阿下喜駅【三重県】(三岐鉄道北勢線。2015年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
三重県北部、いなべ市の中央部に位置するナローゲージ路線・三岐鉄道北勢線の終着駅、
阿下喜駅 (あげきえき。AGEKI Station) です。
 
 
駅名
阿下喜駅 (駅番号なし)
 
所在地
三重県いなべ市 (旧:員弁郡北勢町)  
 
乗車可能路線
三岐鉄道:北勢線  
(※) 2003年3月31日までは近鉄北勢線でした。   
 
隣の駅
西桑名方……麻生田駅 
 
訪問・撮影時
2015年5月
 
 

阿下喜駅は地平駅で、終端方に相当する西側に駅舎が設置されています。
以前、阿下喜駅は現駅舎の手前辺りまで線路・ホームがありましたが、駅改良工事により新駅舎が建築されましたが駅舎の位置は東(奥)へ後退しました。それに伴いホームも後退しました。そして手前の空いたスペースは駅前広場の整備に充てられました。
駅舎は2006年に完成した平屋建てで、バリアフリー構造です。出入口に段差はありません。
手前側には小さなロータリーを有する駅前広場があり、バス停留所とタクシー乗り場、タクシープールが設けられています。
駅舎右側には駐輪場が設置されています。
写真は東を望む。
 
 

駅前の様子です。西を望む。後方に駅舎があり、前方に駅前広場があります。
阿下喜駅は旧・北勢町の中心市街地の南側、街外れにあり、駅周辺は住宅地になっています。晴れていれば正面に藤原岳など鈴鹿山脈を遠望できます。
商店は少ないですが、正面に中京銀行阿下喜支店と日下病院があり、約450m西には三重北医療センターいなべ総合病院があります。そして約250m北西には日帰り温泉の阿下喜温泉「あじさいの里」があります。
中京銀行の右側にはバス会社・三重交通の阿下喜駅前バスターミナルがあります。
また、旧・北勢町の中心市街地は約250m北から北や西に向けて広がっています。約1.3km北に、いなべ市役所北勢庁舎(旧・北勢町役場)があります。
そして、駅の約200m南には員弁川が流れており、員弁川を渡ってひたすら南へ進むと三岐鉄道三岐線の伊勢治田駅に到達します(阿下喜駅から約1.7km)。このルートはともに盲腸線である北勢線と三岐線を効率良く乗りつぶすための抜け道として利用価値があります。
 
 

改札口です。東を望む。後方に出入口があります。
阿下喜駅は有人駅ですが、無人の時間帯があるため改札内外にインターホンが設置されています。
ローカル私鉄では珍しく自動改札機が2通路導入されていますが、北勢線では全駅に自動改札機が導入されています。但し、交通系ICカードは使えませんので注意が必要です。右側が幅広通路で、右端の有人通路も車いす対応幅です。有人通路の右には窓口があります。
改札口の右手前には自動券売機があります。自動券売機の右側にはインターホンがあり、左側には小さな出札窓口があります。
改札口を通ってすぐ右側には自動精算機とインターホンがあります。
そして、改札口の先はホームで、段差はありません。
トイレと車いす対応トイレは自動券売機の手前(写真右)にあります。改札口の左側には待合室があり、写真左側に出入口があります。
尚、阿下喜駅構内に売店・コンビニはありませんが、駅のすぐ北側にコンビニ「セブンイレブン」があります。
 
 

駅名標です。
ポスターケースの中にあり、画鋲でとめられています。こんな簡素な駅名標は初めて見ましたw
下部には時刻表が掲示されています。
シンプルなデザインで、下部は三岐鉄道のコーポレートカラーである黄色です。
北勢線はもとより、三岐鉄道では駅ナンバリングを導入していません。
また、終端部近くの柱には「日本最西端のナローゲージ駅阿下喜駅」と書かれた駅名標があります。
最南端は四日市あすなろう鉄道の内部駅で、最北端は黒部峡谷鉄道の宇奈月駅、最東端は現在一般の人でも行ける駅ですと黒部峡谷鉄道の欅平駅になります。
 
 

阿下喜駅は島式の頭端式ホーム1面2線の地平構造で、東西方向にホームが延びています。
番線は設定されておらず、どちらのホームも上り西桑名方面です。
南側線路の右側には、軽便鉄道博物館所有の線路が見えます(後述)。
ホーム有効長は5両分ありますが、現状は4両編成が最長です。4両編成は前後に0.5両分ずつ空けて停車します。
ホーム幅は根元の終端方(手前)が広く、先端の西桑名方(奥)がやや狭くなっていますが、ナローゲージ路線の駅としては相当広いです。
上屋は終端方の約3.5両分に設置されていて、駅舎・改札口と連続しています。4両編成の列車は西桑名方先頭車の前扉が上屋からはみ出してしまいますので雨天時に当駅で下車される場合は注意が必要です。
ホームにはベンチが設置されています。改札内に待合室はありません。
また、ホーム終端部(後方)には駅舎と改札口があります。
写真は西桑名方(東)を望む。
 
 

こちらは終端方(西)を望む。
南側ホームの左側(南)には軽便鉄道博物館があり、長らく北勢線で使用されていた昭和6年製のモニ226号が保存されています。レールに乗っていますが架線がないので自力では動かないと思われます。また、ナローゲージよりさらにナローな、「ミニ電車ホクさん」用の線路も敷設されていて、駅舎近くには転車台も設置されています。転車台は以前に阿下喜駅構内に存在した設備を移設したものです。
軽便鉄道博物館は毎月第1・第3日曜日(1月のみ第2・第3日曜日)の10:00~16:00に開館していますが、新型コロナウイルスの影響で臨時休館しているかもしれませんので、訪問される場合は事前に確認して下さい。
 
 

西桑名方を望む。北勢線は全線単線です。レール間隔が狭い事が分かります。
この先、右手に田園風景を、左手に丘陵地を見てローカル風景の中を東へ走ります。やがて右へカーブして右側を流れる員弁川に沿って南東へ進みますが、林に阻まれて員弁川は見えません。左側には住宅が点在しています。その後は六石駅跡を通過してから上り勾配になって、深い森林の中を南東へ走って河岸段丘上へと進みます。そして勾配を登り切ると左側車窓が開けてきて、右へカーブして南に進路を変えると麻生田駅(おうだえき)へと至ります。阿下喜駅より麻生田駅の方が20mほど標高が高いです(麻生田駅は90m台)。
 
 

終端方を望む。両側の線路とも駅舎前に車止めがあります。
ホームの終端部は駅舎・改札口と繋がっています。
駅改良工事以前はもう少し先までレールが延びていましたが、駅改良によりホームの位置は後退しました。一方、1面1線だったホームは1面2線へと増強され、駅はバリアフリー対応になり、便利になりました。
尚、昔は三岐鉄道の前身である員弁鉄道により石灰岩やセメントの輸送のために藤原岳方面への延伸構想があったようですが、ナローゲージかつ規格が低いなどの理由で延伸は見送られ、結局員弁鉄道は員弁川対岸に狭軌の三岐線が建設されました。今後、延伸される可能性はないでしょう。
 
 
あとがき
私が阿下喜駅で下車(乗車)したのは2000年、2009年、2015年の計3度です。2000年は近鉄北勢線(当時)の乗りつぶしのため、そして2009年と2015年は三岐鉄道北勢線の車窓風景撮影のため、それぞれ終着駅ゆえに必然的に下車しました。近鉄時代は古びた終着駅といった感じでしたが、三岐鉄道への移管後は大改造されて別の駅のようになっていました。駅前は郊外の住宅地で、晴れていれば遠方に藤原岳を望めます。
 
東京からですと東海道新幹線で名古屋駅まで行き、関西本線または近鉄名古屋線に乗り換えて桑名駅で下車します。そして隣接する西桑名駅から三岐鉄道北勢線に乗車して終点下車です。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:10時間半程度)。
一方、大阪からですと新大阪駅から東海道新幹線で名古屋駅まで行き、以降は上記のルートで到達できます。あるいは近鉄特急や近鉄急行の乗継で桑名駅まで行く方法もあります。こちらもじゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:12時間半程度)。
 
食料・飲料について、地方駅としては珍しく駅前にコンビニがあります。一方、気軽に入れる飲食店は駅近くにありません。心配な場合は事前に用意しておきましょう。
  
東京、大阪とも到達難易度はさほど高くありません。三岐鉄道北勢線を乗り鉄の際は、阿下喜駅ですぐに引き返さずに、ぜひ一度は駅を観察されてみて下さい!
 
(参考:いなべ市のHP、軽便鉄道博物館のHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)