八東駅【鳥取県】(若桜鉄道若桜線。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
鳥取県東部、八頭町中央部の八東川流域に広がる山あいの住宅地に位置する若桜鉄道若桜線の駅で、貨物ホームが残存していて、そこに車掌車や排雪モーターカーが静態保存されている微妙な難読駅、
八東駅 (はっとうえき。HATTO Station) です。
 
 
駅名  
八東駅 (駅番号なし) 
 
所在地    
鳥取県八頭郡八頭町 (旧・八東町)  
 
乗車可能路線  
若桜鉄道:若桜線  
 
隣の駅  
郡家方……安部駅  
若桜方……徳丸駅   
 
訪問・撮影時  
2021年4月  
 
 

 

八東駅は地平駅で、若桜方(東)の南側に駅舎があります。
北側に駅舎や出入口はありません。約300m西または約330m東にある踏切を渡って南側へ回る必要があります。
1930年(昭和5年)の開業時に完成した木造駅舎が改修されながら今も現役で使用されています。冬季は積雪に見舞われるため、トタン屋根になっています。
出入口に段差はなく、ホームとの高低差はスロープで結ばれているため、八東駅はバリアフリーに対応しています。ちなみに駅舎に点字ブロックは未設置ですが、後述の西口に点字ブロックが設置されています。
駅舎の右側には男女別の公衆トイレが設置されています。車いす対応トイレが併設されているかどうかは不明です。
駅前広場はありませんが、駅舎とトイレの前に歩行者用のやや広いスペースがあります。
上写真左前方には無料駐輪場と飲料自動販売機が設置されています。
駅前や駅近くを走行するバス路線は存在しません。
写真は北を望む。
 
 

駅舎の約30m西には直接1番線上り郡家方面ホームに出入り可能な出入口(以下:西口)があります。
点字ブロック設置でスロープ状になっているため、バリアフリー通路として機能しています。
また、視覚障がい者や車いす利用者が2番線下り若桜方面ホームへ向かうには、駅舎を経由するより西口から1番線を経由して構内踏切を渡った方が便利です。
西口の左側には旧貨物ホームがあり、ホーム跡には復元された貨物上屋があります。
写真は北西を望む。
 
 

駅前です。駅舎前より南を望む。
南へ向けて駅前通りが整備されています。この地域は冬期に積雪が見られるため、路面には消雪パイプ(融雪装置)が設置されています。
駅前は住宅地で、約50m南の突き当たりを左右方向に延びる県道153号線沿い(主に東側)にかけて集落が延びています。商店は少ないです。
県道より南側には田畑が広がっていますが、すぐ近くまで山並みが迫ってきています。
 
 

構内踏切より駅北側を望む。
駅北側は駅裏で田畑が見られますが、案外住宅も多いです。商店は南側より少ないです。
写真奥(約200m北)を千代川の支流である八東川が東から西へ流れています。八東川の対岸(北側)は国道29号線が並行していますが、山地になっています。
尚、八東駅は簡易委託駅で、駅で改札は行わないのですが、北側に出入口がありません。線路に並行して側道が通っているので、構内踏切から側道まで通路を造って北口を開設すれば駅北側からの利便性が大幅に向上すると思うのですが…。
 
 

 

駅舎内の様子です。上写真は北を、下写真は北西を望む。
昔ながらの雰囲気が強く残っています。
駅舎を出た左側に木製の改札ラッチがありますが、八東駅は簡易委託駅で、係員はきっぷの販売だけを行うため、当駅で改札・集札は実施されません。改札口は広幅で車いす通行可能ですが、点字ブロックはありません(西口をご利用下さい)。
改札口手前左側には窓口があり、きっぷの委託販売が行われていますが、営業している時間は短いようです。窓口の営業時間外などできっぷを購入できない場合、若桜鉄道は車内収受方式なので、乗車時は整理券を受け取り、降車時は運賃箱に運賃を投入します。車掌がいる場合は車掌に運賃を支払います。『ICOCA』などのICカードは利用できません。フリーきっぷは乗車後、運転士または車掌よりお買い求め下さい。
ちなみに自動券売機は設置されていません。
右側は待合室として使用されていて、壁際にはベンチが設置されています。天井には冬期に使用していたストーブの煙突接続部が残っていましたが、最近の航空写真を見ると屋根の煙突部分が塞がれているので、現在はストーブを使用していないかもしれません。改札口の上には時刻表や運賃表(郡家経由のJR近隣駅を含む)が掲示されています。
改札口の先は上り1番線郡家方面ホームですが、段差があるため、改札を通ってほぼ正面にある階段または左へ延びるスロープを利用する事になります。下り2番線若桜方面ホームも途中まで同様のルートですが、1番線東端部にある構内踏切を渡らなければなりません。結果として八東駅はバリアフリーに対応していますが、車いす利用者や視覚障がい者にとっては使いづらい駅かもしれません。
公衆トイレは改札内外から出入可能です(車いすの場合は改札外からしか出入りできません)。
ちなみに駅前に売店、コンビニはありません。2km圏内にコンビニ自体が存在しません。
 
 

改札口前(改札内)より西(郡家方)を望む。左手に駅舎・改札口があります。
右手に郡家方面上り1番線ホームがあり、右側の階段または正面のスロープでアクセスする形になります。
スロープを登った先で前述の西口出入口と合流し、右へ曲がれば1番線に到達します。
階段ルートは一旦右後方の構内踏切前に出てから、さらに右に写っているスロープを登れば1番線に到達します。
一方、若桜方面下り2番線ホームは階段ルートの場合、途中で構内踏切を渡ってスロープを登れば到達できますが、車いすの場合は1番線に出てから東へ移動し、スロープを下って構内踏切を渡るルートになり、かなり遠回りになります。
 
 

2番線に設置されている建植式駅名標です。電照式ではありません。
見事に国鉄タイプを再現したデザインです。文字は手書きではなく、定型の書体を使用しています。
若桜鉄道線に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

 

 

八東駅は相対式ホーム2面2線の地平構造で、東西方向にホームが延びています。
元は1面1線でしたが、2020年に輸送力増強のため当駅に交換設備が新設され、2面2線になりました。
左ホーム(南)が従来から存在していたホームで、現在は1番線として上り郡家方面・因美線直通鳥取方面列車が発着します。
右ホーム(北)は2020年に新設されたもので、2番線として下り若桜方面列車が発着します。
1番線郡家方の南側(各写真左奥)には貨物ホーム跡があり、保存されています(後述)。
ホーム有効長は各番線とも3両分です(1番線は4両弱分あります)。ホーム幅ですが、1番線は標準レベルですが2番線は狭いです。
上屋は全く設置されていません。1番線は待合室の庇(ひさし)である程度雨が防げますが、2番線は完全に雨ざらしです。雨天時の乗降は要注意です。
1番線には待合室があり、出入口前と内部にベンチがあります。2番線はベンチすらありません。
各番線の若桜方の端(手前側)には構内踏切があり、両ホームを結んでいます。
1番線若桜方の端(左手前)に駅舎があり、1番線中ほど若桜寄りに西口出入口があります。
 
上写真は構内踏切より、中写真は2番線より、下写真は1番線より、いずれも郡家方を望む。
 
 

 

2枚とも1番線より若桜方を望む。
右の古いホームが上り1番線で、左の新しいホームが下り2番線です。
1番線の右側には貨物設備跡が保存されています。
 
 

こちらは1番線郡家寄りに設置されている待合室です。郡家方を望む。
1954年(昭和29年)完成の年代物で、当然、空調などありません。
出入口部分と内部にベンチが設置されています。
 
 

 

 

1番線郡家方の南側には切欠構造の貨物ホームがありましたが、貨物営業廃止後も解体されずに残っていましたが荒廃していたようです。
そして近年になって少しずつ復元され(線路の再敷設、ワフ35000形有蓋緩急車(ワフ35597)の搬入・静態保存、貨車の説明看板の設置、貨物上屋の復元)、往時の姿が再現されています。2022年には2020年3月に閉園した加悦SL広場から富士重工業製TMC100BS形排雪モーターカーが搬入され、静態保存されているそうです(一部Wikipediaの本文を引用)。
1番線は片面ホームで、貨物の取扱いは南側の貨物専用ホームで行われていたようです。
また、貨物側線は若桜方の駅舎前で行き止まりになっており、車止めの先を現在は西口出入口の通路が横切っています。
上1枚は若桜方を、下2枚は郡家方を望む。
 
 

1番線より郡家方を望む。
2番線にも出発信号機があるため、2番線から郡家方面への発車が可能です。一方、1番線の若桜方にも出発信号機があるため、八東駅では1番線、2番線とも双方向の列車の到着・発車および折り返しが可能な構造になっています。
この先、住宅が混在した農村風景の中を西へ走ると右へカーブして、右から迫る八東川と左から迫る県道153号線および山並みに沿って狭い平地をひたすら北西へ走るとやがて左側の山並みが一旦遠ざかり、安部駅へと至ります。
 
 

2番線より若桜方を望む。
各ホーム端に構内踏切があり、右の1番線側に駅舎があります。
この先、住宅と田園が混在した風景の中をしばらく東へ走るとやがて住宅が途切れて広々とした田園風景の中を走るようになります。その後は左へカーブして進路を東北東に変え、築堤へと上がると八東川を渡ります。そして下り勾配になり、右手にJAの施設を、左手に田園を見ながら大きく右へカーブすると地平区間に戻り、踏切を通過して進路を東南東に変えると徳丸駅へと至ります。
 
 
あとがき  
私が八東駅で下車(乗車)したのは2021年の1度きりです。若桜鉄道を乗り鉄・降り鉄した際に利用しました。2面2線の駅で、2020年に棒線駅から拡張されています。南側には木造駅舎と貨物ホーム跡があり、貨物側線跡には緩急車(車掌車)とモーターカーが静態保存されています。駅前には昔ながらの集落が広がっています。
  
東京からですと東海道・山陽新幹線で姫路駅まで行き、智頭急行線直通の特急『スーパーはくと』に乗り換えて郡家駅で下車。そして若桜鉄道若桜線に乗り換えて当駅で下車です。岡山経由で『スーパーいなば』に乗り継ぐルートもあります。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:6時間半弱)。
一方、大阪からですと大阪駅から特急『スーパーはくと』に乗車して郡家駅で下車。若桜線に乗り換えて当駅下車です。こちらも岡山経由の方が早いケースがあります。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:約9時間半弱)。
  
食料・飲料について、駅前や駅近くにコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店はありません。必ず事前に用意して下さい。
 
東京からの到達難易度は高いですが、若桜鉄道若桜線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は八東駅でも途中下車してみて下さい!
 
(参考:若桜鉄道のHP、Google地図、Wikipedia)