学ぶことの方が人生には多いってことだ。

 総合格闘技の世界を去ったケアー(本人)が「オレは元気でやってるよ!」とそんな自分自身を受け入れるラストで締めくくられる。それは彼が手に入れたほんの小さな勝利かも知れないのだ。

 

 

 

特撮・この一話がすごい!ダイヤモンド・アイ『ダイナマイト大作戦』

あなたにとって忘れがたい一話は何か?

 

 を追求する「この一話がすごい!」の特撮ヒーロー版。栄えある第一回は『ダイヤモンド・アイ』から24話『ダイナマイト大作戦』です。

ダイヤモンド・アイ:ダイナマイト大作戦

 

『ダイヤモンド・アイ』は川内康範が創造したヒーローもの、レインボーマン、コンドールマンと続く「川内三部作」のひとつ。アラビアの王と呼ばれる希少価値の高い宝石に宿るダイヤの精霊で物語の主人公である雷 甲太郎(通称ライコウ)の正義の心に感心し、以後正義に献身するためライコウとともに戦う(変身ヒーローじゃなくて召喚ヒーロー、今でいうポケモンみたいなもんだ)アイ(愛)とライコウ(正義)のために戦うというダブルミーニングだ。

 

 アイとライコウの敵は世界征服を企むキングコブラ率いる前世魔人たち。恐ろしい怪物たちだが普段は人間の姿に変わり人間社会に溶け込んでいる。アイが放つ外道照身霊破光線によって醜い本性を暴かれる。その際のやり取り

 

アイ「汝の正体見たり!前世魔人、〇〇〇〇〇!」

前世魔人「ばぁれたぁか~っ!」

 

 が毎回のお約束。当時の子供はみんなマネして親に怒られた(笑)

 正体を暴かれた前世魔人はアイの必殺技、ロイヤル・パンチによって倒されるが「外道、消え失せろ!」「外道、死ね!」とアイの言い回しが独特かつ殺伐としているのがいい。

 

全26話のうち前半では前世魔人らが展開するアジア侵略作戦「ハリケーン作戦」(薄汚いことをして不正に金を溜め込む財界人たちに詐欺を仕掛けて大金をせしめる)をアイとライコウらが粉砕し、キングコブラに一太刀浴びせるも逃げられてしまう。キングコブラが傷を癒す間、実の娘である蘭花ことヒメコブラが前世魔人らの新たなボスとして君臨しハリケーン作戦に変わるドリームX作戦を指揮するが、母親が人間という前世魔人と人間のハーフである彼女は根が善性で、しかもライコウに人間として惹かれていき、善と悪の間で引き裂かれていくのが後半の物語のポイント。

 

 

 23話におけるアイとの死闘で傷ついたヒメコブラは補佐役のキルト/前世魔人オニカブトンに作戦指揮を任せ癒しの時間に就く。キルトは熱海のホテルに逗留しドリームX作戦の前線基地である「頭脳改造工場」をつくろうとするが、通りすがりの女性に見られてしまい、躊躇なく殺害する。なんで熱海なの?ってそれは特撮番組の定番、タイアップ回だからさ!

 

 翌日の朝刊には他殺事件として報道され、その女性が高柳財閥の令嬢、真理子であることが発覚。その新聞を見たライコウの仲間、カボ子は一路熱海へ。カボ子は幼少のころを回想する。真理子とカボ子は友達だったのだ。突然サブキャラの過去が語られるので視聴者一同驚きである。同じ新聞を見たライコウも何かに気づき、熱海へ向かう。

 

 熱海で事件を探るカボ子は幼少のころに自分が真理子に挙げたネックレスをつけている子供を見つけ、知らないお姉ちゃんからもらった(知らないお姉ちゃんからもらうなよ)、そのお姉ちゃんは「目が光った・・・と警察に言って」と言い残して死んだという。子供は警察に話したが相手にされなかったと。目が光ったというのはキルトの能力なのだが、警察に「目が光った」といってもそりゃあ通用しないよね。

 子供を信じたカボ子はキルトが泊るホテルの部屋を探り当て、後を追うが見つかってしまい絶体絶命。その時熱海に到着したライコウがアイを呼び出し間一髪。

 

 よくよく考えたら不思議な話で、カボ子は熱海に向かうことを誰にも伝えてないのに、なぜライコウは熱海に一直線にやってきたのか?

 

 ライコウは「君の本名を知っていたから。君の本当の名前は高柳・・・」と言いかけたところで「わたしはカボ子。本当もウソもないわ!」と言い返されてしまうのだった。

 カボ子の本名は高柳ミユキ。幼少のころ両親を亡くし、子供がいない高柳財閥に養子として引き取られるのだがやがて実子、真理子が生まれると親の愛情は真理子に移ってしまい、激しく言い争うようになった両親は別居。責任を感じたミユキは高柳家の令嬢という身分を捨て、一人で生きていくためにカボ子と名乗りジャーナリスト活動を始める・・・

 

『ダイヤモンド・アイ』は70年代の特撮ヒーローもの、しかも川内康範作品だから子供向けにしては重めの話が良く出てくるけど、この24話はとびきり重い。いつもはとぼけたコメディリリーフ的な位置にいるカボ子に突然ヘビーなバックボーンを背負わせて視聴者もどう見ていいのかわからないよ!

 しかもライコウがカボ子に気があるみたいなことを言いだし、スローモーションでキャッキャはしゃぎだす光景が繰り広げられるに至ってはこれが70年代なんだなあと思い知らされる。

ダイヤモンド・アイ カボ子とライコウのジャンプ

 この後、カボ子はキルトに捕まり十字架にかけられる。真下にはダイナマイト・・・サブタイトルの『ダイナマイト大作戦』ってこのことだったの!?(もう完全に忘れていた)

 カボ子を助けたければアイリング(ライコウが左手にはめているアイを呼び出すダイヤの指輪)を捨てろというキルト。やむなくアイリングを投げ捨てるがライコウの求めに応じて呼び出されるアイ(リングを投げ捨てさせた意味がない!)。ライコウはカボ子を救うために駆け出す。間に合うのか?

 

「カボ子が危ない!雷甲太郎は走る!走る!また走る!ダイヤモンド・アイは!?」

(ナレーション:中江真司)

 

次回25話『秘密工場大作戦』に続きます。

 

 

『ダイヤモンド・アイ』はライコウら人間側の主人公が敵の前世魔人らと互角に渡り合ったり、命がけで正義を全うし、社会に潜む格差の問題を是正しようとしたり、悪党を本気で憎んで許すまじといった思想が描かれていて痛快だ。今の特撮ヒーローモノには見られることがなくなった悪に対する本気の怒りがある。第一主人公が正義のジャーナリストだもんなあ。そんなの、令和の社会にはほとんど存在しないよ!みーんな金のために小悪党と結託してる前世魔人だ!(前世魔人ですらその悪党から金をかすめ取っているというのに)外道よ死ね!

 

 カボ子は普段はデカブチ眼鏡をかけてブスっぽく見せてるけど演じた黒沢のり子さんが別嬪なので魅力が隠せてない。経歴を調べると、児玉誉士夫邸セスナ機特攻事件の犯人、前野光保の嫁だったというんでまたビックリ!

 前野光保は右翼だったが児玉がロッキード事件で起訴されると児玉を憎むようになり、天誅を下そうとしたという。前野もまた本気で悪を憎んで正義のために戦った。ダイヤモンド・アイなら「お前は正義のために献身した!」とほめてくれたかもね。

 

 

 

 

 

 

マカロニ、カンフー、ローマの休日『シャオ・メイ ローマ大決戦』

シャオ・メイ ローマ大決戦 カンフー アクション映画ポスター

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』ガブリエーレ・マイネッティ監督の最新作はイタリアを舞台に中国人経営者の売春宿で行方不明になった姉を探し求める妹が復讐のカンフーを振るう本格アクション映画だ。『皆は~』は本格的アクション映画と想像した観客をスカした構成にやや肩透かしを食らったが、今回は問題なし。全編にわたって本気度大のカンフーが展開される。

 それにしても「イタリアを舞台にしたカンフー映画」ってなに?昔『荒野のドラゴン』ってイタリアが舞台のマカロニ・ウェスタン・カンフー映画があったけど、それ以来かも知れない。

 

 シャオ・メイ(リウ・ヤーシー)はひとりっこ政策時代の中国に生まれた妹の方。戸籍が存在するのは姉のユン(アリス・イェ・ハイジン)だけなのでシャオは家のクローゼットに隠されて生きてきた。姉にはいる友達もおらず、学校にも行けず、外に遊びにも行けない。姉のことを羨む妹のために戸籍を買うための大金を手に入れようとしてユンは海外へ出稼ぎに行く。姉の出稼ぎ先はイタリアで中国人富豪のワン(チュニュ・シャンシャン)が経営するレストランを装った売春宿だった。そこでユンは行方不明になる。

 姉の行方を捜してシャオは売春宿に乗り込み、姉妹ともども父親に教わったカンフーで用心棒らを蹴り飛ばしユンの消息を聞き出す。姉はイタリア人経営者のアルフレード(ルカ・ジンガレッティ)と一緒にいなくなった、と知らされる。シャオは彼のレストラン「ダ・アルフレーデ」に乗り込み、彼の息子でシェフのマルチェロ(エンリコ・ボレッロ)を脅しつけるも彼も父親の行方を知らなかった。

 マルチェロは一連の出来事を父親の古い知り合いで町の不法移民をまとめ上げている債権者のアンニバレ(マルコ・ジャリーニ)に話す。ビジネスで対立するワンの送り込んだ手下だと勘違いしたアンニバレはワンに報復をちらつかせる。一方、アンニバレの手下のチンピラを叩きのめしたシャオはワンの配下からユンとアルフレードの行方を聞き出すのだがすでに姉は・・・

 

 

 主演のリウ・ヤーシーは『ムーラン』『プロジェクトV』に出ていたスタントマンでそのカンフーの腕前は本格的。『デッドプール&ウルヴァリン』のスタッフによる(香港)アクション設計はさすが本場!イタリア映画だということすら忘れて没頭。親しい人間の仇討ちのためにカンフーを奮うという、王道カンフー映画そのまんま。これをふざけてやっているのではなく、好きだからやっているとしか思えないマイネッティ監督はジャンル映画に対する愛情が深いよな。

 

 途中、仲良くなったシャオとマルチェロがベスパ(!)に二人乗りしてイタリアの観光地を巡るという『ローマの休日』そのまんまのシーンが出てくるのだが、単にパロディなだけじゃなくて外国にやってきたシャオが復讐の目的を忘れてマルチェロとの甘い生活に溺れてしまおうとするも、本来の目的のために生まれて初めての恋を捨てる決意をするという『ローマの休日』のテーマをしっかり突いている!

 

 それにしてもイタリアを舞台にした中国人俳優のカンフー映画を当のイタリア人はどんな顔して見てたんだろう?映画はイタリア本国でも大ヒットして、各映画賞にノミネートしまくっていたので評価されてたことは間違いない。

原題は『La città proibita』。劇中に出てくる中国人の経営するレストランの店名で、紫禁城のイタリア語読み。禁じられた場所、閉ざされた世界の暗喩で決戦の場であるコロシアムのことでもあるが、邦題の『ローマ大決戦』にはアンドリュー・ラウ監督、アンディ・ラウ、イーキン・チェン共演の『決戦・紫禁城』を彷彿とさせ、上手いタイトルつけたもんだ!

 

 

 

 

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>