下里駅【和歌山県】(紀勢本線【きのくに線】。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
和歌山県の紀伊半島東海岸、那智勝浦町南部の熊野灘からやや内陸に入った住宅地に位置する紀勢本線【愛称:きのくに線】の駅で、開業当初からの駅舎が改修されつつ今も使用されている、
下里駅 (しもさとえき。Shimosato Station) です。
 
  
駅名  
下里駅 (駅番号なし) 
 
所在地  
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町  
 
乗車可能路線  
JR西日本:紀勢本線 【愛称:きのくに線】  
 
隣の駅  
新宮方・亀山方……………太地駅   
和歌山方・和歌山市方……紀伊浦神駅  
 
訪問・撮影時  
2021年3月
 
 

 

下里駅は地平駅で、東側(海側)に木造駅舎があります。当記事では駅舎側を東口とします。
西側にも出入口がありますが、西側に駅舎はありません(後述)。
尚、東西とも出入口に段差があるため、下里駅はバリアフリー非対応です。車いすで下里駅をご利用の場合は事前にJR西日本へお問い合わせ下さい。
 
写真は駅舎がある東口です。2枚とも概ね西方向を望む。
1935年(昭和10年)7月の開業時よりこの木造駅舎を改修しながら継続使用しています。
旅客が入れるのは右側のスペースのみで、左側の駅事務室部分は無人駅のため閉鎖されています。
出入口には段差(1段)があります。出入口前には電話ボックスがあります。
駅舎の右側には汲み取り式の便所があります(多機能トイレなし)。
東口には小さいながらも駅前広場が設けられていますが、バス停留所はありません。
最寄りのバス停は約200m南東の県道239号線沿いに設置されています。
また、駅舎を通り抜けてホームの跨線橋を渡ると西口へ抜けられます。下里駅は無人駅なので駅構内が事実上の東西自由通路にもなっています(但し、バリアフリー非対応)。
 
 

東口駅前です。南東を望む。後方に駅舎があります。
駅周辺は住宅地で、南側にかけて比較的大きな集落が形成されています。それもそのはず、1960年以前の駅周辺は下里町(しもざとちょう)という独立した自治体でしたが、1960年に那智勝浦町に編入されて現在に至ります。また、下里地区は南側を流れる太田川により形成された平地で、紀勢本線南紀地区の駅にしては珍しく、駅のすぐ近くに山がありません。
下里集落は約600m南を流れる太田川の対岸まで広がっています。
ちなみに、駅の東側や南側には商店が少ないです。北東側には田園も広がっています。
また、太平洋(熊野灘)は最短でも駅から約1kmと、少々離れています。
 
 

東口駅舎内の様子です。出入口より西方向を望む。
以前の下里駅は有人駅でしたが、1985年に無人化されました。前方のホーム側出入口にあった改札ラッチは撤去されていて、ホーム側にきっぷ回収箱が置かれているのみです。
左側にあったと思われる窓口は閉鎖され、こちらも存在したと思われる手荷物台は撤去されています。
駅舎内にはベンチ(右側の窓際)と時刻表・運賃表、津波避難ルート図があるのみで自動券売機は存在しません。運賃は乗車時に整理券を受け取り、下車時または下車駅でお支払い下さい。また、下里駅では『ICOCA』などのICカードが利用可能ですが、IC処理やチャージも車両側で行う事になります。ちなみにICカードは新宮駅より東側のJR東海区間では利用できませんので要注意です。
トイレは駅舎を出て北側にある設備をご利用下さい(多機能トイレはありません)。
また、駅構内に売店・コンビニはありませんが、西口の約400m北の国道42号沿いにコンビニ「ローソン」があり、その少し先には「ファミリーマート」もあります。徒歩圏内にあるので助かります。
そして、駅舎を出ると正面は下り紀伊田辺方面1番のりばです。駅舎内と1番のりばの間に段差はありません。
1番のりばに出て右へ曲がると跨線橋があり、渡ると上り新宮方面2番のりばおよび西口に到達します。但し、跨線橋は階段しか設置されていないため、バリアフリー非対応です。
 
 

こちらは西口です。東方向を望む。
階段のみの出入口で、バリアフリー非対応です。駅舎も存在せず、階段を登ると2番のりばです。改札設備は全くありません(きっぷ回収箱もありません)。
2番のりばに出て左へ曲がると跨線橋があり、渡ると1番のりばおよび東口に到達します。
出入口前は草むらで、さらに手前の道路との間には溝があります。通行の際はご注意下さい。
そもそも以前はこの出入口が存在しなかったと思われ、駅西側からのアクセスは南北にある踏切へ迂回するか、不正にフェンスを越えて2番のりばに入るかの2択だったと思われます。それが近年になって正式に西口を設置する運びになり、ホームのフェンスを撤去して、階段を設置したと思われます。まぁ、これにより西側からの駅へのアクセスが大幅に向上しました。
また、手前の草むらには以前、専用線(貨物線)があったと思われます。貨物輸送が廃止になり、専用線も撤去されたため、西口がスンナリと設置できたと思われます。
尚、西口には駅前広場がありません。約200m南西の県道235号線沿いにバス停が設置されています。
 
 

西口駅前です。北を望む。後方に階段があります。
駅の北側や西側にも住宅はありますが、東口側ほどは多くありません。近くまで山並みが迫っています。
但し、西側を南北方向に延びる国道42号沿いには公共機関をはじめ、コンビニ、ホームセンターなどの商店も点在しています。
ちなみに奥に見えるのは竜蔵寺で、その裏には那智勝浦町立下里中学校があります。
また、右手にあるダイワエネルギー勝浦営業所の場所はかつて出光興産の事業所があり、下里駅から専用線が延びていました。国鉄時代に専用線は廃止された模様です。
 
 

下り1番のりばに設置されている建植式の駅名標です。ボロボロです…。
電照式ではありませんが、反射板を使用しています。
JR西日本の標準デザインで、下部はJR西日本のコーポレートカラーである青に塗られています。
下里駅に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

 

下里駅は相対式ホーム2面2線の地平構造で、北北東~南南西方向にホームが延びています。
左(東。海側)が1番のりばで下り紀伊田辺・和歌山・和歌山市方面、右(西。山側)が2番のりばで上り新宮・亀山方面です。
1番のりばから見て2番のりばは和歌山市方(奥)にずれています。
ホーム有効長は1番のりばが5両分(20m車ギリギリ6両分)、2番のりばが4両分ですが、1番のりばの亀山方の約1.5両分(後方)は柵により立入禁止になっています。
両のりばともホーム幅は狭いです。
上屋は設置されておらず、1番のりばは駅舎の屋根、2番のりばは待合室の屋根があるものの線路際まで届いていません。雨天時に乗降される際は傘が必要です。
2番のりばには屋根付きの待合所があり、ベンチが置かれています。1番のりばにベンチはありませんが、駅舎内のベンチを利用可能です。
1番のりばに面して駅舎があります。亀山寄り(手前側)には両ホームを結ぶ跨線橋があります(階段のみ)。2番のりばの跨線橋前には西口があります。
また、1番のりばの跨線橋手前(亀山方)には機器室があります。
写真は2枚とも1番のりばより和歌山市方を望む。
 
 

  

上写真は2番のりばより、下写真は1番のりばより、いずれも新宮方・亀山方を望む。右が1番のりば、左が2番のりばです。
1番のりばの駅舎側(右)には貨物側線跡が残っています。2線あり、現在は保線用で使用されていると思われます。
かつてはここで貨物の取扱が行われていたのでしょうね。
 
 

 

また、2番のりばの西側には以前、専用線が存在していました。
もしかしたら2番のりばは島式ホームだったかも……と思って現地で調べましたが、ホームは単式(相対式)だったと思われ、ホームの裏に側線が延びていた形と思われます。
2番ホームとを隔てるフェンスに沿って線路が延びており、線路敷は更地になっています。草刈りも行われています。そのため、現在も廃線跡を確認できます。
また、西口から出入りする場合は、専用線跡を横切る形になります(下写真)。
上写真は和歌山市方を、下写真は亀山方を望む。
下写真の亀山方で線路が右(本線側。スイッチバックして本線に合流していた可能性あり)と左(ダイワエネルギー勝浦営業所方面)に分岐していて、左前方のダイワエネルギー勝浦営業所内(当時の出光興産用地内)で行き止まりになっていました。
尚、上写真の和歌山市方ですが、ホームの先で左側の本線に合流していたかどうかは不明です。
 
 

1番のりばより新宮方・亀山方を望む。
左の2番のりばからは安全側線が分岐していますが、これは元々設置されていたのか、専用線への分岐跡を流用したのか、はたまた専用線廃止後に新設されたのか、不明ですw
この先、左へカーブしながら田園風景の中を北上しますが、すぐに山並みが迫り、トンネルに入ります。トンネル内で太地町へと変わり、トンネルを出ると右へカーブして山間部を北東へ走ります。その後は与根子川の谷に出て、左へカーブしながら築堤区間を走ると国道42号をオーバーパスして、太地駅へと至ります。太地町唯一の駅かつ特急停車駅ですが、1面1線と小規模な駅です。
 
 

1番のりばより和歌山市方を望む。
左から貨物側線跡の保線用側線が合流します。
この先、下里集落の中を南南西へ走ると太田川を渡り、その後も左手に集落を見て走りますが、右手には山並みが迫ります。その後はトンネルを1本抜けると左手にリアス式海岸の入り江である玉ノ浦を見て風光明媚な区間を西南西へ走ります。対岸には半島の山並みを望めます。短いトンネルを抜けると左手の玉ノ浦対岸に集落が現れ、さらに左手の線路沿いにも集落が現れると紀伊浦神駅へと至ります。
 
 
あとがき  
私が下里駅で下車(乗車)したのは2021年の1度きりです。紀勢本線を乗り鉄した際に下車しました。開業時から使用されている木造駅舎が残っていて、昔ながらの雰囲気を感じることができました。駅は集落の外れにありますが、駅の周囲には比較的規模が大きい下里の住宅地が広がっています。
 
東京からですと東海道新幹線で名古屋駅まで行き、紀勢本線特急『南紀』に乗り換えて新宮駅または紀伊勝浦駅で下車。さらに普通列車に乗り継いで当駅下車です。あるいは新幹線で新大阪駅まで行き、きのくに線特急『くろしお』と普通列車の乗り継ぎでも到達できますが、現行ダイヤですと新大阪経由は日帰り訪問が不可能な日があります(不定期運転の特急が多いため)。結構タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:2時間少々)。
一方、大阪からですと新大阪駅または天王寺駅から特急『くろしお』に乗り、紀伊田辺駅~古座駅のいずれかで普通列車に乗り換えれば到達できます。少々時間がかかりますが、快速列車や普通列車の乗継でもOKです。タイトな日程になりますが日帰り訪問可能です(最大滞在時間:5時間半)。
(飛行機でのアクセスは考慮していません) 
  
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店はありません。最寄りのコンビニは約400m北、国道42号沿いにある「ローソン」になります。まぁ事前に用意しておいた方が無難でしょう。
 
東京、大阪とも到達難易度が高いですが、紀勢本線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は下里駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:日本の鉄道貨物輸送と物流、Google地図、Wikipedia)