しばりやトーマスの斜陽産業・続
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鼻毛の生えた蜂『昆虫怪獣の襲来』

 先日、竹内義和兄貴と5~60年代の怪獣映画はヒドイ!という話をしていて盛り上がる。昨今の怪獣映画は映像技術の発展とともにどんなにヒドイものでもそこそこ観られるレベルになっているけど、昔は本当にヒドイ。技術も無ければ志も低いので観ていられないレベル。にも拘らず好きなな人は見てしまうのだから、ほんにマニアは始末に於けない人種といえよう。

 

 今回ご紹介する『昆虫怪獣の襲来(原題:MONSTER FROM GREEN HELL)』(1958)もそんな一本。

 

 学者のブレイディと助手のモーガンは宇宙放射線が生き物に与える影響を調べるため動物や虫を載せたロケットを飛ばしていた(大金持ちだな)。しかしうち一本が失敗しアフリカのジャングルに墜落。付近にいた蜂が放射能の影響で巨大化し、野生動物や原住民に被害が及ぶ。

 ブレイディらは原住民のために尽力する医師のローレンツの元に向かい事態の収拾にあたろうとするが、彼もまた蜂の毒でこの世を去っていた。医師の愛娘ローナとともに犠牲者の仇を討つべく巨大蜂が潜むグリーン・ヘルに彼らは足を踏み入れる。

 

 巨大蜂の特撮が見ものである。違う意味で。蜂を人間よりもデカいサイズのハリボテで制作したがちっちゃい羽根をバタバタさせてワイヤーで動かす顎で人を挟んだりするぐらい。蜂なのに飛ばないという決定的な弱点を持っているのでうまくやればすぐ倒せるような気がする。バカでかいハリボテの蜂の頭から鼻毛が出ているのが語り草のチープさ。

 

 制作のアル・ジンバリストは超低予算SF『ロボット・モンスター』(ゴリラの着ぐるみに潜水服のヘルメットを被せたやつをロボットと言い張った)、『月のキャットウーマン』(月の裏側に女だけの国家が存在して、男たちを誘惑する。宇宙一高いところにあるキャバクラ)で知られ、やたらと他の作品から映像を使いまわしたり、ジャングルを徘徊する野生動物の映像は全部環境映像からの引用だ。そんなことだから蜂のハリボテもまさにハリボテで、人は襲われるというより自分から襲われに行っているようにしか見えない(低予算ダメ怪獣映画あるある)。

 

 しかも肝心の巨大蜂は最初と最後ぐらいしか出て来ず、ブレイディたちが数百キロの荒野をローレンツ医師の元まで歩いていく時間がやたらと長い!途中で狂暴な原住民に襲われるんだけど、地平線を数百人のヤリと弓を持った男たちが一斉に走ってくる場面は怪獣が出てくる場面よりすごい。

 ローレンツ医師を演じるのはウラジミール・ソコロフ。『誰が為に鐘は鳴る』『荒野の七人』の!一体なぜこんな映画に出ているのか理解できない。

 

 巨大化した生物が人を襲うという話は当時流行っていた『放射能X』あたりに影響されたんだろうけど(女王にあたる生物が群れを統率している展開も同じ)本家をもう少し見習ってほしい。向こうは鼻毛の生えた蟻なんかつくってなかったぞ。

 女王蜂を大量の手りゅう弾でやっつけるんだけど、そこで話が終わらず延々と続く!他の蜂を始末していなかったのだ。しかし武器はもうない。どうする?

 火山が噴火して蜂たちは溶岩の海に沈むのだ。なんじゃそりゃ!いいかげんにしろ!

 

 

 

 

スマホ栄枯盛衰『ブラックベリー』

 今やだれでも持ってるスマートフォン。僕は以前ウィルコム製のAndroidスマホW-ZERO3を持ってた。W-ZERO3は国産初のスマートフォン。まだ日本では今でいうところのガラケーが主流の時代にVGA液晶に無線LANを搭載。インターネットに接続できる「持ち歩くパソコン」!僕が買ったのはコンパクトサイズになったWS007SHでこいつは本体をスライドするとキーボードが出てくる。こいつを駅のホームで電車待ってる間に(わざと大きな音を立てて)スライドさせると周囲が振り返ったもんだ。

 W-ZERO3は国産初だけど、世界で最初のスマートフォン、ブラックベリーの誕生を描いたドキュメントドラマ『ブラックベリー』(2023)を観た(ネットフリックス他で配信中)

 

 1996年カナダ、オンタリオの都市ウォータールー。小さなソフトウェア会社リサーチインモーション(RIM)の共同経営者マイク・ラザリディスとダグラス・フレギンは幼馴染で、二人はやがて携帯端末の未来を変える夢のアイテム「PocketLink」の売り込みに勤しんでいた。電子工学の天才児マイクと技術はピカイチだがコミュニケーション能力が欠如しているオタクのダグラスはまったくプレゼンに向いておらず、マイクは会議室にある通話機が中国製のノイズを発しているのを見て分解して直すし(他人の会社のやつだよ)ダグラスはプレゼンなのに頭にバンダナ、掃き古しのジーンズ、シャツは「DOOM」(笑)。ダメだこいつら!

 当然のごとくプレゼンは失敗するが、投資家のジム・バルシリーは勤めていた会社を首になったことからRIMに移籍してくる。モノづくりの才能はあってもプレゼンが壊滅的なこいつらを俺が引っ張っていくのだ!

 

 RIMの社員はオタクの集団で普段はオンラインゲームばっかりしていて、週末にはムービーナイトと称し『ゼイリブ』を観ている(!)そいつらが時代を変えるスマートフォンを生み出すのだから世の中わからない。なんとなく初期のガイナックスを思わせる。

 バルシリーはPocketLinkのプロトタイプをつくってベルアトランティック社に売り込みにかける。空気が読めないダグラス(本当に空気の読めないオタクの典型でバルシリーをイラつかせる天才)は会社に置いていって、マイクと二人で飛び出すがマイクはタクシーの中でフルーツを手づかみで食べてシャツに染みをつける(・・・)。その上会議室に入ろうとする直前にプロトタイプをタクシーに忘れてしまう(いいかげんにしろ)。

 口八丁手八丁で「こいつは外で電子メールも送れる優れものです!」とハッタリをかますが技術面について説明できないので窮地陥る。その時プロトタイプを取り戻したマイクが登場、データ通信上の問題を克服するアイデアを見事に説明して会議室の面々を唸らせる。

「で、こいつの名称は?」

 まだ決まってない!Pocket Linkなんてダサい名前じゃ売れない。口ごもるバルシリー。その時マイクのシャツのシミが見えた。

「・・・ブラックベリー」

 

 出来過ぎた話!ホントかどうかは怪しいがこうして世界初のスマートフォンは誕生した。瞬く間にブラックベリーは売れまくる。自宅を抵当に入れてまでRIMにかけたバルシリーはたちまち大金持ちに!落ちぶれた元天才少年にしか見えなかったマイクはジェルで決めた髪にスーツ姿も見違えるよう。ダグラスはウルフェンシュタイン(ゲーム)とアレサナ(バンド)のシャツを着ていた・・・お前だけ何もかわってないな!

 

 大躍進するRIMだが、企業から敵対的買収される危機到来。バルシリーはそれを回避するために会社の株価を吊り上げる作戦を思いつく。まずはもっとブラックベリーを売りまくるんだ!マイクとダグラスは「そんなに売ってもネットワークがサポートできない。回線がクラッシュするぞ」と警告する。

 

「それを回避するにはどうしたらいい?」

「腕のいい技術者をそろえるしかない。うちじゃこれ以上は無理。マイクロソフトやグーグルから優秀なエンジニアを引っ張ってきて・・・」

(この時もダグラスが「イド・ソフトウェア」のジョン・カーマック(DOOMの生みの親)を呼べと騒いで呆れられる。空気読め!空気を!)

 

 バルシリーは優秀なエンジニアをそろえた。多額のストックオプションを発行するというやり方で。

「これって合法なの?」合法じゃありません!

 かき集められたエンジニアたちを管理するため「鬼軍曹」チャールズ・パーディが雇われる。

「私がこの船を制御する」

「制御はいらないよ」

 目の前のオフィスではモータル・コンバットのシャツを着たダグラスがふざけて遊んでいた(お前さぁ・・・)

 こうしてオタクたちが自由に振舞う社風は失われる。パーディ役はマイケル・アイアンサイド!まさしく鬼軍曹!

 さらにバルシリーは天才的な売り込みのアイデアを営業マンらに吹き込む。

 

「エリートどもの前でブラックベリーをこれ見よがしに使わせろ。大声で話せ!こいつはどこでもメールが使えるとな!」

 

 携帯端末を所有することをステータスにするという営業とパーディの統率によりデータ障害の問題を解決したRIMは買収の危機を脱する。もはやブラックベリーは無敵。誰も勝てない。そしてやってきた2007年。スティーブ・ジョブスがiPhoneを発表したことで凋落は静かに始まった・・・

 

 

 ブラックベリーの敗因はマイクやバルシリーが自らのブランドを信奉しすぎたことだった。ジョブスのプレゼンやiPhoneのタッチスクリーンを観たマイクは「キーボードのない携帯なんか誰が欲しがるんだ?ブラックベリーにはキーボードがある。独特のクリック音があるんだ!」と声を荒げる。そんなところにこだわってどうする?ユーザーはキーボードがあるから使うのではない。使いやすいから使うのだ。

 傲慢なCEOバルシリーは誰のアドバイスも聞かず、会社の危機を伝える声に耳をふさぎ、ビジネスジェットでホッケーチーム買収に走り回り、その傲慢さ故に失敗する。理事会から追放された彼を待っていたのは米国証券取引委員会(SEC)によるエンジニアを雇うために違法に遡及したストックオプションの調査であった。

 マイクはただ一人のCEOとして(ダグラスはフレンドリーでカジュアルな会社の雰囲気が損なわれたことをきっかけにすでに会社を去っていた)タッチスクリーン型ブラックベリー「ストーム」の開発に着手したが、信用しないとしていた中国の工場へ発注するなど、技術者としてのプライドを捨ててしまったせいか、ストームは不具合、バグだらけでユーザーからの信頼も失ってしまう。

 

 最盛期には全世界で50%に迫る普及率だったブラックベリーのシェアは今0%。栄枯盛衰も極まれり。僕が持っていたW-ZERO3も今はなく、ウィルコムはソフトバンクの子会社になってワイモバイルに改称、2022年に完全に消滅した。

 引き合いに出したガイナックスも社内のトラブル、人材流出を経て衰退、2024年に倒産。オタクはオタクのままではいられないのだ。

 

 中国から届いたストームからブザー音が鳴ってるのを確認したマイクはひとつひとつ手作業でそれを直していく・・・彼はいつまでも電子工学オタクだった。

 ちなみに空気の読めないオタクのダグラスはその後、高値でRIMの株を売り抜けて億万長者に!なんだこいつが勝ち組やん!

 

 

 

 

 

本物の迫力『博奕打ち』

 50年代に東宝映画でヒットを飛ばしていたスター、鶴田浩二は60年に入ると東映の俊藤浩滋プロデューサーに口説かれる形で東映に移籍。当時の東映は時代劇で飛ぶ鳥を落とす勢い。時代劇の次は現代劇や!とばかりに大川博社長の元、第二東映を発足。京都の時代劇、東京の現代劇と二つで映画界の支配を目論むことに。

 とはいえただでさえ粗製濫造にあった東映はこの第二東映の誕生によって制作本数は二倍になり、すべてのクオリティを維持することが出来なくなり、なんでもいいからひたすら作っては公開を繰り返すルーティンワークに。観客には次第に飽きられ、地方の映画館主も欲しいのは時代劇であって現代劇ではないということで第二東映は2年で消滅。

 東映東京に救世主として招かれた鶴田も第二東映消滅後は京都で仕事をすることに。時代劇もすでに飽きられ次第にじり貧に陥る東映は任侠映画に活路を見出す。そして鶴田主演の『人生劇場 飛車角』が大ヒットを記録し、任侠スターとしての地位を確立する。『博奕打ち』(1967)は鶴田浩二を代表する一本。

 

 大阪飛田新地を舞台に流れ者の博徒、海津銀次郎(鶴田)は博徒の冴えを見せつつ、義理人情に溢れた男を演じる。地元を根城にする黒田一家の賭場で粋のイイ勝ちっぷりを見せる銀次郎に女郎部屋・錦楼を営む山波新吉(山城新伍)が助けを求める。賭け事が好きな新吉は借金三千円を抱え黒田一家に返済を迫られる。あと六百円を1日で作らなければ錦楼を取られてしまう。

 

銀次郎は新吉から元手の五十円を手に賭場へ行くが老胴元の市岡弥助(河野秋武)の巧な技術の前に敗れ去る。しかし勝ちっぷりも負けっぷりも大したものな銀次郎に惚れた市岡は金を用立ててやり、胴元を譲る。胴元に回った銀次郎がたちまち返済分の金を勝ち取ってくる。

 ところが金を渡された新吉は「これを元手にもっと稼げばかかあも喜んでくれるやろ」と散髪屋に素人賭場を開く(散髪屋従業員が蘆屋雁之助・小雁のコンビで笑いを誘う)のだが、黒田一家の代貸し大関(若山富三郎)に踏み込まれ、なわばりを荒らしたとして金を巻き上げられる。

 錦楼は黒田一家の物となり、ショックで新吉の妻おときは自害。おときに可愛がられていた女郎の小菊(桜町浩子)と小花(橘ますみ)は線香だけでも上げたいと客の寛太郎(藤山寛美)を外へ誘いだすが忽ち大関らに捕らえられ、小菊に惚れている銀次郎に足抜けの金を払えば助けてやると言われるもそんな金はない。

 銀次郎の舎弟・義松(待田京介)は新吉と組んでイカサマ札を使って荒稼ぎをするが、大関に見抜かれてしまう。弟分の不始末を詫びるため銀次郎は指を詰める羽目に。

 女郎と錦楼を黒田一家の手から取り戻すため銀次郎は水垢離をし、再び賭場に乗り込む。荒稼ぎする銀次郎の前に現れたのは市岡の弟子筋の博徒・桜井丈吉(小池朝雄)だった。

 

 流れものの一匹狼という鶴田浩二のキャラクター性を確立した作品でもあるが、この映画の何がスゴイかというと賭場の場面である。当時、関西の賭場で流行っていた手本引きという博奕が行われるのだが、俊藤浩滋プロデューサーは若い頃から賭場に出入りしていたことから本職の人間と付き合いがあり、それを縁に手本引きの賭場を再現するため、本職の人間を演技指導に雇い、賭場の客に本職の人間を使った!鶴田浩二や小池朝雄の周りにいるのは本物の極道!これぞリアル!

 

 この『博奕打ち』シリーズはヒットし、後の実録ヤクザ映画に至るまでの道で東映は本物の人たちと付き合いを深め、トラブルから警察にガサ入れを食らうことになる俊藤プロデューサーは「お前は本物のヤクザやろ!」と小突かれてしまうのだった。

 あの『ゴッドファーザー』も制作時に本物のマフィアを入れていて、銃殺事件を起こされていたが、『ゴッドファーザー』より早く本物の迫力を出していた東映!さすがだ(何がだ)若山富三郎も本物に見えるけど!

 

 開幕まで1年を切った大阪万博の本当の目的は夢洲を整地してカジノを作ろうとしているらしいが、日本にカジノなんかつくっても客来ないよ!どうせならこの映画みたいに手本引きの賭場にすればいいんだ。外国人観光客も大喜びするよ。もちろん胴元は日本のアウトローを使って。通訳は水原一平でいいよ・・・ってダメだこりゃ!

 

 

 

 

殺しのピタゴラスイッチ『KILLERS/キラーズ 〜10人の殺し屋たち〜』

 

 最初にミレニアム・フィルムズのロゴが出てくるのでゲッとなる。

 80年代にB級アクション映画で猛威を奮ったメナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスのキャノン・フィルムズで制作補だったアヴィ・ラーナーが立ち上げたミレニアム・フィルムズはキャノンでの経験を存分に生かした作品群を送り出す。今回の主役でありニコラス・ケイジともよく組んでおり、そのラインナップは『ウィッカーマン』(2006)『バッド・ルーテナント』(2009)『ドライブ・アングリー3Ⅾ』(2011)『ブレイクアウト』(2011)・・・

 そして『KILLERS/キラーズ~10人の殺し屋たち~』だ。原題はKill Chain。殺しの連鎖ってところか。チェーン・コンボのチェーンだ。

※以下ほぼネタバレになっています


 ここは場末のホテル、デル・フランコ。スラム街に立つこのホテルはひっそりと寂れている。ホテルに現れたのは黒人とラテン系の二人組。フロントで二人組を迎えたのはホテルの支配人兼フロントマン兼バーテン兼オーナーのジョン(ニコラス・ケイジ)。テーブルでは男が一人目を見開いて息絶えていたがジョンは「気にするな」と(するよ!)。二人組はショットガンとリボルバーでジョンを脅すように話しかける。ジョンは友人のフランコからホテルを譲り受けた、全く儲けが出ないとぼやく。3人のそのやり取りを二階から血まみれの女レナータ(アナベル・アコスタ)が覗いている。ジョンは昔話を始める。俺とフランコは一年前に・・・

 

 

 一年前。デル・フランコの一室から老殺し屋マーカス(エンリコ・コラントーニ)が標的をスナイプしようとしている。長年疎遠になっている娘と携帯で通話するマーカスは5年も会っていないことをひたすら詫び、仕事があるからと通話を切る。マーカスは自分もまた狙われていることに気づき、通りをうろつく娼婦を使ってスナイパーのところに行かせる。自分を狙っているのは仲間のサンチェス(エディ・マルティネス)だった。組織が古株を処分することになったと告げたサンチェスはマーカスを始末、組織に連絡すると通りに止めてある廃車から報酬のダイヤを回収するが、途端にパトカーが通りかかり、警邏中の警官ランス(ライアン・クワンテン)とミゲル(ジョン・ベドヤ)にホールドアップされダイヤは奪われる。

 護送中の車内で二人がろくでもない不良警官だと悟ったサンチェスは二人にどちらかを裏切って金を持ち逃げしようと仲たがいをさせようとする。後部座席で隣にいるランスを煽るがその態度に短気なランスはブチ切れ、射殺されるサンチェス。それをきっかけに二人は言い争いをはじめ、ミゲルは殺される。ランスは隠れ家にいる恋人レナータと会いダイヤを売って逃げようといい、逃亡のためのパスポートはデル・フランコにいるアラニヤ(蜘蛛)という男が用意してくれると。

 殺しと殺しが連鎖する序盤の展開はそれなりに凝っていますが、それぞれの関係性がよくわからない。まあ後になればすべてわかるようになってるんでしょう。

 すると隠れ家にレナータのクレイジーサイコレズな恋人、役名は「めっちゃ悪い女」(笑)がやってきて手下のオソ(ユスフ・タンガリフェ)とともに逃げようとする二人を銃撃。ランスは連中を引き付けてレナータを逃がす。ダイヤとともに無事デル・フランコまで逃れたレナータはフロントで居眠りしているジョンを叩き起こし、ホテルでアラニヤを待つことに。

 なんだかんだあってベッドインした(なんでよ)二人だが、めっちゃ悪い女とオソがレナータを追って姿を見せる。ジョンは一計を案じてめっちゃ悪い女をレナータが泊っている部屋まで案内し、別室にいるレナータに「裏口から出て正面からホテルに入ってこい」と指示。

 言われた通りに戻って来たレナータをめっちゃ悪い女が待つ部屋に行く間、オソに毒入りの酒を飲ませて殺害。二人の女の争いに割って入り、隙を見てレナータは女を刺し殺す。ここまで来たらアラニヤはジョンのことだと誰でもわかるんだけど(もっと早く気づけ)、フロントに黒人とラテン系の男がやってきて・・・冒頭の話に戻るわけ。二人は組織の殺し屋で裏切者のフランコとアラニヤを始末するためにやってきたのだった。


 これ、どういう話かというとフランコとジョンはある組織の兵士で、人身売買にも関わっていた組織は捜査の手が伸びたために商品だった未成年の少女たちを消せと命令されたがフランコとジョンは情が移り、密かに少女たちを逃がすことにしたがそれを知った組織はサンチェスに命じて逃亡した少女たちを焼き殺した。

 だがたった一人だけ助け出すことに成功し、フランコはその少女を自分の娘として育てた。デル・フランコで。フランコとジョンは娘の成長を見守ったが反抗期の娘はチンピラと付き合ったことでヤクの売人にされた挙句、不良警官のランスとミゲルの食い物にされ、最後は暴行された上、身体をバラバラにされて遺棄された。復讐を誓ったフランコだがランスらに返り討ちに。一人残されたジョンはランスとミゲルサンチェス組織のボス「めっちゃ悪い女」を殺すことに・・・ってそういう話だったのか・・・

 伏線の張り方が雑なので全然わからなかったよ!「殺しの連鎖」はすべてケイジが巧妙に仕掛けたピタゴラスイッチだったとわかるんですが、ランス・ミゲルとサンチェスが殺し合いになるところは予測が難しいんじゃない?生き残ったのがミゲルだったらどうするのか、そもそもサンチェスが二人を抱き込むのに成功したら?めっちゃ悪い女がレナータを殺してたら?ケイジの計画は割と雑!

 一見、誰が主人公なのかわかりにくい構成(裏のメインであるフランコはすでに死んでるし)で、すべてケイジの手のひらで動かされてるというあたりはケイジの会社サターン・フィルムズで制作されてるだけはあるわな。いつものケイジによるケイジの映画ってわけ!(ケイジの吹き替えは予算の都合からかフィックスの大塚明夫じゃなくて速水奨なのは拾い物)

 

 最後にはもうひとひねりあって、最初に出てきた老殺し屋マーカスがまだ生きていた!彼はサンチェスが少女らを焼き殺すのを黙ってみていた(積極的に止めなかった)、ショックで実娘をまともに見ることができず5年も顔を会わせなかった・・・って、あんたも組織の一員かよ!冒頭に出てきたあんたのことはすっかり忘れてたよ!

 

 よくあるどんでん返しのためのどんでん返し映画本当に意味ないですねって感じ。少女の死にショック受けてた人が殺しのために娼婦の少女をほぼ道具として扱って見殺しにしてるの、理解できないんだが。

 

 

2024年7月告知

7月予定

 

7月15日(月)

『マンデーナイトアワーズ』

場所:アワーズルーム

開演:20:00  料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 オートリーヌ しばりやトーマス

 

7月16日(火)

『旧シネマパラダイス』
会場:アワーズルーム 
開演:20:00  料金:¥500+1d別
解説:しばりやトーマス

カルトを研究する若人の会。

ラップで夢を掴む若者の映画。

 

7月20日(土)

『アイドル十戒 キングダム3』

場所:アワーズルーム

開演:19:00  料金:¥1500(1d別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

アイドルとか声優の希望についての話

モテないやつらの慟哭

 

7月23日(火)

『スーパーヒーロートーク』

場所:なんば紅鶴 

開場:21:15

料金:¥1500(1d別)

出演:にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

ニチアサ系のイベントの報告会。

 

7月25日(木)

『僕の宗教へようこそ だいすき!アニメ』

場所:なんば白鯨

開演:19:00 料金:¥1000+1D別

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

ぼざろ総集編、春・夏アニメの話。リバイバルブームについて物申す会

 

7月30日(火)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30 ¥500+1d別

解説:しばりやトーマス

※終了後にYouTube収録アリ

 

深夜の映画番組風の映画研究会。狂気のバイオレンス復讐劇を大研究。

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