今回の【駅】コーナーは、
兵庫県小野市北西端近くの田園地帯に位置する加古川線の駅で、西側丘陵地にある陸上自衛隊青野原演習場・陸上自衛隊青野原駐屯地への最寄駅であり、戦時中は旧陸軍青野原演習場への物資輸送の中継点になっていた、
青野ケ原駅 (あおのがはらえき。Aonogahara Station) です。
駅名
青野ケ原駅 (駅番号なし)
所在地
兵庫県小野市
乗車可能路線
JR西日本：加古川線
隣の駅
加古川方……河合西駅
谷川方………社町駅
訪問・撮影時
2018年3月
青野ケ原駅は地平駅で、東側に駅舎・改札口があります。
西側からは約150m南または約300m北にある踏切を渡って東側へ回る必要があります。
駅舎は長らく木造の古いものが使用されていましたが、2004年の加古川線電化に際して小野市内にある他の4駅とともに改築されました。新駅舎は「ぽっぽ AONOGAHARA」というコミュニティホール(事実上の待合室)を併設していて(その結果、小野市による改築が可能になったと思われます)、改札がある中央通路を境に左がコミュニティホール、右がトイレ・車いす対応トイレという構成なっています。
駅舎出入口には段差がなく、また駅舎～ホーム間も段差がスロープで解消されていて、さらに点字ブロックも駅舎出入口～ホーム間において整備されているため、青野ケ原駅はバリアフリーに対応しています。
駅舎出入口前には郵便ポストが、右側の駅舎外には電話ボックスと飲料自動販売機が設置されています。
そして、青野ケ原駅に正式な駅前広場はありませんが、駅舎手前や左右にやや広いスペースがあり、自動車送迎用の一時駐車スペースが確保されています(長時間駐車はできません)。
上写真は北西を、下写真は西を望む。
こちらは駅南側です。右が駅舎です。
前方右の線路沿いには無料駐輪場があり、その奥に公園も設けられています。写真左前方、公園横の道路上にはバス停留所が設けられています(駅出入口から約60m南)。
駅前です。東を望む。左後方に駅舎があります。
東側は集落が形成されていて、住宅が建ち並んでいますが、商店は見られません。中小の工場が比較的多く見られます。
駅から離れると田園風景が広がっています。
また、1kmほど東を加古川が南へ流れていて、橋を渡った対岸は加東市(旧・加東郡社町)大門地区の集落です。大門地区は加古川の水運の要所として栄えたそうですが、おそらく現・加古川線の開業により衰退したものと思われます。ちなみに青野ケ原駅は開業当初、この大門地区が由来の「大門口駅」「播鉄大門駅」を名乗っていました。
一方、「駅裏」に相当する駅西側は民家が少なく、田園風景が広がっています。
約400m西に小野八ヶ池自然公園があり、約1.4km西には土井病院があります。
そして、小野八ヶ池自然公園や土井病院の裏手の丘陵地一帯は陸上自衛隊青野原演習場になっており、演習場の北側に陸上自衛隊青野原駐屯地があります。これらの陸上自衛隊用地は広大で、西側は加西市に、駐屯地など北側は加東市に、それぞれまたがっています。
余談ですが、加西市にある鶉野飛行場跡は青野ヶ原駅から直線距離で約5.5km西、陸上自衛隊青野原演習場の中心からですと直線距離で約3.5km西にあります。しかし鶉野飛行場は海軍の施設だったため、陸軍の施設だった青野原演習場との関係は濃くなかったかもしれません。鶉野飛行場跡への最寄駅は青野ケ原駅ではなく、北条鉄道北条線・法華口駅です(駅から滑走路南端まで約1.6km、駅から鶉野飛行場跡資料館まで約2.5km)。
駅舎内(改札口)です。西を望む。後方が出入口、前方がホームです。
青野ケ原駅は無人駅で、ICカードを除き車内収受方式(車内精算方式)が採用されています。無人駅での使用を前提に改築されたため、窓口は設置されませんでした。
改札口に相当する通路は点字ブロック設置で、車いすが通行可能な幅ですが、改札ラッチや磁気券対応の自動改札機は存在しません。
通路右側には交通系ICカード『ICOCA』などに対応の簡易改札機(入場用)、通路左側にはICカードチャージに対応した簡易型自動券売機が設置されていて、改札内には出場用ICカード簡易改札機、きっぷ回収箱が設置されています。
下車時にICカード残額不足の場合は、簡易型自動券売機でチャージをしてから出場用簡易改札機にタッチして下さい。
尚、青野ヶ原駅は『ICOCA』のエリア内ですが、加古川線末端部の西脇市～谷川間は『ICOCA』のエリア外なので、西脇市駅より北の各駅へ行かれる場合は必ず乗車前に紙のきっぷを購入して下さい。もしICカードでエリア外の駅まで乗り越してしまうと、下車時に青野ケ原駅から下車駅までの全区間の運賃が現金精算になってしまいます。
トイレと車いす対応トイレは改札外右側に設置されています。但し、通常のトイレ(手前側)・車いす対応トイレ(奥側)とも男女共用で、車いす対応トイレは7:00～19:00しか利用できませんので注意が必要です。
また、改札外左側には「ぽっぽ AONOGAHARA」のコミュニティホールがありますが、事実上、待合室として機能しています。自治体(小野市)が駅舎改築の費用を負担するためにコミュニティホール併設の形を取ったと思われます。
そして改札口を通るとホームですが、2段の段差があります。階段(正面)とスロープ(左側)で繋がっており、バリアフリーに対応しています。
尚、駅および駅前に売店・コンビニはありません(駅前に商店なし)。1km圏内にコンビニが存在しませんので要注意です(駅舎前に飲料自動販売機はあります)。
こちらは駅舎内にある「ぽっぽ AONOGAHARA」のコミュニティホールです。南を望む。後方の左が出入口、右が改札口・ホームです。
洒落た感じのテーブルと椅子があり、冷暖房も完備でコミュニティホールの最低限の設備を有していますが、前述の通り実質的に待合室として機能しています。
但し、コミュニティホールであるが故、利用できるのは車いす対応トイレと同じく7:00～19:00までの間と思われます。
こちらはホームより改札口を撮影。東を望む。
改札口の左側に出場用ICカード簡易改札機、きっぷ回収箱(きっぷ・運賃箱)が設置されています。
尚、駅出入口、改札口とも扉がなく、冬は寒くなり、大雨の時は降り込んで来る可能性があります。
建植式駅名標です。電照式ではありませんが、反射材が使用されています。
JR西日本の標準デザインで、都市部のアーバンネットワーク区間と同じく横長のタイプです。但し、支柱の位置が両端ではなく、内に寄っています。
下部は加古川線のラインカラーである青緑に塗られています。
加古川線に駅ナンバリングは導入されていません。
通常型駅名標のすぐ左には、縦型の駅名標が併設されていますが、これは無駄で、縦型を撤去または双方の駅名標をもう少し離れた位置に設置できなかったのでしょうか？
青野ケ原駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、いわゆる棒線駅です。南南西～北北東方向にホームが延びています。
のりば番号は付与されておらず、下り西脇市・谷川方面、上り加古川方面とも同じホームに発着しますので、乗り間違いに注意が必要です。
ホーム有効長は4両分で、ほぼ全長にわたり電化を機に嵩上げされています。ホーム幅は全体的に結構狭いです。
上屋は、中ほどから谷川寄りに線路際まで届いていないものが計3ヶ所設置されています。両端は4m程度、駅舎に面した中央は10m程度で、中央の上屋下にはベンチが置かれています。
谷川寄りの中央上屋に面して駅舎・改札口が設けられています。ホーム上にはワンマン運転用の安全確認用ミラーも設置されています。
写真は2枚とも加古川方を望む。
こちらは3枚とも谷川方を望む。
左側(西)には線路敷跡とホーム跡があり、ホーム跡には桜などの木が生えています。
かつての青野ケ原駅は相対式ホーム2面2線の交換可能駅だったと思われ、棒線化されて久しいです。
さらに、ホーム跡の左側(外側)にも線路が存在した可能性があり、もしそうならば2面3線だったという事になります。
また、電化時に架線柱を線路跡に設置したため、交換設備の復活は事実上不可能になっています。
そして、加古川方ホーム端(上写真手前) には西側ホーム跡とを結んでいた構内踏切に通じていたと思われるスロープ跡が残っています。床面には「改札口えお回り下さい」(「へ」ではなく「え」ｗ)と書かれていましたが、国鉄時代に書かれたものと思われます。
あと、現行ホームの右側(東)には駅舎前で行き止まりの貨物側線が存在していた可能性があります。
2枚とも加古川方を望む。
ホーム端に西側ホーム跡と結ぶ構内踏切が存在したと思われます。
この先、右手遠方に陸上自衛隊青野原演習場がある丘陵地を見ながら、民家が点在する田園風景の中をひたすら南南西へ走ると、河合西駅へと至ります。
2枚とも谷川方を望む。
西側ホーム跡は谷川方にずれて配置されていました。
また、こちらも右側には谷川方から分岐して、駅舎前で行き止まりになる側線跡が存在していた可能性があります。
この先、左へカーブして田園風景の中を北上しますが、やがて左から丘陵地(皿山)が寄り添い、右から加古川が接近すると、一瞬だけ加古川を見ながら険しい場所を走ります。その後は加古川が遠ざかり、右へカーブしながら下り勾配でローカル風景の中を走り、加東市に変わるとやがて進路を北北東に戻します。そして最後は左側の丘陵地が後退し、国道372号線をくぐると社町駅(やしろちょうえき)へと至ります。
あとがき
私が青野ケ原駅で下車(乗車)したのは2018年の1度きりです。兵庫県の全駅を訪問する目的の一環で下車しました(2019年7月に全駅制覇済)。1面1線の棒線駅ですが、昔は2面2線の交換可能駅でした。東側に新しい駅舎がありますが、非電化時代は木造駅舎でした。駅前は東側に集落が形成されているものの、大半が田園地帯です。西側の丘陵地には陸上自衛隊青野ヶ原演習場と駐屯地があり、そのおかげで「青野ヶ原駅」と聞いてピンと来る方も多いかもしれません。
東京からですと東海道・山陽新幹線で西明石駅まで行き、JR神戸線の下り新快速または普通列車(行先不問)に乗り換えて加古川駅下車、さらに加古川線列車(西脇市行きor谷川行き)に乗り換えて当駅下車です。加古川線の本数が少ないので事前に時刻を確認して下さい。じゅうぶん日帰り訪問可能です。
一方、大阪からですと大阪駅からJR神戸線の下り新快速に乗車して加古川駅まで行き、加古川線列車に乗り換えて当駅下車です。また、時間はかかりますが、2駅手前の粟生駅までは大阪梅田駅から阪急or阪神で新開地駅まで行き、神戸電鉄に乗り継ぐルートも面白いです。余裕で日帰り訪問可能です。
食料・飲料について、駅前にコンビニや気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。必ず事前に用意して下さい。
東京からの到達難易度はやや高いですが、加古川線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は青野ケ原駅でも途中下車してみて下さい！
(参考：JR西日本のHP、Google地図、Wikipedia)