今回の【駅】シリーズは、
京都府京都市西京区北端部の山奥、保津川(桂川)が織りなす峡谷に位置するトロッコ列車・嵯峨野観光鉄道線の駅で、山陰本線旧線の駅を一部改造して使用している、
トロッコ保津峡駅 (とろっこほづきょうえき。Torokko Hozukyo Station) です。
尚、山陰本線【嵯峨野線】の保津峡駅は1kmほど離れており、乗換駅にはなっていません。
駅名
トロッコ保津峡駅 (駅番号なし)
所在地
京都府京都市西京区
乗車可能路線
嵯峨野観光鉄道:嵯峨野観光鉄道線
隣の駅
トロッコ嵯峨方……トロッコ嵐山駅
トロッコ亀岡方……トロッコ亀岡駅
訪問・撮影時
2021年3月
駅概要
駅形態……………地平駅(トロッコ駅としては1991年開業)。
駅舎………………なし。
出入口……………北側のみ。南は山です。すぐ北に保津川を渡る鵜飼橋あり。
バリアフリー……×(駅への進入路は階段のみ)。
点字ブロック……ホームのみに設置。
駅前広場…………×(自動車でのアクセス不可。近くを走るバス路線無し)。
トロッコ保津峡駅は保津川(桂川)の南岸(京都市西京区)にありますが、現状、駅へは対岸の北岸(京都市右京区)からしかアクセスできません。
保津川北岸を通る府道50号線(この狭さでも府道ですw)から左前方へ下る道がトロッコ保津峡駅へと繋がる通路です。
ここを下って、左の崖下を流れる保津川を渡ればトロッコ保津峡駅に着きます。
通路出入口の左脇には、トロッコ列車の時刻表が掲載された嵯峨野観光鉄道の看板が設置されています。
また、府道50号線をこのまま直進すると、1km少々で山陰本線【嵯峨野線】の保津峡駅に到達します。
一応、乗換は可能ですが、現実的ではありません。
写真は南西を望む。
出入口より北東を望む。前後方向の道路は府道50号線です。
保津川を境に北側が右京区、南側が西京区ですが、駅周辺はひたすら山で、民家は一切見られません。
ちなみに府道50号をそのまま直進すると、トロッコ嵐山駅まで約4.4km、トロッコ嵯峨駅・嵯峨嵐山駅まで約5kmの道のりです。
ハイキングには丁度いい距離ですが、この府道50号は道幅が狭く、案外多くの自動車が通行しますので、注意が必要です。
府道から分かれて坂を下ると、写真の地点に到達します。南西を望む。
ここを左へ曲がれば保津川を渡る鵜飼橋ですが、曲がる地点には売店跡らしきものがあります。
なぜか生活感があるのが気になりますが、住人がいるかもしれません。
ちなみに売店跡に残っていたコカ・コーラのフラッグに書いてあったキャッチコピー「つながる瞬間に。」を調べると、2005年のものと判明しました。
訪問は2021年だったため、既に営業していないと思われますが、少なくとも2005年には営業していたと思われます。
もしかしたら、繁忙期には臨時営業しているかもしれませんが…。
売店跡を通過すると、いよいよ保津川を渡ります。南東を望む。
この鵜飼橋(読みは「うこうはし」)は吊橋で、下は板張りです。少々スリルを味わえるかもしれませんw
渡った先の右手にトロッコ保津峡駅の待合室が見えます。
鵜飼橋より撮影。こちらは保津川の下流方です。北東を望む。右がトロッコ保津峡駅方面です。
この辺りの保津川は急流で、岩だらけです。保津川下りの船(当然有料)で保津峡の景色を楽しむことも可能です。
鵜飼橋より撮影。こちらは保津川の上流方です。南西を望む。左がトロッコ保津峡駅方面です。
この写真では分かりづらいですが、奥には山陰本線現在線の築堤と保津峡駅ホームが目視できます。
保津川を渡り終え、右へ曲がって階段を上がるとトロッコ保津峡駅に到達します。
山陰本線時代は正面にトンネルがあり、下り線ホームに通じていたと思われますが、現在は閉鎖されています。末期は跨線橋に取って代わられたかもしれません。
上写真は南東を、下写真は南西を望む。
階段上にある駅舎のように思える建物は待合室ですが、駅舎であるとも言えます。
尚、トロッコ保津峡駅はバリアフリー非対応です。
待合室(駅舎)です。南西を望む。
木造で、扉が無いセミオープン構造です。雨はしのげますが、寒さはしのげません。まぁ、冬季はトロッコ列車を運行しないので問題ありませんが。
内部にはベンチと双眼鏡がありますが、訪問時は双眼鏡が利用できませんでした。
また、トロッコ保津峡駅は無人駅で、改札設備は一切ありません。
乗車時は車掌に申し出てきっぷを購入して下さい。満席の場合は立席になると思われます。
そして左の階段を登るとホームに到達します。
こちらは駅から府道50号へ向かうルートを撮影。
保津川の対岸には本当に何もありません。
ホームより待合室を望む。段差があります。
待合室のホーム側出入口上には、「近畿の駅百選」の認定プレートが飾られています。
建植式駅名標です。非電照式です。
木製で、枠組みは丸太です。
見やすいように白文字になっていて、書体はナールでしょうか?
尚、嵯峨野観光鉄道線には駅ナンバリングが導入されていません。
駅構造……地平駅。北東~南西方向。
配線………単式ホーム1面1線。
番線は設定されておらず、下りトロッコ亀岡方面、上りトロッコ嵯峨方面とも同じホームに発着します。山奥で方向感覚が分かりづらく、列車に行先表示や方向幕がありませんので、乗り間違えないよう注意が必要です。
ホーム有効長……約75m。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………旧駅のホームが狭かったため、旧1番線の線路敷を利用して拡幅しています。
上屋(屋根)………ありません。雨天時は傘が必要です。
ホーム上設備……ベンチ。他にモニュメントや信楽焼の置物などがあります。
ホーム中ほど辺りに待合室(駅舎)があり、そこが出入口になっています。
また、ホームのトロッコ嵯峨方(手前側)には旧線時代から使用されている跨線橋があり、今も渡ることが可能で、反対側の旧下り線ホームに国鉄時代から設置されている便所まで行くことができます。ちなみに便所は男女共用の汲取り式と思われますが、バキュームカーがどのようにして入るのか、気になります…。
上写真は跨線橋より、下写真はホーム上より、いずれもトロッコ亀岡方を望む。
こちらはトロッコ嵯峨方を望む。
1線を潰しているので、ホーム幅が非常に広くなっています(旧ホームは左端の一部分で、幅が狭かったです)。
また、線路両側にホームがありますが、右側の旧線2番線ホームは使用されていません。
トロッコ保津峡駅は保津川の谷の断崖にあるため、崖下を流れる保津川がホームからよく見えます。
また、トロッコ保津峡駅は旧・保津峡駅跡を最小限の改良にとどめたため、所々に旧駅の以降が残っています。
こちらは駅出入口から旧上り線ホームへの階段跡です。トロッコ亀岡方(幡生方)を望む。
旧下り線ホームにある小屋です。明らかに古いです。倉庫だったのでしょうか?
旧下り線ホームにある便所です。国鉄時代からのものと思われ、今も現役です。
跨線橋から便所までは旧下り線ホームを歩くことができます。
トロッコ嵯峨方を望む。ホーム端に跨線橋があり、これも国鉄時代からのモノです。
嵯峨野観光鉄道線は非電化単線となっています。
この先、清滝トンネルに入り、右へカーブしながら走ります。トンネルを出ると保津川を渡り、右京区に入りますが、嵯峨野観光鉄道線が保津川を渡るのはこの一度きりです。その後は右手に保津川の渓谷を見ながら南東へ走りますが、途中で嵯峨野線の橋梁をくぐります。その後は東寄りに進路を変え、なおも保津川沿いを走りますが、やがて右手に「星のや京都」が見えてくるとトンネルに入って保津川(桂川)と別れ、トンネルを出るとトロッコ嵐山駅へと至ります。
トロッコ亀岡方を望む。ホーム端の先まで旧下り線ホームが延びています。
そして、嵯峨野観光鉄道線ホーム端の先は、旧上り線の線路敷です。
この先、右手を流れる保津川に沿って南西へ走ると右前方に嵯峨野線の保津峡駅が見えてきます。その後、JR線をくぐる形でトンネルに入り、トンネルを出ても右手に保津川を見ながら走り続けます。やがて亀岡市に入ると進路を西寄りに変え、蛇行する保津川をショートカットする形で朝日トンネルをくぐり抜けます。その後は再び右手に保津川を見ながら走るようになり、北へ進路を変えると嵯峨野線の橋梁をくぐります。その後、大きく左へカーブして進路を南西に変えます。そしてトロッコ嵐山駅から続いていた山間部が急に終わりを告げ、田園風景が広がる亀岡盆地に入ると左から嵯峨野線が寄り添い、終点のトロッコ亀岡駅へと至ります。JR線に駅は設けられておらず、JR線との乗換は約500m先にある馬堀駅まで移動する事になります。
あとがき
下車(乗車)時・・・2021年
国鉄~JR時代は相対式ホーム2面2線でしたが、観光鉄道化に際して棒線化されて1面1線となり、駅出入口側の線路を撤去の上で線路敷をホーム拡張用スペースに転用しています。駅舎はありませんが、待合室が設置されています。駅は保津川のほとりにあり、駅の目の前に保津川を渡る吊橋があります。駅周辺は山だらけで民家が存在せず、トロッコ保津峡駅はハイキング客などの利用にとどまっていると思われます。
鉄路のみで(ルートは一例です。嵯峨野観光鉄道線は事前の乗車券購入をお勧めします)
東京から・・・当日中に到達可能、日帰り往復可能。
新幹線~京都から嵯峨野線~嵯峨嵐山/トロッコ嵯峨から嵯峨野観光鉄道線。
大阪から・・・当日中に到達可能、日帰り往復可能。JR京都線~京都から同上。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・なし
飲食チェーン店・・・なし
東京からの到達難易度もさほど高くありません。嵯峨野観光鉄道線を乗り鉄の際は、ぜひ一度はトロッコ保津峡駅でも途中下車してみて下さい!
(参考:嵯峨野観光鉄道のHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)